AIによる業務自動化

少人数の中小企業で使えるAIエージェントの選び方|部署をまたぐ仕事を任せる前に

兼任の担当者が多い少人数の会社がAIエージェントを選ぶときの4つの観点(つなぐ仕組み・権限・確認する人・運用の手間)と、部署をまたぐ仕事を任せる前に社内で決めることを説明します。

少人数の中小企業で使えるAIエージェントの選び方|部署をまたぐ仕事を任せる前に

社長が営業と見積もりを見て、経理は総務と兼任の1人が、出荷はベテランが1人で受け持っている。注文の内容が変わると3人の間をメールと電話が行き来し、誰かが外出していると返事が止まる。兼任の担当者が多い少人数の会社から、よく伺うお悩みです。

仕事を最後まで進めるAIエージェントを入れたいと考えても、製品が多く、どれが合うのか分かりません。社内に詳しい人がいないので、入れた後に誰が設定や手入れをするのかも気になります。

受注から請求まで、AIに任せられますか?

できるところはあるよ。その前に、誰が確かめるか決めよう

部署をまたぐ仕事では、受け渡しのたびに確かめる人を決めておきます。

この記事では、少人数の会社がAIエージェントを選ぶときの4つの観点と、部署をまたぐ仕事を任せる前に決めることを説明します。特定の製品は比べず、どの製品にも使える確かめ方を紹介します。

この記事のポイント

  • 少人数の会社は、AIエージェントを、つなぐ仕組み・権限・確認する人・運用の手間の4つの観点で選ぶ。専任の担当者がいないぶん、運用の手間をとくに重く見る
  • 部署をまたぐ仕事には、会社の情報を1か所から読み、部署ごとに見せる範囲を分け、受け渡しのたびに人が確かめられる形が向いている
  • 任せる前に、受け渡しごとに確かめる人、AIに見せてよい範囲、つなぎが止まったときに気づく人を社内で決めておく

少人数の会社のAIエージェントは、運用の手間と確かめる人で選ぶ

少人数の会社では、入れた後に誰が手入れをし、AIが進めた仕事を誰が確かめるかを先に決めます。そのうえで、それができる製品を選びます。できることの多さだけで選ぶと、専任の担当者がいない会社では、設定の見直しや確認が続かないためです。

部署をまたぐ仕事には、会社の情報を共通の置き場所から読み、部署ごとに見せる範囲を分けられる形が向いています。受け渡しのたびに人が確かめる場所を置けば、兼任の多い会社でも、AIに任せる範囲を少しずつ広げられます。

少人数の会社でAIエージェントを使うときに起きやすいこと

少人数の会社では、同じ人が何役も兼ね、権限を管理する専任の担当者もいません。そのため、次のようなことが起きやすくなります。

少人数の会社でAIエージェントを使うときに起きやすい3つのこと

  • 1人のアカウントに権限が集まる社長のアカウントでAIをつなぐと、給与や決算の書類までAIが読める状態になりやすい
  • 設定と手入れをする人がいないつなぎ先の変更や、動かなくなったときの対応を、誰も受け持っていない
  • 頼んだ人だけが結果を見るAIに頼んだ本人しか結果を確かめないので、間違いに気づきにくい

この3つは、製品の性能が高くても解決しません。誰のアカウントでつなぐか、誰が手入れと確認を受け持つかを先に決めると、製品を比べるときに見るところがはっきりします。

AIで先に手放すとよい作業の選び方は、次の記事で説明しています。

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AIエージェントの3つの形と、向いている仕事

AIエージェントと呼ばれるものは、大きく3つの形に分けられます。製品を比べる前に、どの形が自社の仕事に合うかを考えると、候補を絞りやすくなります。

形向いている仕事少人数の会社での注意
いつもの業務ツールに付いたAIの機能1人で完結する下書き、要約、ツールの中での検索つないだ範囲の外の情報は読めない。部署ごとに使うツールが違うと、まとめて任せにくい
いろいろなツールにつなげるAIエージェントのサービス決まった形の受け渡し(注文の内容を表に写し、関係者に知らせる など)つなぐ先ごとの権限と、止まったときの対応を、社内の誰かが受け持つ
会社の情報とルールをまとめた土台の上に作る仕組み部署ごとの決まりを照らし合わせる仕事(注文の変更への返事 など)集める情報と見せる範囲を先に決める。作ることと手入れを、外部の支援先に頼む方法もある
表は、考え方を整理するための分け方です。

特定の製品を指すものではありません。

どの形が合うかは、仕事が部署をまたぐかどうかと、会社のルールが要るかどうかで変わります。

仕事の広がりとルールの要否から選ぶ、AIエージェントの形(説明例)

部署をまたぐ ↑

  • ツール同士をつなぐサービスで試す注文の内容を表に写して関係者に知らせるなど、決まった形の受け渡し
  • 会社の情報とルールを集めてから任せる注文の変更への返事など、部署ごとの決まりを照らし合わせる仕事
  • いつもの業務ツールのAI機能で足りるメールの要約や会議メモなど、1人で完結する下書き
  • 1つの部署向けに作る見積もりの下書きなど、その部署の判断の基準が要る仕事

会社のルールや判断の基準が要る →

部署をまたぎ、会社のルールも要る仕事ほど、AIに会社の情報とルールを読ませているかで結果が変わります。当社でも、答えの質に大きく効くのは、モデルの違いより、読ませている材料の違いだと考えています。AIエージェントの仕組みやチャット型AIとの違いは、次の記事で詳しく説明しています。

詳しく解説した記事コラムAIエージェントとは?チャット型AIとの違いと、業務での使いどころAIエージェントは、目標を伝えると、手順を考えて道具を使い、仕事を最後まで進めるAIです。チャット型AIとの違い、業務で…

AIエージェントを選ぶときに確かめる4つの観点

次に、候補の製品を4つの観点で確かめます。

観点確かめること少人数の会社での目安
つなぐ仕組み自社のメール・書類の置き場所・表計算・業務システムにつながるか。つなぐ先を会社で選べるか最初はつなぐ先をしぼり、読むだけでつなぐ
権限誰のアカウントで動くか。部署や役職ごとに読める範囲を分けられるか。送信や書き込みを止められるか社長や管理者のアカウントをそのまま使わない
確認する人送信や登録の前に人の確認で止められるか。誰が・いつ・何をさせたかの記録が残るか頼んだ本人とは別に、受け渡し先の担当者が確かめる
運用の手間つなぎ先の変更や、動かなくなったときの対応を誰がするか。止まったことに気づけるか社内に受け持つ人がいなければ、手入れまで頼める相手がいるかで選ぶ

つなぐ先は、多いほどよいとは限りません。放送・メディアの会社に、企画書のたたき台と週報づくりの仕組みをご提案した際は、つなぐ先を少なく絞る形をお示ししました。どれも読むだけにし、受注や営業の管理に使う基幹システムにはつながない形です。

当社でも、データベースは読むだけでつなぎ、メールの送信や業務システムへの登録は人が行う形を基本にしています。読むだけでつないでおけば、AIが間違えても、社内のデータは書き換わりません。

経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」は、AIを使う会社が、提供する会社の定めた使い方の注意を守ることを挙げています。適切な場面で人の判断を挟むことや、入力と出力などの記録を残すことにも触れています。選ぶときは、製品の公式ページで使い方の注意を読み、使った記録が残るかを確かめておきます。

見落としやすいのは、つなぎが止まったことに誰も気づかない状態です。当社がマスターブレインを立ち上げてきた経験でも、記録はどこかで抜けるものと考えています。そこで、同じつなぎから記録が続けて取れないときに知らせる役を、AIに持たせています。

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部署をまたぐ仕事は、受け渡しの場所で止まりやすい

少人数の会社でも、注文を受けてから請求するまでに、営業・仕入れ・出荷・経理の役割をまたぎます。兼任していても、役割が変わるところで、書き写しや確認待ちの時間が生まれます。

部署ごとに別々のAIを入れると、担当者の作業は速くなっても、部署の間の受け渡しは人が手で運ぶまま残ります。会社に1つのAIを置き、受け渡しまで手伝わせると、この待ち時間が減ります。当社のセミナー「製造業の『見えない製造ライン』をカイゼンする」でも、部署ごとにAIを入れるか、会社に1つのAIを置くかで、部署の間の受け渡しが変わるとお伝えしました。

以下は説明のための例です。社員十数名の卸売の会社に、お客さまから納期を早めたいと連絡が届いた場面です。

納期の変更が届いてから、請求に反映されるまで(説明例)

  1. 受け取る(営業)AIがメールから注文番号・品目・新しい納期を取り出し、変更の下書きを作る。営業が確かめて確定する
  2. 間に合うか調べる(仕入れ・在庫)AIが在庫と仕入れの予定を照らし合わせて見込みを出す。担当者が受けるかどうかを決める
  3. 出荷の予定を直す(出荷)AIが出荷の予定表の変更案を作る。担当者が確定すると、営業と経理に知らせが届く
  4. 請求に反映する(経理)AIが請求書で変わる点を一覧にする。経理が確かめてから発行する

どの受け渡しでも、AIが作るのは下書きと見込みまでで、確定するのは人です。確かめる場所と確かめる人が決まっていれば、AIに任せる工程を増やしても、仕事は止まりにくくなります。

部署をまたぐ仕事で、AIが確認を求めるやりとり(説明例)

継続取引のお客さまから、来週の出荷を3日早めたいと連絡がありました。対応できますか?

在庫は足りています。ただ、早めた日には別の出荷が3件入っていて、配送の手配を変える必要があります。出荷の担当者に確認を回しますか?根拠:在庫の一覧(今朝の時点)/出荷の予定表/変更の決まり「出荷日を早めるときは出荷の担当者が確かめる」

確認が済むまで、お客さまへの返事は下書きのまま止めておきます

工程の分け方と、人が確かめる場所の決め方は、AIエージェントに任せる工程の切り出し方で説明しています。

当社が構築した製造(素材メーカー)の例では、担当者のPCに散らばっていた開発の記録と報告書を1か所に集め、部署をまたいで使える形にしました。営業も開発も、聞けばその場で答えが返ります。削減見込みは月257時間(1.6人分)、回収見込みは約3.0ヶ月です。

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部署をまたぐ仕事を任せる前に決めること

製品を決める前に、社内で次のことを決めておくと、製品を比べるときも相談するときも話が早く進みます。

部署をまたぐ仕事をAIエージェントに任せる前に決めること

  • 会社の情報を、どこから読ませるか
  • 受け渡しのたびに、誰が確かめるか(兼任でも、確かめる人の名前を決める)
  • 部署や役職ごとに、AIに見せてよい範囲と、読ませない情報(給与や決算など)
  • AIに送信や書き込みをさせるか。最初は読むだけにするか
  • つなぎが止まったときに、誰が気づき、どうやって止めるか
  • 最初に、どの部署とどの部署の間から始めるか

情報をどこから読ませるかは、話が実際に進んでいる場所から考えます。メンバーが数名の運送の事業では、電話やチャットで話が先に進み、共有のツールへの記録は後回しになっていました。ご提案では、会社の携帯電話の通話の録音と、1つにまとめたチャットのアカウントから記録を集める形をお示ししました。

このご提案では、AIは記録を勝手に書き換えず、「確認待ち」に置きます。確定するのは責任者です。

始める範囲は小さくします。社内にエンジニアがいない通販の会社に、会議の記録をもとに社内の質問に答える仕組みをご提案した際も、まず1つの部署から始める形をお示ししました。

作ることも手入れも当社が受け持ち、うまくいったら隣の部署へつなぐ進め方です。

当社の導入支援では、業務を知る担当者・ルールを確認する方・使い続ける担当者の3つの役割を、最初にお客さまと一緒に決めています(導入支援の進め方)。少人数の会社なら、1人が2つの役割を兼ねてもかまいません。ただ、AIが作ったものを確かめる人は、頼んだ人と分けておくと間違いに気づきやすくなります。

マスターブレインを活用した、部署をまたぐ仕事の任せ方

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

書類・メール・チャット・会議の記録・業務データを1か所に集め、部署・役割に応じて参照できる範囲と、更新・承認の手順を決めます。現場が使うのは業務ごとの専用画面で、画面は当社が業務の流れに合わせて設計・構築します。送信・承認・最終判断は人が持ち、1つの業務で整理した情報はほかの業務でも使えます(マスターブレインの仕組み)。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

部署の間で止まっている仕事は、どれですか?

マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。

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  • 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
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この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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