AIによる業務自動化

中小企業の生成AI活用|少人数の会社が先に取り組むべき業務

少人数の会社は、一人が何役も兼ね、仕事や判断が社長やベテランに集中しやすいため、生成AIの効果が大きく出ます。先に取り組むべき業務の選び方と優先順位、専任の担当者がいなくても進められる形を図解で説明します。

中小企業の生成AI活用|少人数の会社が先に取り組むべき業務

社長が営業も見積もりも請求書づくりもこなしていて、社長がいないと仕事が止まる。人を増やしたくても、採用はなかなか進まない。AIが便利だと聞いても、社内に詳しい人がいないので、何から始めればよいか分からない。少人数の会社の経営者の方から、よく伺うお悩みです。

この見積もり、社長に聞かないと分からないな…

社長は来週まで出張です

仕事や判断が一人に集中していると、その人がいないだけで仕事が止まります。

この記事では、少人数の会社が生成AIを使うときに、先に取り組むべき業務の選び方と優先順位を説明します。専任の担当者がいなくても進められる形にも触れます。

この記事のポイント

  • 少人数の会社は、一人が何役も兼ね、仕事や判断が社長やベテランに集中しやすい。そのぶん、AIで手放せる作業の効果が大きい
  • 最初は、社長やベテランが時間を使っている作業のうち、判断のいらない繰り返しの作業から手放す
  • 専任の担当者がいなくても進められるよう、仕組みづくりは支援する側が担い、社員は使い方を覚えることに集中する

少人数の会社は、社長やベテランの時間を空けるところから始める

少人数の会社で生成AIを使うなら、社長やベテランが時間を使っている作業のうち、判断のいらない繰り返しの作業から始めるのがおすすめです。レポートの転記、見積もりの計算、請求書づくりのような作業です。

こうした作業をAIに任せると、社長やベテランは、営業や判断など本人にしかできない仕事に時間を使えます。一人の時間が空くと、その人を待っていた仕事も一緒に動き出すのが、少人数の会社ならではの効果です。社長しか分からない判断を少しずつ記録に残していけば、社長が不在でも仕事が止まりにくくなります。

少人数の会社に多い3つの事情

大きな会社と比べると、少人数の会社には次のような事情があります。どれも、AIの使い方を考えるときの出発点になります。

少人数の会社に多い3つの事情

  • 一人が何役も兼ねる営業・見積もり・請求・採用などを、同じ人が受け持っている
  • 判断が一人に集中する見積もりの条件や例外の扱いを、社長やベテランしか分からない
  • 専任の担当者がいないAIやシステムに詳しい人がいないので、導入も運用も後回しになる

一方で、少人数の会社には、AIを使ううえでの強みもあります。決める人が近くにいるので、試すかどうかをすぐに決められます。全員の顔が見えるので、使い方を伝えるのも早く済みます。

人手が足りないと、まず採用を考えます。ただ、採用で補えない状況も増えています。当社のセミナー「AIに悩む会社から、AI×マーケティングで伸びる会社へ」でも、足りない人数を数える前に、やらなくてよい業務の量を洗い出すことが大切だとお伝えしました。

先に取り組むべき業務の優先順位

どの業務から始めるかは、「社長やベテランの時間を使っているか」と「判断が必要か」の2つで整理すると決めやすくなります。

少人数の会社でAIに渡す業務の優先順位

社長やベテランの時間を使っている ↑

  • 最初に手放す判断のいらない繰り返しの作業。レポートの転記、見積もりの計算、請求書づくりなど
  • 判断の理由を残す社長やベテランにしかできない判断。理由を記録し、少しずつAIが手伝える形にする
  • 次に自動にする社員が担っている定型の作業。メールの下書きやデータの入力など
  • 人が担う社員が状況を見て決める仕事。記録を残し、あとで振り返れるようにする

判断が必要 →

迷ったときは、社長に「この作業さえなければ」と思っているものを1つ挙げてもらうと、最初の業務が決まりやすくなります。少人数の会社でよく先に取り組む業務と、AIでできることをまとめます。

業務少人数の会社でよくある状態AIでできること
日々のレポート社長が毎日、数字をあちこちから集めて書き写している数字を集めて、レポートの形にまとめる
見積もり計算や条件を分かっているのが、社長や一部の人だけ単価や条件をもとに、見積もりの下書きを作る
請求書月末に、取引先ごとの請求書をまとめて作っている取引の記録から、請求書の下書きを作る
問い合わせの返信同じような質問に、毎回一から返事を書いている過去の返信をもとに、返信の下書きを作る

「判断の理由を残す」に当たる、社長やベテランにしかできない判断の仕事は、時間をかけて進めます。判断の理由を記録して、AIが使える形にする進め方は、属人化の記事で説明しています。

あわせて読みたいコラム属人化をAIで解消するには?ベテランの判断を会社に残す手順「あの人に聞かないと分からない」仕事をAIで減らすには、ベテランが判断した理由を記録して、AIが使えるようにすることが必…

少人数の会社でのご相談の例

代表が1人で運営している広告代理店とのご相談では、毎日の広告レポートの転記、見積もりの入力、月末の請求書づくりが、営業や戦略を考える時間を奪っていました。ご提案では、人が判断しなくてよい作業から順にAIに任せる形にしました。

一人で回している会社が、AIに渡していく順番(ご提案の例)

  1. 毎日・毎月の作業を渡す広告レポートの作成、見積もりの管理、請求書づくりをAIに任せる
  2. 分析を手伝わせるたまったデータから、広告の傾向を読み取る
  3. 新しい案を出させる傾向をもとに、次に試す広告の案を出す
  4. 外注していた仕事を社内へ外に頼んでいた仕事の一部を、社内で回せるようにする

自社の業務のために作った仕組みは、似た業務を抱えるほかの会社にも役立つことがあります。このご提案では、自社で使う仕組みを、お客さま向けの新しいサービスとして広げる考え方もお示ししました。

少人数のイベント制作の会社とのご相談でも、給与の計算や書類づくりなどの定型の事務が、代表に集中していました。このときお伝えしたのは、新しくデータを集める必要はなく、今ある過去の台本や書類をそのまま材料にできるということです。少人数の会社でも、これまでの仕事の記録は十分にたまっています。

商品の卸売の会社とのご相談では、見積もりを作れるのが一部の人だけで、ノウハウが社長やベテランの頭の中にありました。ご提案では、営業・商品管理・ネット販売・管理部門の部署ごとに、AIに任せる順番を決めて、1つずつ積み上げる形にしました。どの会社でも、最初の一歩は、今ある記録をそのまま使える作業でした。

専任の担当者がいなくても進められる形にする

少人数の会社では、AIの担当者を新しく置くのは難しいものです。そこで、仕組みを作るのは支援する側が担い、社員は使い方を覚えることに集中する形にします。

少人数の会社でのAI導入の受け持ち

会社側でお願いすること
  • 困っている業務と、今ある記録を教える
  • 窓口になる担当者を1人決める(兼務でよい)
  • AIの下書きを確かめ、直した点を伝える
支援する側が担うこと
  • 業務に合わせた専用画面を作る
  • データの取り込みとルールの整理
  • 使い方の説明と、直した点の反映

社員が使うのは業務ごとの専用画面で、覚えるのはボタンの位置だけです。AIへの指示文を考える必要はありません。窓口の担当者は、社長自身でもかまいません。

少人数の会社ほど、新しいツールを入れても使う人が限られ、続かないことがありますが、仕事の流れの中に組み込めば、使う人が少なくても続きます。卸売の会社へのご提案でも、仕組みを作るのは支援する側、社員は使いこなすために学ぶ、と学ぶ目的をはっきり分けました。目的を絞ると、学ぶための時間も無駄になりません。

代表自身が「仕組みを丸投げせず、自分も学びながら進めたい」という会社には、空いた時間の一部を学ぶ時間に回す計画を、最初から入れておくこともできます。

始めるときは、まず1つの業務で効果を確かめます。空いた時間を営業に回すのか、新しい商品づくりに回すのかも、あわせて決めておきます。効果は、手放した作業にかかっていた時間と、空いた時間で増えた営業や提案の数で確かめます。どの仕事がAIに向いているかの見分け方は、次の記事で詳しく説明しています。

詳しく解説した記事コラムAIで業務効率化できる仕事とは?向いている仕事・向いていない仕事の見分け方AIで業務効率化できるのは、件数が多く、使うデータがあり、出来上がりの形が決まっていて、最後に人が確かめられる仕事です。… 無料メルマガ登録 社内AI・業務活用の最新情報をお届け。AI導入・情報活用・業務効率化のヒントを配信

マスターブレインを活用した少人数の会社のAI活用

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

社長やベテランの頭の中にある判断の理由や、これまでの見積もり・請求・やりとりの記録を集めて整理し、繰り返しの作業をAIが下書きするところから始めます。専用画面は当社が業務の流れに合わせて設計・構築するので、社内に専任の担当者がいなくても使い始められます。人が直した内容はルール帳に残り、担当が替わっても会社のやり方が残ります。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。

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この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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