社員が個人のアカウントで生成AIを使い始めたので、会社としてどれかを契約したい。ところが、ChatGPT、Copilot、Gemini、Claudeと候補が多く、何を基準に選べばよいか分からない。AI活用を考え始めた経営者や管理職の方から、こうしたご相談をよく伺います。
社内で使うAI、どれを契約すればいいですか?
うちのメールと書類がどこにあるか、まず見よう
生成AIは、どの製品も短い間隔で新しくなります。性能の比べ合いだけで選ぶと、すぐに判断の前提が変わってしまいます。
この記事では、社内で使う生成AIを選ぶときに確かめる観点を説明します。使う人と用途、データの扱い、業務ツールとの連携、管理と運用、一般の生成AIでは足りない仕事の5つです。
この記事のポイント
- 社内で使う生成AIは、使う人と用途を決めてから、データの扱い・業務ツールとの連携・管理のしやすさの3つで選ぶ
- 法人向けプランでは、入力した内容が学習に使われないか、保存期間を決められるか、管理者がアカウントと権限を管理できるかを、公式ページと書面で確かめる
- 一般の生成AIは、自社の規程や過去の案件を知らない。会社のやり方に沿った答えが要る仕事には、自社のデータを読ませる仕組みを考える
社内で使う生成AIは、用途を決めてから、データの扱い・連携・管理で選ぶ
社内で使う生成AIは、誰がどの仕事に使うかを決めてから、データの扱い・業務ツールとの連携・管理のしやすさで選びます。文章の下書きや要約、調べものに使うなら、各社の法人向けプランで始められます。
サービスによって違いが出やすいのは、普段の業務ツールとのつながり方と、管理者ができることの範囲です。自社の規程や過去の案件をもとに答えさせる仕事では、どのデータを読ませ、誰が答えを直すかの設計が別に必要です。
まず、使う人と用途を決める
選ぶ前に、誰がどの仕事に使うのかを決めます。全社員が文章の下書きに使うのか、特定の部署が社内の問い合わせ対応に使うのかで、必要な形が変わります。
使う人と用途から考える、生成AIの使い方(説明例)
使う人が多い ↑
- 全社で法人向けプランを使うメールの下書き、会議メモの要約、翻訳など、どの部署でも使う仕事
- 会社のデータを読ませる仕組みを作る規程についての社内の質問、見積もりのたたき台など、答えに社内のルールが要る仕事
- 一部の社員で試す企画のアイデア出しや調べもの。使い方を確かめてから広げる
- 部署ごとに使い方を決める経理の照合や、過去の図面の検索など。読ませるデータを部署で決める
会社のデータやルールが必要 →
効果がいちばん大きいのは、多くの人が使い、会社のルールも必要な仕事です。この種類の仕事は、製品を契約するだけでは、社内のルールに沿った答えになりません。
用途を決めるときは、扱う情報も一緒に書き出します。お客さまの個人情報や決算の数字を扱うかどうかで、確かめる契約の条件が変わるからです。入力してよい情報の決め方は、社内の生成AI利用ガイドラインの作り方で説明しています。
法人向けプランで、データの扱いを確かめる
会社で契約するときは、個人向けのプランと法人向けのプランを分けて考えます。各社とも、法人向けのプランで入力した内容をどう扱うかを、公式ページで説明しています。
| サービス(法人向け) | 入力した内容の学習 | 保存期間の設定 |
|---|---|---|
| ChatGPT(Business・Enterprise など) | 入力も出力も、初期設定では学習やモデルの改良に使わない | 条件を満たす組織は、保存する期間を設定できる |
| Microsoft Copilot(Microsoft 365 の法人向け) | 入力・回答と、社内のメールや書類から読んだデータは、基盤のAIモデルの学習に使わない | 管理者が Microsoft Purview で、Copilot とのやりとりの保存の決まりを設定できる |
| Gemini(Google Workspace) | お客さまの事前の許可や指示がなければ、データをモデルの学習に使わない | Workspace の中の Gemini は、管理者が90日から無期限の範囲で決める |
| Claude(Team・Enterprise プランなど) | 初期設定では入力と出力を学習に使わない。評価ボタンなどで送ったフィードバックは別の扱い | Enterprise プランに、保存期間を独自に決める機能がある |
比べやすくするための整理で、優劣を示すものではありません。Microsoft 365 Copilot は、Microsoft Copilot に名前が変わったと案内されています。プランの名前や条件は変わることがあるため、契約の前に最新の公式ページと契約の書面で確かめてください。
出典は、OpenAI、Microsoft、Google、Anthropicの各公式ページです。4つのサービスとも、法人向けでは、入力した内容を学習に使わないことを基本にしています。評価ボタンで送った内容などは別の扱いになる場合があるので、利用条件で確かめます。
当社でも、AIを使う仕組みには法人向けの契約のAIを使い、学習に使われない条件を書面で確かめています。保存期間や管理者機能の確かめ方、個人のアカウントとの違いは、次の記事で詳しく説明しています。
詳しく解説した記事コラム生成AIのセキュリティ対策|情報漏洩を防ぐ設定と、社内で決めること生成AIのセキュリティ対策として、入力してよい情報の線引き、法人向け契約で確かめる3つのこと(学習・保存期間・管理者機能…普段使っている業務ツールとつながるかを見る
次に、メールや書類を置いている業務ツールと、生成AIがつながるかを確かめます。つながると、書類を探して貼り付ける手間が減り、AIがメールや書類を読んで答えられます。
Microsoft 365 を使う会社なら、Copilot を Word・Excel・Outlook・Teams などの中で使えます。Google Workspace を使う会社なら、Gemini を Gmail・ドキュメント・ドライブ・Meet などの中で使えます。
ChatGPT は、Google ドライブや Slack などにつなげます。Claude も、Google ドライブ・Gmail・Microsoft 365・Slack などにつなげます。どちらも、組織で使えるつなぎ先を管理者が決められます。
業務ツールとつなぐときに確かめる3つのこと
- つながる先メール・予定表・書類の置き場所・チャットのうち、自社が使っているものにつながるか
- 見られる範囲質問した社員が見てよい書類だけをAIが使うか。共有の設定が広すぎないか
- AIができる操作読むだけか、メールの送信やファイルの更新までするか。送る前に人が確かめるか
各社とも、AIは使う人がもともと見られる範囲の情報を使う、と説明しています。共有フォルダの権限が広すぎると、見せたくない書類もAIの答えに出てきます。つなぐ前に、共有の設定を見直しておきます。
AIができる操作も確かめます。読むだけのものもあれば、設定によってメールの送信やファイルの更新までできるものもあります。当社では、メールの送信や決裁は人が行い、AIはその直前で止まる形にしています。
管理と運用:アカウント・権限・記録を見る
会社で使うなら、管理者が社員のアカウントと権限をまとめて管理できるかを確かめます。退職した人のアカウントが残っていたり、誰が使っているか分からなかったりすると、情報を守れません。
| サービス(法人向け) | 管理者ができることの例 |
|---|---|
| ChatGPT | Business:利用者の役割(メンバー・管理者・オーナー)、シングルサインオン、多要素認証。Enterprise:アカウントの自動追加・停止、グループごとの役割 |
| Microsoft Copilot | Microsoft 365 の権限の仕組みをそのまま使う。Microsoft Purview でやりとりを検索する。使ってよい追加機能(エージェント)を選ぶ |
| Gemini(Google Workspace) | アプリや機能のオン・オフ、会話の保存期間の設定、Gemini の監査ログの確認 |
| Claude | Team:シングルサインオン、役割ごとの権限。Enterprise:監査ログ、アカウントの自動追加・停止、保存期間の設定 |
シングルサインオンは、1つのIDで複数のサービスに入れる仕組みです。アカウントの自動追加・停止(SCIM)は、入社や退職に合わせてアカウントを自動で増減させる仕組みです。表は各社の公式ページやヘルプの記載から整理しました。
契約の前に、管理する人が確かめること
- 社員のアカウントを、会社でまとめて追加・停止できるか
- 社内で使っているログインの仕組みとつなげられるか
- 部署や役割ごとに、使える機能を分けられるか
- 誰が・いつ使ったかの記録を、管理者が確かめられるか
- 入力した内容の保存期間を、会社で決められるか
機能があっても、受け持つ人がいなければ管理は続きません。アカウントの追加と停止、権限の見直しを誰が受け持つかを、契約の前に決めておきます。
使った記録を残すときは、記録を見られる人と見る場面も先に決めます。私用のやりとりや雑談は対象にしないことを社員に伝えておくと、安心して使ってもらえます。
あわせて読みたいコラム生成AI導入の進め方|検討から定着までの6ステップと、導入前のチェックリスト生成AIの導入は、目的と対象の仕事を決めるところから、効果を確かめて広げるところまで、6つのステップで進めます。各ステッ…
一般の生成AIは、自社のルールとデータを知らない
どの生成AIを選んでも、そのままでは御社の規程や過去の案件、ベテランの判断の理由を知りません。業務ツールにつないでも、AIが読めるのはつないだ先にある書類やメールだけです。どれが最新版か、どの条件で例外にするかは、どこにも書かれていなければ答えに入りません。
一般の生成AIのチャットで社内の書類を作らせると、自社の書式や例外の条件を毎回一から説明することになります。当社のセミナー「Claude Codeで、何ができるのか?」でも、同じ点をお伝えしました。
一般の生成AIと、会社のデータとルールを読ませたAIの違い(イメージ)
- 書式や条件を、毎回一から説明する
- どの会社にも当てはまる答えが返る
- 答えのもとになった社内の書類が分からない
- いつもの書式のまま下書きが出る
- 自社の規程や過去の案件に沿って答える
- もとになった規程の箇所が一緒に出る
当社では、答えの質に大きく効くのは、会社のデータとルールをAIに読ませているかどうかだと考えています。社内のデータを探して答えの材料にする方法を、検索拡張生成(RAG)といいます。仕組みはRAGとは?社内のデータをもとにAIに答えさせる仕組みをわかりやすく解説で説明しています。
通販の会社へのご提案では、社内規程や休暇、パソコンについての質問に答える仕組みを考えました。答えられる人が限られていて、その人が休むと確認が止まっていた会社です。担当者の方は、汎用の生成AIで社内の質問に答える仕組みを自作して使っていました。
ご提案では、その仕組みを置き換えずに生かす形をお示ししました。AIが答えられなかった質問は担当者に回し、担当者の答えを会社のデータとして残す流れです。すでに使っている生成AIを生かしながら、会社のデータを足していく進め方もあります。
あわせて読みたいコラム社内AIの作り方|自社のデータと判断ルールを業務に組み込む手順社内AIは、自社のデータや過去の記録、判断のルールを使って答える仕組みです。作り方の選び方、集める情報、構築の手順、使い…マスターブレインを活用した、自社のデータで答える社内AI
マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。
社員の皆さんが使うのは業務ごとの専用画面で、画面は御社の仕事の流れに合わせて当社が設計・構築します。参照と判断の層では、御社のデータを外部に学習させない構成で、検索拡張生成(RAG)の基盤を作ります。部署や役職ごとに、見られる範囲も分けます(マスターブレインの仕組み)。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
社内で使うAI、まず何に使うかから決めませんか?
マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。
- 仕組みと、5つの層の役割
- 業務別の活用例と構築実績
- 導入の進め方と、費用の決まり方
- 説明より先に、動くデモをお見せします
- データが整理されていなくても大丈夫です
- 2営業日以内に担当者からご連絡します
これまでの構築実績から
- 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
- 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
- 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル
この記事の監修者

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。
- AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
- 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化
主な登壇
- “一部の社員だけ”のAI活用を、会社の仕組みに変える2026年11月
- 製造業のAI、「使ってみた」で止まっていませんか?2026年11月
- 製造業の「見えない製造ライン」をカイゼンする2026年9月
- AIに「会社の脳」を持たせるには?2026年8月
執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗






