「うちも生成AIを導入しよう」と決まったものの、何から手をつければよいか分からない。とりあえずツールを契約してみたが、使う人が増えず、何が楽になったのかも説明できない。生成AIの導入を任された担当者の方から、よく伺うお悩みです。
生成AIの導入、まず何から決めればいいんだろう
会議の内容は記録しておきます。次に決めることも一覧にしますね
この記事では、生成AIの導入を、検討から定着まで6つのステップに分けて説明します。各ステップで決めることと、次に進んでよいかを判断する目安、始める前に確かめるチェックリストもまとめました。
この記事のポイント
- 生成AIの導入は、目的と対象を決める・今のやり方を測る・資料を整える・小さく試す・使いながら直す・確かめて広げる、の6ステップで進める
- 各ステップの終わりに次に進む目安を確かめ、届かなければ次へ進まずに直すか止める
- 始める前に、目的・情報・体制・検証の4つをチェックリストで確かめる
生成AIの導入は、6つのステップを順番に進める
生成AIの導入は、ツールを選ぶ前に、どの仕事の、どれだけの時間を減らすのかを決めるところから始めます。そのうえで、今のやり方を測り、使う資料を整え、小さく試してから広げていきます。
大事なのは、各ステップの終わりに「次に進んでよいか」を確かめることです。目安に届かなければ、次へ進まずに直すか、止める。この区切りがあると、効果の出ない取り組みに、お金と時間をかけ続けずに済みます。
検討から定着までの6ステップ
6つのステップの全体像です。ステップごとに「何をするか」と「次に進む目安」を並べました。
生成AI導入の6ステップ
- ステップ1目的と対象の仕事を決めるいちばん時間がかかっている仕事を1つ選び、空いた時間の使い道も決める。次に進む目安は、減らしたい仕事と時間が決まっていること
- ステップ2今のやり方を測る1件あたりの時間、月の件数、待ち時間を数える。次に進む目安は、導入前の数字がそろっていること
- ステップ3使う資料と情報の扱いを決める資料の最新版・置き場所・管理する人・見せてよい範囲を決める。次に進む目安は、資料の一覧ができていること
- ステップ4小さく試す実際の資料で、選んだ仕事を1つ動かしてみる。次に進む目安は、そのまま使える割合が分かっていること
- ステップ5使いながら直す人の確認を多めにして現場で使い、直した点をルールに加える。次に進む目安は、直す回数が減ってきていること
- ステップ6効果を確かめて広げる導入の前と後で時間を比べ、次に取り組む仕事を決める。次に進む目安は、減った時間と次の仕事が決まっていること
この6ステップは、当社が実際に導入を支援するときの順番をもとにしています。ここからは、2つずつ順に説明します。
ステップ1・2:目的と対象を決め、今のやり方を測る
最初に決めるのは、どの仕事の、何を減らしたいかです。当社では、いちばん時間がかかっている仕事を1つ選んで始めることをおすすめしています。最初から全社の仕事を対象にすると、準備も確認も終わりません。
最初に取り組む仕事を選ぶ3つの目安
- 件数が多く、毎週くり返す減らした時間が、毎週・毎月たまっていく
- 止まっている場所が分かる探す・聞く・待つが、どこで起きているかを説明できる
- 前後の担当者が一緒に関われるその仕事の前と後を受け持つ人も、試すときに参加できる
当社のセミナー「製造業の『見えない製造ライン』をカイゼンする」でも、最初の一業務はこの3つの目安で選ぶとお伝えしました。あわせて、空いた時間を何に使うかも、このときに決めておきます。決めておかないと、空いた時間がほかの雑務に埋もれてしまいます。
詳しく解説した記事コラムAIで業務効率化できる仕事とは?向いている仕事・向いていない仕事の見分け方AIで業務効率化できるのは、件数が多く、使う資料があり、出来上がりの形が決まっていて、最後に人が確かめられる仕事です。A…仕事を選んだら、ステップ2で今のやり方を測ります。導入前の数字がないと、あとで効果を説明できません。次のような項目を、選んだ仕事について数えておきます。
| 測ること | 数え方 | 例 |
|---|---|---|
| 1件あたりの作業時間 | 担当者に、数件分の時間を記録してもらう | 見積書1件を作る時間 |
| 月の件数 | 業務システムや過去の記録から数える | 1か月に作る見積書の数 |
| 待ち時間・聞き直し | 人に確認するために止まった回数と時間を数える | ベテランの手が空くまで待った時間 |
| 手戻り | 差し戻しや作り直しの回数を数える | 上長から差し戻された回数 |
ステップ3・4:資料を整え、小さく試す
ステップ3では、選んだ仕事に使う資料と、情報の扱いを決めます。資料ごとに、最新版・置き場所・管理する人・見せてよい範囲の4つを決め、決算や給与のように読ませない情報も先に決めておきます。会社中の資料がそろうのを待つ必要はありません。
あわせて読みたいコラム社内ナレッジをAIで活用するには?始める前にやっておく資料の整理社内ナレッジをAIで活用するときは、全部の資料をそろえてから始める必要はありません。最初の仕事に使う資料だけを選び、最新…ステップ4では、実際の資料を使って、選んだ仕事を1つ動かしてみます。正しい答えが分かっている過去の案件を使うと、AIの出したものがそのまま使えるかを確かめやすくなります。当社のセミナー「Claude Codeで、何ができるのか?」でも、最初の1業務は、1週目に候補を絞り、2〜3週目で設計してつなぎ、4週目に試しに動かす流れで進めるとお伝えしました。
試した結果は、感想だけで判断しないようにします。営業組織へのご提案では、試した後の評価を、「誰が画面を開き、誰がそれを使って動いたか」という行動で確かめる形にしました。実際に使われたかどうかを見ると、次に進むかどうかを決めやすくなります。
ステップ5・6:使いながら直し、効果を確かめて広げる
ステップ5では、現場で使いながら直していきます。最初から全部をAIに任せず、人の確認を多めにして始めます。食品メーカーの情報システム部門へのご提案では、次の順番で、AIに任せる範囲を少しずつ広げる形にしました。
AIに任せる範囲を広げていく順番(ご提案の例)
- 見本のデータで試す本物ではない見本のデータで、動きを確かめる
- 実際のデータの一部で試す本物のデータを少しだけ使い、結果を人が確かめる
- 全件を、人の承認付きで使うすべての件数で使い、1件ずつ人が承認してから進める
- 問題の少ない処理から自動にする間違いが出ない処理から順に、承認を省いていく
使いながら人が直した点は、ルール帳に1行ずつ追加します。同じ直しを二度しなくて済むようになり、直す回数が減ってきたら、次のステップに進む目安です。
ステップ6では、導入の前と後で数字を比べます。当社では、効果を次の順番で計算しています。
| 順番 | 計算すること | 計算のしかた |
|---|---|---|
| 1 | 空いた時間 | 1件あたりの短くなった時間 × 月の件数 |
| 2 | 何人分の仕事か | 空いた時間 ÷ 1人のひと月の労働時間 |
| 3 | 年間の人件費 | 空いた時間 × 1時間あたりの人件費 × 12か月 |
| 4 | 回収までの期間 | 導入にかかった費用を、何か月で取り戻せるか |
イベント制作の会社へのご提案では、試行の終わりに、1本を作る時間、書き写しの時間、変更がすべての版にそろうまでの時間、現場が「このまま使える」とした割合の4つを、お客さまの実際の数字でお返しする計画にしました。当社の支援では、各ステップの終わりに効果を実際の数字で確かめ、出ていなければ次へ進みません。効果を確かめてから、次の仕事に広げていきます。
生成AI導入前のチェックリスト
最後に、導入を始める前に確かめておきたい項目を、目的・情報・体制・検証の4つに分けてまとめます。1つでも決まっていない項目があれば、始める前に決めておきます。
| 分類 | 確かめること |
|---|---|
| 目的 | どの仕事の、どれだけの時間を減らすかが決まっている |
| 目的 | 空いた時間を何に使うかが決まっている |
| 情報 | 使う資料と、その最新版がどれかが分かっている |
| 情報 | AIに読ませない情報と、資料の置き場所が決まっている |
| 体制 | 業務を知る担当者、ルールを確認する人、使い続ける担当者が決まっている |
| 体制 | 進めるかどうかを判断する責任者が決まっている |
| 検証 | 導入前の作業時間と件数を測ってある |
| 検証 | 次に進む目安と、止めるときの基準を決めてある |
体制の3つの役割は、当社の導入支援でも最初にお客さまと一緒に決めています。進め方の全体は導入支援の進め方で紹介しています。導入でつまずきやすい点は、次の記事にまとめています。
あわせて読みたいコラムAI導入が失敗する原因と、避けるための進め方AI導入がうまくいかない原因の多くは、AIの性能より進め方にあります。よくある5つの原因と、それぞれの避け方を、当社がご…マスターブレインを活用した生成AIの導入
マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。
当社の導入は、ご相談でいちばん効果が出る仕事を一緒に選ぶところから始まり、情報が集まる仕組みづくり、専用画面を現場で試す段階、使いながら会社のやり方に合わせる段階を経て、全員が使える状態にして効果を測ります。最初の仕事でたまった資料とルールは、次の仕事にもそのまま使えます。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
御社の最初の一歩、一緒に決めませんか?
マスターブレインは、会社の資料・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずは資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。
- 仕組みと、5つの層の役割
- 業務別の活用例と構築実績
- 導入の進め方と、費用の決まり方
- 説明より先に、動くデモをお見せします
- 資料が整理されていなくても大丈夫です
- 2営業日以内に担当者からご連絡します
これまでの構築実績から
- 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
- 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
- 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル
この記事の監修者

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。
- AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
- 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化
主な登壇
- 製造業の「見えない製造ライン」をカイゼンする2026年9月
- AIに「会社の脳」を持たせるには?2026年8月
- Claude Codeで組織はどう変わる?AI時代の組織設計2026年7月
- 第21回 CONVERSION SUMMITに登壇2026年6月
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