社内データ・ナレッジ活用

社内ナレッジをAIで活用するには?始める前にやっておく資料の整理

社内ナレッジをAIで活用するときは、全部の資料をそろえてから始める必要はありません。最初の仕事に使う資料だけを選び、最新版・置き場所・管理する人・見せてよい範囲を決めます。資料の整理の進め方を図解で説明します。

社内ナレッジをAIで活用するには?始める前にやっておく資料の整理

社内の資料をAIで使えるようにしたい。でも、資料は部署や個人のフォルダにばらばらで、どれが最新版かも分からない。「まずは資料を全部整理してから」と考えているうちに、話が止まってしまう。そんな会社は少なくありません。

最新の単価表って、どのフォルダにあるんだろう…

資料の場所や版が分からないと、AIに読ませる準備も進みません。

実際のご相談でも、「データが全部紙」「システムが独自すぎて読み込めない」「部署によってやり方が全然違う」という声をよく伺います。この記事では、社内ナレッジをAIで活用する仕組みと、始める前にやっておく資料の整理を、順番に説明します。

この記事のポイント

  • 全部の資料をそろえるのを待たずに、最初に取り組む仕事に使う資料だけを選ぶ
  • 選んだ資料ごとに、最新版・置き場所・管理する人・見せてよい範囲の4つを決める
  • 資料の棚卸しや古いデータの読み解きも、AIに手伝わせると早く進む

社内ナレッジをAIで活用するには、最初の仕事の分から資料を整える

社内ナレッジをAIで活用するには、最初に取り組む仕事を1つ決め、その仕事に使う資料だけを先に整えることから始めます。会社中の資料がそろうのを待つ必要はありません。

整えるときに決めるのは、どれが最新版か、どこに置いてあるか、誰が管理するか、誰に見せてよいかの4つです。この4つが決まっていれば、AIは会社の資料をもとに、根拠を付けて答えられるようになります。

社内ナレッジをAIで活用する仕組み

まず、社内の資料がどのようにAIで使われるのかを見ておきましょう。当社では、次の5つの段階で仕組みを組み立てています。

社内ナレッジをAIで使う5つの段階

  1. 集める書類・メール・会議の記録・業務データを1か所から読めるようにする
  2. 整理するどの案件の、誰との、いつの話かを付ける。要約と元の記録は分けて残す
  3. 守る部署や役職ごとに見られる範囲を決め、更新と承認の手順を決める
  4. 探して答える質問に合う資料を探し、その内容をもとにAIが答える
  5. 人が確かめる答えと根拠を人が確認し、送信や決定は人が行う

この記事で扱う資料の整理は、5つのうち「集める」「整理する」「守る」の3つにあたります。AIの答えが正しいかどうかは、この3つの段階で大きく変わります。質問に合う資料を探して答える仕組みそのものは、検索拡張生成(RAG)と呼ばれます。

詳しく解説した記事コラムRAGとは?社内の資料をもとにAIに答えさせる仕組みをわかりやすく解説RAG(検索拡張生成)は、AIが答える前に社内の資料から関係する部分を探し、その内容をもとに答える仕組みです。普通のAI…

資料の整理で止まってしまう理由

AIの活用が、資料の整理の段階で止まってしまう会社には、よく似た状態があります。次のうち当てはまるものはありますか。

資料の整理で止まりやすい会社の状態

  • 「全部の資料をそろえてから始めよう」と考えている
  • 同じ資料の版がいくつもあり、どれが最新か分からない
  • 紙や画像のままの資料が多い
  • 部署ごとに、資料の作り方や呼び方が違う
  • 見せてはいけない資料が混ざっていないか不安で、手をつけられない

中でも多いのが、版が分からない問題です。イベント制作の会社とのご相談では、運営マニュアルを全体用・現場スタッフ用・協力会社用と書き分けていて、変更が入るたびに3つとも直す必要がありました。どれか1つが直し漏れると、AIは古いほうの内容を使って答えてしまいます。

止まっている原因の多くは、資料の量ではありません。何をそろえればよいかが決まっていないことです。使う資料を、最初の仕事に必要な分だけに絞ると、整理は一気に進みます。

始める前に決めておく4つのこと

最初の仕事に使う資料を選んだら、資料ごとに次の4つを決めます。

決めることやること例
最新版どれを正式な版とするかを決め、古い版はAIに読ませない単価表は「総務の共有フォルダにあるもの」を正とする
置き場所資料がどこにあるかを書き出す。資料は今の場所から動かさないファイルサーバーの「見積」フォルダ、業務システムの受注データ
管理する人資料が変わったときに、誰が差し替えるかを決める単価表は購買の担当者、規程は総務の責任者
見せてよい範囲誰がその資料を見てよいかを決める。見せない資料は読ませない単価表は営業と購買だけ。決算や給与の資料は読ませない

2つ目の置き場所では、資料を新しい場所に移す必要はありません。ご相談を受けた通販の会社へのご提案でも、データは今の場所から動かさず、AIが見に行く形にしました。資料を移す作業がない分、現場の負担も小さくなります。

全部そろえてから始める場合と、1つの仕事の分から始める場合

全部そろえてから始める
  • 会社中の資料を集めて整理するのに、何か月もかかる
  • 整理している間に、資料がまた古くなる
  • 効果が見えないので、協力する人が減っていく
1つの仕事の分から始める
  • その仕事に使う資料だけを整えるので、すぐに試せる
  • 実際に使うので、足りない資料や古い資料が分かる
  • 効果を確かめてから、次の仕事の資料に広げる

社内AIをどんな方式で作るか、どんな情報を集めるかの全体像は、次の記事でまとめています。

あわせて読みたいコラム社内AIの作り方|自社の資料と判断ルールを業務に組み込む手順社内AIは、自社の資料や過去の記録、判断のルールを使って答える仕組みです。作り方の選び方、集める情報、構築の手順、使い続…

資料の棚卸し表をつくる

4つのことを決めたら、1枚の表にまとめておきます。資料の棚卸し表です。AIに読ませる資料と読ませない資料が、ひと目で分かるようになります。

資料置き場所管理する人見せてよい範囲AIでの扱い
材料の単価表(最新版)総務の共有フォルダ購買の担当者営業・購買読ませる
過去の見積書ファイルサーバー営業の責任者営業読ませる
打ち合わせの録音会議ツールの保存先各案件の担当者案件の関係者名前などを伏せてから読ませる
改定前の単価表個人のフォルダ——読ませない(古い版)
決算・給与の資料経理のシステム経理の責任者経営層読ませない
表の例は、仕組みを説明するための例です。

特定のお客さまの資料や設定ではありません。

当社の導入でも、読ませる資料と読ませない資料の線引きをした一覧と、データの項目の一覧をお客さまにお渡ししています。読ませない情報を先に決めておくと、社内の確認も進みやすくなります。置き場所は社内のサーバーの中にすることもでき、決算のように見せてはいけない情報は最初から読ませません。

社内の問い合わせ対応のように、規程やマニュアルを読ませる仕事では、資料を管理する人を決めておくことが特に大切です。規程が変わったときに差し替える人がいないと、AIは古い規程で答え続けてしまいます。

あわせて読みたいコラム社内問い合わせ対応をAIで減らすには?総務・情シス・人事の負担を軽くする進め方社内の問い合わせをAIで減らすには、同じ質問が何度も来る分野から始め、規程やマニュアルを根拠に答える仕組みを用意します。…

資料の整理も、AIに手伝わせる

資料の整理を、すべて人の手でやる必要はありません。資料を集めて一覧にする作業や、古いデータの中身を読み解く作業は、AIに手伝わせると早く進みます。

資料の整理でAIに手伝わせること(イメージ)

散らばった資料
  • 部署や個人のフォルダ
  • 版違いのマニュアル
  • 古い業務システムのデータ
AIが読む中身を読んで、種類や版の違いを書き出す
出てくるもの
  • 資料の棚卸し表の下書き
  • 版の違いと、直し漏れの候補
  • データの表や項目の説明

ご相談を受けた会社では、長年使ってきた業務システムのデータが、表の名前が略号ばかりで、用途の分からない表や古い控えも混ざっていました。AIと一緒に読み解くと、その日のうちに表の役割とつながりを書き出した資料ができました。AIを使う準備そのものも、AIで進められます。

一方で、紙の資料を読み取れる形にする作業は、人が少しずつ進めるしかありません。これも、最初の仕事に使う紙の資料から始めれば十分です。

実際に、当社が構築した地域医師会のチャットボットでは、業務フロー資料157ファイルを構造化して読ませることで、検証した208問すべてに正しく回答できました。放送・メディアの会社へのご提案では、1つの部署の2つの仕事だけを対象に、次のような流れで1か月の試行を組みました。

1つの部署から始める1か月の進め方(ご提案の例)

  1. 最初決める対象の仕事と、見せてよい資料の範囲を決める。ここだけはお客さまに決めていただく
  2. 次に集める資料を集める作業もAIで進め、読み取りだけでつなぐ
  3. その後作る企画書のたたき台などを、集めた資料をもとに作れるようにする
  4. 最後に測る1本を作る時間を前後で比べ、手応えを見てから次を決める

資料の整理から、実際に使える状態までを1つの流れで進めると、何をそろえればよいかが現場にも見えてきます。進め方の全体は導入支援の進め方で紹介しています。

マスターブレインを活用した社内ナレッジの活用

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

資料は今の置き場所から動かさずに集め、「どの案件の、誰との、いつの話か」を付けて整理します。要約と元の記録を分けて残すので、答えの根拠をたどれます。部署や役職ごとに見られる範囲を分け、読ませない情報は最初に線を引きます。最初の仕事に使う資料から始めて、効果を確かめながら対象を広げていきます。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

AIに読ませる資料、どこから整理しますか?

マスターブレインは、会社の資料・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずは資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。

資料をダウンロード(無料)マスターブレイン サービス概要資料
  • 仕組みと、5つの層の役割
  • 業務別の活用例と構築実績
  • 導入の進め方と、費用の決まり方
資料をダウンロードする
無料相談(オンライン)御社の「いちばん重い仕事」を伺います
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  • 資料が整理されていなくても大丈夫です
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これまでの構築実績から

  • 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
  • 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
  • 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル

この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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