AIによる業務自動化

日報のAI活用|書く負担を減らし、集まった日報を仕事に使う方法

日報のAI活用は、書く人の手間と読む人の手間の両方を減らすことから始めます。音声や予定から日報の下書きを作る方法、集まった日報を上司が状況をつかむのに使う方法、見る範囲の決め方を図解で説明します。

日報のAI活用|書く負担を減らし、集まった日報を仕事に使う方法

日報を毎日書いてもらっているのに、仕事に生かせていない。営業は外回りから戻ってから1日の動きを思い出して書き、上司は全員分を読み切れずに目を通すだけになっている。管理職の方から、こうしたお悩みをよく伺います。

今日の日報、また帰ってから書かなきゃ…

今日の予定と通話の記録から下書きを作りました

書く作業をAIに任せると、日報は確かめるだけで済みます。

日報が生かされないのは、書く人のやる気が足りないからではありません。書くのにも、読んでまとめるのにも、人の手間がかかりすぎているからです。この記事では、AIを使って日報を書く負担を減らす方法と、集まった日報を上司の判断や案件の記録に使う方法を説明します。

この記事のポイント

  • 日報が仕事に生かされないのは、書く手間と、集まった日報を読んでまとめる手間の両方が人に残っているから
  • 書く負担は、短く話した音声や、予定表・メール・通話の記録からAIが日報の下書きを作ることで減らせる
  • 集まった日報はAIが要点と案件ごとの記録にまとめ、上司が状況をつかむのに使う。誰が何を見られるかは始める前に決める

日報のAI活用は、書く手間と読む手間の両方を減らすこと

日報をAIで活かすには、書く人の手間と、読む人の手間の両方を減らすことが必要です。書く人は、短く話すか、AIが作った下書きを確かめるだけにします。読む人は、AIがまとめた要点を読み、気になる日報だけを開きます。

さらに、日報の中身を案件やお客さまごとに分けて残しておくと、担当の引き継ぎや会議の準備にも使えます。日報が、その日の報告に加えて、後から読み返せる仕事の記録になります。

日報が書かせるだけで終わってしまう理由

日報が仕事に生かされない理由を、書く人・読む人・会社の3つの立場で整理します。

立場困っていることその結果
書く人(営業・現場)外回りの後に、1日の動きを思い出しながら書く書くのが夜になり、中身が短く薄くなる
読む人(上司)部下全員の日報を読む時間がない目を通すだけになり、声をかける時機を逃す
会社日報が人ごと・日ごとのファイルに分かれているお客さまや案件の経緯を、後から探せない

住宅・不動産の会社とのご相談では、営業が口頭で伝えた日報を、あとから表計算ファイルに書き写していました。そのため、その日の状況をすぐにつかめず、部下の育成や、予算と実績の管理が後回しになっていました。ご相談の中でも、「以前ツールを入れたが、面倒がる人がいて定着しなかった」という声をよく伺います。

当社がマスターブレインを立ち上げてきた経験でも、顧客管理や日報が続かなくなるのは、入力に手間がかかるからだと分かっています。書く手間と読む手間の両方が人に残っていると、日報は続かず、続いても仕事に使われません。

書く負担を減らす:話すだけ、確かめるだけにする

書く負担を減らす方法は、大きく2つあります。1つは、移動の合間などに短く話した音声から、AIが日報をまとめる方法です。もう1つは、予定表・送ったメール・通話の記録から、その日にしたことをAIが下書きする方法です。

手で書く日報と、AIが下書きする日報

手で書く日報
  • 帰社してから、1日の動きを思い出して書く
  • 訪問先や時間を一から打ち込む
  • 書いた内容は、その日の日報の中にだけ残る
AIが下書きする日報
  • 移動の合間に、短く話すだけ
  • 予定表やメールから、したことの下書きが出る
  • お客さまや案件ごとに分けて残る

事業部制のBtoB企業へのご提案では、日報を書かなくても、1日の仕事の流れが時間の順に残る形を考えました。記録の集め方は、社内にすでにある記録の仕組みや業務メールの設定などから、社員の手間がいちばん少ない方法を選びます。

話した内容から日報の下書きを作る(説明例)

精密部品メーカーを訪問しました。見積もりの返事は来週になるそうです。先方の担当の方が、来月に異動されるとのことでした。

日報の下書きを作りました。訪問先:精密部品メーカー/見積もり:来週に返事の予定/気になる点:先方の担当者が来月に異動。次回の訪問日が決まっていれば教えてください。もとにした記録:今日の予定表/話した音声

本人が中身を確かめてから、日報として出します

AIは、次の訪問日のように日報に足りない項目だけを聞き返します。本人は、話した内容と下書きが合っているかを確かめるだけで済みます。ただし、話す・確かめる・聞き返しに答えるといった操作は残るので、そのことは最初に正確に伝えておきます。

集まった日報を、上司が状況をつかむのに使う

部下が多いほど、上司が全員の日報を毎日読むのは難しくなります。そこで、集まった日報をAIがまとめ、上司は要点を読んでから、気になる日報だけを開く形にします。要点には、もとの日報へのリンクを付けておきます。

チームの日報をまとめる画面(イメージ)

チームの日報まとめ

選ぶもの
  • 対象:営業チームの昨日の日報
  • 見たいこと:動きが止まっている案件
AIがまとめるもの
  • チーム全体の動きの要点
  • 返事を待っている案件と、待っている日数
  • 今月の予算と実績
  • 声をかけたほうがよい点(もとの日報へのリンク付き)

まとめに入れるのは、日報に書かれた事実と、そこから分かる変化までです。部下の仕事ぶりをどう見るか、どう声をかけるかを決めるのは上司です。要点を読む時間が短くなった分、部下と話す時間を増やせます。

日報の要点は、会議の準備にも使えます。健康食品の通販会社とのご相談では、会議が「みんなの情報のレベルを合わせるところから始まる」というお話がありました。ご提案では、会議の前に、前回決まったことと宿題を配る形を考えました。

日報の要点も会議の前に配っておけば、会議の最初から次の打ち手を話し合えます。欠席した人も、要点を読めば話に追いつけます。会議の記録の残し方は、議事録をAIで作るときのポイントでまとめています。

日報を、お客さまや案件ごとの記録として残す

日報は日付と人で分かれているので、そのままでは「このお客さまと、これまでに何があったか」を追うのに手間がかかります。AIが日報の中身を読み、お客さま・案件・日付を付けて分けて残すと、同じ日報をいろいろな場面で使えます。

集まった日報を使える場面(イメージ)

毎日の日報
  • 上司の状況把握チーム全体の要点と、止まっている案件
  • お客さまの履歴訪問・やりとり・約束の流れ
  • 案件の経緯見積もりから受注までの動き
  • 担当の引き継ぎ後任がお客さまごとの経緯を読める
  • 会議の準備前回からの動きと宿題
  • 若手の学び先輩が似た場面でどう動いたかを読める

担当が替わったときも、お客さまごとの経緯を読めば、これまでの約束や気をつける点が分かります。住宅・不動産のフランチャイズ加盟店網へのご提案でも、担当が替わったときに、お客さまとの約束を記録で引き継げる形を考えました。担当の交代で「言った・言わない」が起きるのを減らすためです。

AIがまとめた要点とは別に、本人が話した内容や書いた文章も、そのまま残しておきます。後で確かめたいときに、元の日報に戻れるようにしておくためです。商談の記録を予定や録音から自動でためる方法は、次の記事で詳しく説明しています。

詳しく解説した記事コラム営業のAI活用|商談準備・提案・記録・フォローで使う方法営業のAI活用は、商談の準備・提案・記録・フォローの4つの場面で考えると、どこから始めればよいかが分かります。お客さまの… 無料メルマガ登録 社内AI・業務活用の最新情報をお届け。AI導入・情報活用・業務効率化のヒントを配信

監視の道具にしないために、見る範囲を先に決める

日報を自動でためると聞くと、社員から「自分の仕事を丸裸にされるのでは」という声が出ることがあります。先ほどの事業部制のBtoB企業とのご相談でも、この不安が大きな論点になりました。誰が何を見られるかと、記録しないものを、始める前に会社として決めて社員に伝えます。

日報を自動でためる前に決める3つのこと

  • 記録しないもの私用のやりとりや雑談は、最初から記録しない
  • 見られる範囲本人が確かめて出した日報は上司も読む。自動で集めた細かな記録は本人だけが見て、上司は集計した数字まで
  • 出す前の確認AIの下書きは、本人が確かめてから日報として出す

部署や役職ごとに見られる範囲を分けておけば、権限のない人がAIに質問しても、その人が見られない日報の中身は答えに使われません。「ここから先は見ない」を最初に伝えておくと、日報の仕組みが監視の道具と受け取られずに済みます。

始めるときは、全社で一斉に始めず、1つのチームから始めます。日報を書く時間、上司が日報を読む時間、会議の最初に状況をそろえる時間を、始める前と後で比べます。当社では、支援を始める前に、空いた時間を何に使うか、成果をどの数字(KPI)で確かめるかまで、お客さまと一緒に決めています(導入支援の進め方)。

ためた日報を、会社の知識として仕事で使う方法は、次の記事でまとめています。

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マスターブレインを活用した日報の仕組み

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

予定表・メール・通話の記録・話した音声は、普段どおり仕事をするだけで集まり、「どの案件の、誰との、いつの話か」を付けて整理されます。社員は日報の専用画面で下書きを確かめ、上司は要点をまとめる画面から、見てよい範囲の中で状況をつかみます。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

毎日集まる日報、読まれないままになっていませんか?

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この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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