X(旧Twitter)で、xAIのAIエージェント「Grok Bot」の営業での使い方が話題になっています。海外の利用者が、5つのGrok Botに受け持ちを分け、営業先の絞り込みからメールの送信までを任せたという投稿です。2026年8月28日の投稿は、10月22日時点で約11万回表示され、1,000件以上保存されています。10月22日には、日本語で紹介する投稿も出ました。
注目されたのは、AIを5つ並べて、最後の1つに「送るのを止める役」を任せた点です。この記事では、投稿で紹介された受け持ちの分け方、Grok Botで公式にできること、日本の会社が試す前に確かめる法律と社内の決まりを説明します。
このメール、相手の迷惑になりませんか?
先に、送る理由を確かめよう
この記事のポイント
- 話題の使い方は、営業を「探す・根拠を集める・資料を作る・送る・止める」の5つの受け持ちに分け、それぞれにGrok Botを1つずつ置いたもの
- Grok Botは、xAIが2026年8月11日に発表した、クラウド上の専用のパソコンで仕事を進めるAI。公式の説明では、送信の前に人の承認を入れるよう勧めている
- 日本で営業メールを送るときは、特定電子メール法の決まり(同意・表示・受信拒否への対応)を確かめる
話題になったのは、営業を5つの受け持ちに分けた使い方
投稿者は、5つのGrok Botに1つずつ狭い仕事を割り当てました。営業先を探す役、困りごとの根拠を集める役、1枚の診断資料を作る役、メールを送る役、そして送るのを止める役です。営業を5つの役に分け、Botから次のBotへ順番に仕事を渡した点が、チャット型のAIに1回ずつ頼む使い方と違うところです。xAIも、仕事を絞ったBotを複数置く使い方を勧めています。
ただし、成果の数字は投稿者本人の申告で、当社では確かめていません。また、xAIの公式の説明では、送信の前に人が承認する形を勧めています。日本で試すなら、送る前に人が確かめる場所と、営業メールの法律の決まりを先に整えることが欠かせません。
話題の使い方:5つのGrok Botの受け持ち
投稿によると、準備にかかったのは一晩です。5つのBotを作り、外部のメールのサービスでBotごとに受信箱を持たせ、役割を文章で書いて、探す作業を定期的に動かしました。投稿者自身は自分のメールの受信箱を使わず、翌朝にやりとりを読んで確かめたとしています。
話題になった5つのGrok Botの受け持ち(投稿の説明から)
- 探す役地域の会社を集め、「1週間で直せる困りごとがあるか」の1つの基準で絞る
- 根拠を集める役長く更新されていないホームページ、返事のない口コミ、動かない予約フォームなどを記録する
- 資料を作る役画面の写しを入れた1枚の診断資料を作り、メールに付ける
- 送る役Bot専用の受信箱からメールを書いて送り、返事にも同じやりとりの中で答える
- 止める役ほかの4つが送ってよいとしたメールを「相手の迷惑にならないか」で見直し、止める
投稿者の申告では、結果は次のとおりです。投稿者は、1つの町の1つの業種で、6時間だけ試した最初の結果だと断っています。
| 段階 | 会社の数(投稿者の申告) |
|---|---|
| 集めた会社 | 468社 |
| 探す役の基準を通った会社 | 146社 |
| 止める役が止めたメール | 6通 |
| メールを送った会社 | 140社 |
| 返事があった会社 | 27社 |
| 打ち合わせ(電話)を希望した会社 | 23社 |
| 契約した会社(投稿の時点) | 11社 |
この数字は、投稿者本人の申告で、当社では確かめていません。数字よりも参考になるのは、営業先を選ぶ基準を1つの文で決めていた点と、送る前に止める役を置いた点です。
詳しく解説した記事コラムAIエージェントに任せる工程の切り出し方|入力・判断・出力・確認で業務を分けるAIエージェントに仕事を任せるときの、業務フローの分け方を説明します。1つの仕事を入力・判断・出力・確認の4つの工程に分…Grok Botとは:公式ページで分かること
Grok Botは、xAIが2026年8月11日に試験版として発表したAIです。xAIは「AIのチームメイト」と呼び、24時間動き続けると説明しています。Botごとに名前と仕事を決めて作り、文字や声で頼むと、クラウド上の専用のパソコンで仕事を進めます。人のパソコンやスマホを閉じていても、仕事は続きます。
- パソコンにはブラウザと作業用のファイルの置き場があり、アプリやWebサイトにログインして作業する
- 人がやって見せた手順を「スキル」として保存し、決まった時刻やきっかけで動かせる(この設定を「ルーティン」と呼ぶ)
- 複数のBotを同時に動かせて、Bot同士でやりとりしたり、仕事を引き継いだりできる
- 承認が必要な操作では、Botが中身を見せて人の承認を求める。危ない操作を別のAIが先に見直す仕組み(Auto Review)もある。どこで止めるかは、頼むときの指示と設定で決める
使えるのは、xAIやCursorの有料プランの利用者です。対象のプランは公式ページで確かめてください。日本での提供の範囲は、公式ページでは示されていません。
これまでとの違い:1つのAIに頼む使い方と、受け持ちを分ける使い方
チャット型のAIに頼む使い方、話題の使い方、xAIが公式に示している営業の例を、項目ごとに比べました。
| 比べる項目 | チャット型のAIに頼む | 話題の使い方(投稿) | xAIの公式の営業の例 |
|---|---|---|---|
| 進め方 | 人が1回ずつ頼み、答えを受け取る | 5つのBotが順番に受け渡す | 1つのBotが会社を調べ、連絡先に優先順位を付ける |
| できあがるもの | メールの下書き | 診断資料を付けたメール。返事への対応まで | メールやLinkedInの文面の下書き |
| 送信 | 人が送る | 送る役のBotが送り、止める役のBotが見直す | 例の指示文で送らないように指定し、確認用の一覧を人に返す |
| 人の関わり方 | 毎回、人が頼んで確かめる | 翌朝に、やりとりをまとめて読む | 下書きを人が確かめてから使う |
xAIの説明では、送る・買う・消す・公開するといった操作の前には、人の承認を必ず入れるよう勧めています。また、1人の利用者のBotは、すべて同じパソコンを使います。そのパソコンに置いたファイルやログインした状態は、ほかのBotからも使えると考えておく必要があります。会話とBotが覚えたことは、Botごとに分かれています。
日本で試す前に確かめること
日本で営業のメールを送るときは、特定電子メール法の決まりを守る必要があります。総務省の資料によると、広告や宣伝のメールは、原則として、送ってよいと同意した相手にだけ送れます。
例外もあります。取引のある相手や、名刺などでメールアドレスを知らせてくれた相手です。また、インターネットでメールアドレスを公表している会社にも送れます。ただし、広告のメールを断る旨も公表されていれば送れません。メールの中には、送った会社の名前と、受信を断ることができる旨とその連絡先を書く必要があります。住所と問い合わせ先も、メールの中か、メールに示したリンク先に書きます。同意をもらった相手でも、受信を断られたら、その後は送れません。同意を得たときの記録を残す義務もあります。
以下は説明のための例です。ホームページの改善を提案する会社が同じ形を試すなら、探す役には「問い合わせのメールアドレスを公表していて、広告のメールを断る旨がない会社」という条件を加えます。止める役の確かめる項目には「送る会社の名前と、受信を断る連絡先があるか」を入れ、送る前に担当者が1通ずつ確かめます。
営業メールでBotに任せることと、人が決めること(説明例)
- 条件に合う会社を探して一覧にする
- ホームページの困りごとを、画面の写しで記録する
- 診断資料とメールの下書きを作る
- 営業先を選ぶ基準と、送らない基準
- 送る相手が法律の例外に当たるか
- メールを送るか、返事にどう答えるか
Grok Botで営業メールを試す前に決めておくこと
- 営業先を選ぶ基準を、1つの文で書けるか
- 送る相手が、同意・取引・名刺・公表のどれに当たるか。広告のメールを断る旨が公表されていないか
- メールに、送る会社の名前、受信を断る連絡先、住所、問い合わせ先が入っているか
- だれが、どの時点でメールを確かめてから送るか
- お客さまの情報や社内の資料を、Botが共有するパソコン(いまはアメリカで動いている)に置いてよいか
- ふだんの仕事のメールとは別の送り先の名前(アドレス)を使うか

当社の見解:AIに渡す前に、選ぶ基準と止める基準を言葉にする
話題の使い方で、AIに渡す前に人が決めていたのは、「1週間で直せる困りごとがあるか」という営業先を選ぶ基準と、「相手の迷惑にならないか」という止める基準の2つです。どちらも、人が言葉にした判断です。AIに仕事を分けて任せるほど、それぞれの役が使う判断の基準を、会社として書いておく必要があります。
当社のセミナー『Claude Codeで、何ができるのか?』でも、AIに仕事を最後まで進めさせるには、決まった手順、仕事のルール、自動のチェック、外のサービスとのつなぎ方の4つを設計するとお伝えしました。止める役のBotは、この自動のチェックに当たります。
当社が会社専用のAIを作るときも、送信や決裁の前に人が確かめる形にしています。人が直したことは、ルールとして1行ずつ残し、次からAIが同じことを守るようにしています。営業でAIを使う前に、自社の「選ぶ基準」と「送らない基準」を書き出すところから始めるのがよいでしょう。
投稿の数字は投稿者本人の申告です。Grok Botの最新の内容はxAIの公式ページで、営業メールの決まりは総務省の資料でご確認ください。
マスターブレインを活用した、営業の判断の基準づくり
マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。
マスターブレインでは、過去の提案や商談の記録から、どんなお客さまに、どんな理由で提案してきたかを整理し、AIが参照できる判断の基準にします。AIは基準に沿って下書きと根拠を用意し、送るかどうかは担当者が決めます。仕組みの全体はマスターブレインの仕組みで紹介しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
営業先を選ぶ基準、言葉にできていますか?
マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。
- 仕組みと、5つの層の役割
- 業務別の活用例と構築実績
- 導入の進め方と、費用の決まり方
- 説明より先に、動くデモをお見せします
- データが整理されていなくても大丈夫です
- 2営業日以内に担当者からご連絡します
これまでの構築実績から
- 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
- 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
- 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル
会社の情報・知識・判断基準を活用するマスターブレインの設計と、業務別の活用方法を解説しています。個別の実装範囲は、扱う情報・既存環境・確認体制に合わせて検討します。
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