AIによる業務自動化

営業のAI活用|商談準備・提案・記録・フォローで使う方法

営業のAI活用は、商談の準備・提案・記録・フォローの4つの場面で考えると、どこから始めればよいかが分かります。お客さまの情報をまとめる準備、入力しなくてもたまる商談記録、連絡すべきお客さまを見逃さないフォローの方法を図解で説明します。

営業のAI活用|商談準備・提案・記録・フォローで使う方法

営業の仕事は、お客さまと話すことだけではありません。商談の前にはお客さまの情報を集め、商談の後には記録を残し、報告をまとめ、次に連絡する時期を覚えておく必要があります。こうした仕事に追われて、肝心の商談の時間が足りないという声をよく伺います。

前回の商談で、何を約束していたんだっけ…

前回の宿題は2つです。見積もりの再提出と、導入事例の送付です

商談の記録が残っていれば、AIがすぐに思い出させてくれます。

営業支援のツールを入れたのに、入力が負担になって使われなくなった、という会社も少なくありません。この記事では、営業のAI活用を、商談の準備・提案・記録・フォローの4つの場面に分けて説明します。

この記事のポイント

  • 営業のAI活用は、商談の準備・提案・記録・フォローの4つの場面に分けて、時間がかかっているところから始める
  • 商談の記録は、営業が後から入力する形にせず、予定や録音から自動でたまる形にする
  • お客さまへの連絡や約束は、送る前に必ず人が確かめる

営業のAI活用は、商談の前後の作業をAIに任せるところから

営業のAI活用は、商談そのものより、商談の前後にある準備・記録・フォローの作業をAIに任せるところから始めると、効果が出やすくなります。お客さまと話すこと、提案の中身を決めること、約束をすることは、これまでどおり営業が行います。

大事なのは、AIのために営業の入力作業を増やさないことです。予定や商談の録音から記録が自動でたまれば、営業はお客さまと話す時間を増やせます。準備と記録にかかる時間が減るほど、1日に会えるお客さまの数も増えていきます。

営業でAIが使える4つの場面

営業の仕事を、商談の準備・提案・記録・フォローの4つの場面に分けると、AIに任せられることが見えてきます。

場面時間がかかっていることAIに任せられること
準備お客さまとの過去のやりとりや、提案した内容を探して読み直すこれまでのやりとり・提案・前回の宿題を1枚にまとめる
提案提案書を一から作り、自社の書式に整える過去の提案を下敷きに、たたき台を作る
記録商談の後に、内容を思い出しながら入力する録音から要点と宿題を取り出し、案件ごとに残す
フォロー次に連絡する時期を、担当者が覚えておく連絡すべきお客さまを一覧にし、連絡文の下書きを作る

4つのうち、どこから始めるかは、いちばん時間がかかっている場面で決めます。提案書づくりについては、次の記事で詳しく説明しています。

詳しく解説した記事コラム提案書作成をAIで効率化する方法|過去の提案資料を活かしてたたき台を作る提案書作成をAIで効率化するには、過去の提案書や商談記録を材料にして、案件の条件に合うたたき台をAIに作らせます。使う材…

商談の準備:お客さまの情報を1枚にまとめる

商談の前には、そのお客さまとのこれまでのやりとりを確かめておきたいものです。ところが、メール・商談の記録・見積書・請求の情報が別々の場所にあると、集めるだけで時間がかかります。担当が替わったばかりのお客さまなら、なおさらです。

商談準備の専用画面(イメージ)

商談の準備をする

入力するもの
  • お客さま:精密部品メーカー
  • 訪問日:来週の火曜日
AIがまとめるもの
  • これまでのやりとりの要点と、前回の宿題
  • 過去に提案した内容と、その結果
  • 今回の商談で確かめるとよいこと
画面は、仕組みを説明するためのイメージです。

特定のお客さまの情報や、実際のAIの出力ではありません。

準備の1枚には、要約だけでなく、もとになったメールや記録へのリンクを付けておきます。気になるところは、元の記録を開いて確かめられるので、要約だけを信じて商談に臨む心配がありません。準備の1枚が商談の前日に届くようにしておけば、営業が自分で探して開く手間もなくなります。

商談の記録:入力しなくてもたまる形にする

営業支援のツールが使われなくなる理由の多くは、入力の手間です。当社では、問題はどのツールを選ぶかより、誰が入力するのかにあるとお伝えしています。営業が後から入力する前提のままでは、忙しい時期から記録が止まります。

BtoBの営業組織へのご提案では、営業が入力しなくても書き上がっていく顧客管理の形を考えました。流れは次のとおりです。

商談の記録が自動でたまる流れ(ご提案の例)

  1. 予定から案件を作るカレンダーの商談予定から、お客さまと案件を自動で作る
  2. 商談を録音するオンラインの録画や対面の録音を、決めた場所に入れる
  3. 要点と宿題を取り出すAIが要点・宿題・次の予定を取り出し、案件に結び付ける
  4. 自信のない所だけ人が見るAIが判断に自信のない項目だけを、営業が確かめて直す

記録がそろうと、どの提案がよく決まっているか、見送りの理由に何が多いかも見えてきます。この営業組織とのご相談では、見送りになった案件が記録に残らず、なぜ決まらなかったのか、いつ再び訪ねるべきかが、次の判断に生かせていないことが課題でした。

このとき、「入力はゼロになります」とは言いません。録音を入れる、自信のない項目を確かめる、といった残る作業まで、最初に正確にお伝えします。人が直した項目は、そのあとAIが上書きしないようにしておくと、営業も安心して記録を任せられます。

賃貸管理・売買仲介の会社へのご提案では、営業が短く話した音声の日報をAIがまとめ、予算と実績を画面で見られる形もお示ししました。記録が自動でたまると、上司はその日のうちに状況をつかめるようになります。商談の録音から要点を残す方法は、議事録の記事も参考にしてください。

あわせて読みたいコラム議事録をAIで作るときのポイント|要約で終わらせず、決まったことを後から使える形に議事録をAIで作るときは、短い要約より「決まったこと・担当と期限・経緯」を後から探せる形で残すことが大切です。残す項目、…

フォロー:連絡すべきお客さまを見逃さない

見積もりを出したまま返事がないお客さまや、しばらく連絡していないお客さまへのフォローは、売上に直結します。ところが、次に連絡する時期を担当者の記憶に頼っていると、忙しいときほど連絡が漏れます。住宅・不動産のフランチャイズ加盟店網へのご提案の中でも、追客の時期が担当者の記憶頼みになっていることを、AIで減らせる手作業の1つとして取り上げました。

AIが知らせる「連絡すべきお客さま」の例

  • 見積もりを出したまま、返事がないお客さま
  • 前回の商談で約束した宿題の期限が近いお客さま
  • しばらく連絡をしていないお客さま
  • 以前に見送りとなった理由が、解消していそうなお客さま

ここで気をつけたいのは、本当に動きがないお客さまと、記録がないために動きが見えていないだけのお客さまを分けることです。BtoBの営業組織へのご提案でも、この2つを分けて表示する形にしました。記録の漏れを「休眠」と見誤ると、連絡すべきお客さまを見逃してしまいます。

AIは、連絡すべきお客さまの一覧と、連絡文の下書きまでを用意します。お客さまに送る前には、必ず営業が中身を確かめます。当社のセミナー「製造業の『見えない製造ライン』をカイゼンする」でも、AIで空いた時間を、見積もりを出したままのお客さまへの連絡や既存のお客さまへの提案に使う考え方をお伝えしました。

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営業が担うことと、始め方

AIが担うのは、商談の前後の作業です。営業とAIの受け持ちを、先に分けておきます。

営業での、AIと人の受け持ち

AIに任せること
  • お客さまの情報を集めて、1枚にまとめる
  • 商談の要点と宿題を記録に残す
  • 提案書や連絡文の下書きを作る
  • 連絡すべきお客さまを一覧にする
人が行うこと
  • お客さまと話し、課題を聞き取る
  • 提案の中身と価格を決める
  • 約束をし、連絡文を確かめて送る
  • AIが自信のない記録を確かめる

始めるときは、1つのチームの、いちばん時間がかかっている場面から始めます。記録を自動でためるときは、誰がどこまで見られるかも最初に決めておきます。私用のやりとりは記録しないなど、見る範囲の線引きを先に伝えておくと、営業の不安が小さくなります。効果を確かめるときは、準備や記録にかかっていた時間に加えて、商談やフォローの件数がどれだけ増えたかも見ます。ためた記録を会社の知識として使う方法は、次の記事でまとめています。

あわせて読みたいコラムナレッジマネジメントにAIを組み合わせる方法|ためた知識を仕事で使える形にするナレッジマネジメントが続かないのは、ためる・探す・使う・直すのどこかで人の手間が止まるからです。AIを組み合わせて4つの…

マスターブレインを活用した営業の仕組み

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

メール・商談の録音・見積書・請求の情報を、お客さまと案件ごとにつないで整理します。営業は、商談の準備・提案・記録・フォローのための専用画面から使い、AIが用意した情報や下書きを確かめるだけです。記録は普段どおり仕事をするだけでたまり、人が直した内容はルールとして残ります。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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