AIによる業務自動化

提案書作成をAIで効率化する方法|過去の提案資料を活かしてたたき台を作る

提案書作成をAIで効率化するには、過去の提案書や商談記録を材料にして、案件の条件に合うたたき台をAIに作らせます。使う材料、作る流れ、人が確かめること、始め方を図解で説明します。

提案書作成をAIで効率化する方法|過去の提案資料を活かしてたたき台を作る

提案書や企画書づくりに追われて、お客さまと話す時間が足りない。過去の提案書は担当者のPCや会社のサーバーにたくさんあるのに、探すところから時間がかかる。経験のない分野の提案では、若手が先輩の手が空くのを待っている。営業や企画の部署で、よく伺うお悩みです。

来月の展示会の提案、どこから手をつけよう…

似た案件の提案書が見つかりました。たたき台を3案作りますね

過去の提案書を探して下敷きにすれば、提案書づくりは「直す」ところから始められます。

当社がご相談を受けたイベント企画の会社でも、「うちの作業で一番大きいのは提案書づくり」というお話がありました。この記事では、過去の提案資料を活かして、提案書作成をAIで効率化する方法を説明します。

この記事のポイント

  • 提案書作成をAIで効率化するには、過去の提案書・商談記録・自社の実績を材料にして、AIにたたき台を作らせる
  • 案件の条件から、似た過去の提案を探して下敷きにするので、一般論ではなく自社らしいたたき台になる
  • たたき台を選んで直し、お客さまに出すのは人。提案書を作るだけで、どの型が決まりやすいかが記録に残る

提案書作成のAI活用は、過去の提案を下敷きにしたたたき台づくりから

提案書作成をAIで効率化するには、案件の条件を入れると、AIが過去の提案書の中から似たものを探し、それを下敷きにたたき台を作る形にします。担当者は、白紙から書き始める代わりに、出てきたたたき台を選んで直します。

大事なのは、AIに使わせる材料です。自社の過去の提案書と、その結果を材料にすると、AIのたたき台が自社の提案らしくなります。材料のないAIに一から書かせると、どの会社にも当てはまる一般論の提案書になってしまいます。

提案書づくりに時間がかかる理由

まず、提案書づくりのどこで時間がかかっているかを見てみましょう。次のうち、当てはまるものはありますか。

提案書づくりで時間がかかっている場面

  • 参考になる過去の提案書を、個人のPCやサーバーから探している
  • 似た案件があったはずなのに、見つからずに一から作っている
  • どの提案の型が合うかを、担当者の感覚で決めている
  • 経験のない分野では、先輩の手が空くのを待っている
  • 中身ができた後も、自社のひな形に整える作業が残っている

化粧品・健康食品の通販会社とのご相談では、過去の企画書や商品画像を探すだけで数日かかることがある、というお話でした。提案書づくりの時間の多くは、書く作業そのものより、探す・待つ・整えるに使われています。

イベント制作の会社とのご相談では、受注の大半がコンペで、出せる企画の数がそのまま受注の数になる、というお話もありました。提案書づくりに時間を取られると、出せたはずの提案が出せなくなります。提案書の効率化は、作業の時間を減らすだけでなく、提案の数を増やすことにもつながります。

AIに使わせる材料と、汎用のAIとの違い

AIに提案書のたたき台を作らせるときは、次のような材料を使います。

材料何に使うか例
過去の提案書・企画書似た案件を探し、構成や言い回しの下敷きにする業種・時期・目的が近い案件の提案書
提案した結果決まった提案の型を優先して使う受注した提案・見送られた提案と、その理由
商談の記録お客さまの要望や課題を、お客さまの言葉で拾う打ち合わせの録音、議事録、メール
自社の実績と強み提案の裏付けになる事例を入れる公開してよい導入事例、得意な分野
提案書のひな形自社の書式のまま出す表紙・目次・見積の書き方の型

「ChatGPTのような汎用のAIでも提案書は書けるのでは」と聞かれることもあります。一般的な文章を作るだけなら、汎用のAIでも十分です。違いは、自社の記録と事例をもとに作るかどうかです。

汎用のAIに一から書かせる場合と、過去の提案を下敷きにする場合

汎用のAIに一から書かせる
  • 毎回、案件の背景や自社のことを一から説明する
  • どの会社にも当てはまる一般論になりやすい
  • 自社の書式に整え直す手間が残る
過去の提案を下敷きにする
  • 案件の条件を入れるだけで、似た過去の提案が探される
  • 決まった提案の型や、自社の実績が入ったたたき台になる
  • 自社の書式のまま出てくる

イベント企画の会社へのご提案では、過去の提案書を「業種・提案の型・結果」で絞り込めるようにしました。結果まで記録しておくと、どの型の提案がよく決まっているかを材料に使えます。

AIで提案書を作る流れ

実際の使い方は、案件の情報を入れて、出てきたたたき台を選んで直す流れです。社員が使うのは、提案書づくりのための専用画面です。

提案書づくりの専用画面(イメージ)

提案書をつくる

入力するもの
  • お客さま:飲料メーカー
  • 時期:来年3月
  • ご要望:新商品の試飲イベント、来場者の声を集めたい
AIが出すたたき台
  • A案:体験型のブース中心(参考にした過去の提案書 3件)
  • B案:ステージでの発表と撮影会(参考 2件)
  • C案:少人数の招待制(参考 4件)
画面と案は、仕組みを説明するためのイメージです。

特定のお客さまの案件や、実際のAIの出力ではありません。

提案書ができるまでの流れ

  1. 条件を入れるお客さま・時期・ご要望を、画面に入れる
  2. 過去を探す似た案件の提案書と、その結果をAIが探す
  3. 3案を作る決まった型を下敷きに、自社の書式でたたき台を作る
  4. 選んで直す担当者が案を選び、お客さまに合わせて直す
  5. 記録が残る案件・提案の内容・担当者・結果が自動で残る

商談の記録をAIに読ませておくと、提案書の冒頭に、お客さまから伺った現状と課題を、お客さまの言葉のまま整理したページを作れます。当社がご提案をするときも、冒頭の「伺った現状と課題」のページが、お客さまが検討を始めるきっかけになることが多くあります。

見積もりのように、提案書と一緒に作る書類もAIで下書きできます。見積もりの進め方は、次の記事で詳しく説明しています。

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人が確かめることと、記録に残ること

AIが作るのは、あくまでたたき台です。イベント企画の会社へのご提案でも、「AIだけで完璧な提案書はできない」と最初にお伝えしました。AIと人の受け持ちを、先に分けておきます。

提案書づくりでの、AIと人の受け持ち

AIに任せること
  • 似た過去の提案書を探す
  • 3案のたたき台を作る
  • 自社の書式に整える
  • 案件・提案内容・結果を記録する
人が決めること
  • どの案にするかを選ぶ
  • お客さまに合わせて直す
  • 価格や約束ごとを決める
  • 社外秘や権利のある素材を使わないと決める

提案書を作るたびに、案件・提案の内容・担当者・結果が自動で記録されます。記録がたまると、どの型の提案がよく決まっているかが数字で見えるようになります。先輩の役割も、若手に一から教えることから、出てきたたたき台に赤を入れることに変わっていきます。

当社の活用方法のページで紹介している企画書づくりの例では、案件の情報を入れると過去の企画書をもとにたたき台を3案作る形にすることで、1本の作成時間が約20時間から約4時間になる見込みです。商談や打ち合わせの記録を残す方法は、次の記事も参考にしてください。

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提案書作成のAI化を始めるときの進め方

始めるときは、1つの部署の、1種類の提案書から始めます。放送・メディアの会社へのご提案では、1つの部署の企画書のたたき台と週報の2つだけを対象にし、企画書1本を作る時間を前後で比べることから始める形にしました。

提案書づくりにAIを入れる3か月の進め方(ご提案の例)

  1. 1か月目たたき台が出るところまで過去の提案書を集め、案件の条件からたたき台が出る状態にする
  2. 2か月目自社の型を反映する担当者が直した点を反映し、決まりやすい型に沿ったたたき台にする
  3. 3か月目チーム全員で使う営業チーム全員が使い、1本を作る時間の前後を比べる
  4. その後続け方を選ぶ終える・続ける・ほかの書類に広げる、のどれにするかを決める

図は、イベント企画の会社へのご提案でお示しした進め方です。過去の提案書は、今ある形のまま集めれば十分で、最初にきれいに整理し直す必要はありません。社外秘の資料や、権利のある素材を読ませるかどうかは、始める前にお客さまに決めていただきます。

マスターブレインを活用した提案書づくり

マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。

個人のPCや会社のサーバーに散らばった提案書・企画書、商談の記録を集め、案件・お客さま・結果を付けて整理します。提案書づくりの専用画面に案件の情報を入れると、過去の提案をもとに自社の書式でたたき台が出てきます。担当者が直した点はルール帳に残り、使うほど自社の提案の型に近づきます。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで紹介しています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

過去の提案書、眠らせたままになっていませんか?

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この記事の監修者

吉川 遼
吉川 遼よしかわ りょう株式会社 JAPAN SOLUTIONS CAIO(最高AI責任者)/ソフトウェア開発会社 CTO

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。

  • AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
  • 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化

主な登壇

執筆:ジャパンソリューションズ 編集部|運営会社について ↗

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