AIの導入を考え始めると、使える補助金がないかが気になります。調べると制度の名前がいくつも出てきて、どれが自社に当てはまるのか分かりにくいものです。ご相談の中でも、AIの導入に補助金や助成金を使えないかというご質問をいただくことがあります。
AIの導入に使える補助金って、何かありますか?
名前も条件も変わるから、公募要領で確かめよう
補助金は、制度の名前・対象になる費用・金額・締切が、年度や公募回ごとに変わります。民間の解説記事は便利ですが、書かれた時点の情報のまま残っていることがあります。この記事では、補助金の探し方、AI導入に関係する国の制度、入金までの流れ、申請前の注意点と準備を説明します。
この記事のポイント
- 補助金は、ミラサポplusなど国や公的機関の窓口で探し、制度ごとの最新の公募要領で条件を確かめる
- デジタル化・AI導入補助金では、交付決定の前に契約・発注したITツールは対象にならず、代金を自社で支払った後に補助金が交付される
- 申請の前に、AIに任せる仕事、その仕事にかかっている時間、空いた時間の使い道を決めておくと、制度を選びやすく、計画の数字も書きやすい
AI導入に使える補助金は、公的な窓口で探し、最新の公募要領で確かめる
補助金の候補は、中小企業庁の「ミラサポplus」など公的な窓口で探します。条件は、制度ごとの公式サイトにある最新の公募要領で確かめます。公募要領とは、その公募回の対象者・対象になる費用・補助率・締切・守る決まりをまとめた文書です。
AIやITの導入に関係する国の制度には、デジタル化・AI導入補助金(以前の名前はIT導入補助金)などがあります。ただし、同じ制度でも公募回によって要件が変わることがあります。申請の前に、AIに任せる仕事と効果の数字を決めておくと、合う制度を選びやすくなります。
補助金を探すときに使う公的な窓口
補助金の情報は、まず国や公的機関が運営する窓口で探します。次の4つを使い分けると、国の制度と地域の制度の両方を確かめられます。
補助金を探すときに使う公的な窓口
- ミラサポplus中小企業庁が運営する国のサイト。課題や地域から補助金を探せて、公募のスケジュールの一覧もある
- J-Net21 支援情報ヘッドライン中小機構が運営するサイト。国と都道府県の補助金・助成金などの情報をまとめて検索できる
- 制度ごとの公式サイト事務局のサイトに、最新の公募要領・締切・お知らせ・よくある質問が載っている
- 都道府県・市区町村のサイト地域独自の制度は、それぞれの自治体のホームページで確かめる
候補を見つけたら、必ず制度ごとの公式サイトを開きます。締切や補助率は、最新の公募要領の記載で確かめます。解説記事や営業の案内で見た数字も、公式サイトで確かめ直します。
社員の研修に使う助成金は、厚生労働省の制度です。設備やシステムの補助金とは、窓口も手続きも分かれています。
AI・IT導入に関係する主な国の制度(2026年10月時点)
2026年10月時点で、公式サイトで確かめられた主な制度は次のとおりです。どの制度も、対象になる費用や要件は公募回ごとに決まります。
| 制度 | 窓口 | 主に対象になるもの |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026(以前の名前はIT導入補助金) | 中小機構・中小企業庁(事務局の公式サイト) | 事務局に登録されたITツール。AIを含むソフトウェア、クラウドの利用料、導入にかかる費用など |
| 中小企業省力化投資補助金 | 中小機構(公式サイト) | カタログ注文型は、カタログに載った製品。一般型は、現場に合わせた設備やシステムの導入 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 中小企業庁(ミラサポplusに概要) | 新しい製品・サービスの開発や新しい市場への進出に必要な、機械装置やシステムの構築費など |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 社員に仕事に関係する訓練を計画どおりに行ったときの、訓練の経費や訓練中の賃金の一部 |
制度の名前も変わり、IT導入補助金は、いまは「デジタル化・AI導入補助金」という名前です。ものづくり補助金は公募が終わりました。新しい申請は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」で受け付けると案内されています。
同じ制度の中でも、要件は変わります。デジタル化・AI導入補助金では、第7次公募回から要件の一部を変えるお知らせが、2026年10月9日に出ました。古い情報で準備を進めないよう、申請の直前にも公式サイトのお知らせを確かめます。
参考までに、第7回公募以降の通常枠の公募要領(2026年10月時点)では、補助率は2分の1以内(条件を満たせば3分の2以内)です。補助額は5万円から450万円以下で、申請額によって必要な機能の数や賃上げの要件が変わります。この数字も次の公募回で変わることがあるため、申請する回の公募要領で確かめてください。
AIを自社に合わせて作る場合、当てはまる制度があるかは要件しだいです。たとえばデジタル化・AI導入補助金の対象は、事務局に事前に登録されたITツールです。ITツールを登録するのは、事務局の審査を受けたIT導入支援事業者(ITツールの販売・導入を行う事業者)です。
当社のサービスがどの補助金の対象になるかも、制度と公募回の要件で決まります。そのため、当社からお約束することはできません。
補助金を受け取るまでの流れと、先に用意する資金
補助金は、申請すればすぐに受け取れるものではありません。デジタル化・AI導入補助金の通常枠を例に、申請から補助金の交付、その後の報告までの流れを見ていきます。
デジタル化・AI導入補助金(通常枠)の流れ
- 申請交付申請を出すIT導入支援事業者と一緒に、導入するITツールと事業計画を申請する。申請には、国の電子申請で使う会社用のID(GビズIDプライム)が必要
- 交付決定交付決定の通知を待つ事務局の審査を経て、交付決定の通知が届く。通知が届くまでは、契約も発注もしない
- 導入契約・導入・支払いをする交付決定の後に契約・発注し、ITツールを導入して代金を支払う。代金は、この時点で自社が支払う
- 実績報告報告を出して補助金を受け取る請求書や支払いの記録を出して報告する。補助金の額が確定し、事務局から交付される
- 効果報告導入した後も報告を続ける生産性の数字や、ITツールを使い続けていることが分かる書類を、決められた年度ごとに報告する
交付決定の前にITツールを契約・発注すると、補助の対象になりません。公募要領には、交付決定の後に契約・発注を行うことが明記されています。導入を急いで先に契約してしまうと、補助金を受け取れなくなります。
代金は、補助金が交付される前に自社で支払います。支払い方法も、原則として銀行振込とクレジットカードの1回払いに限られています。導入と実績報告の期間は交付決定日からおよそ6か月とされているため、その間の資金を先に用意しておきます。
通常枠では、労働生産性を上げる3年間の事業計画を立て、導入した後に結果を報告します。申請額などによっては、賃上げの計画も求められます。賃上げが要件の申請で、効果報告を出さなかったり要件を満たさなかったりすると、補助金の返還を求められる場合があります。
省力化投資補助金の公式サイトでは、GビズIDプライムの取得に時間がかかると案内されています。申請を考え始めたら、早めに取得しておきます。
詳しく解説した記事コラムAI導入の費用は何で決まる?見積もりの内訳と、費用が変わる3つの要素AI導入の費用は、対象にする仕事の範囲、今のシステムとのつなぎ方、確認と運用の進め方の3つで大きく変わります。費用の内訳…申請の前に知っておきたい注意点
デジタル化・AI導入補助金の公式サイトは、「キャッシュバック」「実質無料」などの言葉に注意を呼びかけています。不正行為の可能性があるためです。中小企業庁も、補助金の勧誘を電話・メール・はがき・SNSなどで行うことは一切ないとしています。
こんな案内や進め方には注意
- 「実質無料」「後でキャッシュバックする」と言われて、ITツールを勧められた
- 申請の手続きを業者に任せるため、申請用のIDとパスワードを渡すように言われた
- 交付決定の通知が届く前に、契約や発注を急がされている
- 中小企業庁や国の機関を名乗る電話・メール・はがきで、補助金を案内された
- 賃上げや生産性の計画を、達成できるか確かめないまま出そうとしている
不正と判断されると、交付決定の取消しや補助金の返還を求められます。返還には加算金がかかり、事業者名の公表や警察への通報もありうると、公式サイトで示されています。勧めたのが業者でも、補助金の返還を求められるのは、補助金を受け取った会社です。
申請の手続きは、会社が自分で行うのが基本です。デジタル化・AI導入補助金では、申請用ページのIDとパスワードを、IT導入支援事業者にも渡さないことが要件です。補助金の申請や報告を代行してもらう費用も、補助の対象外です。

申請の前に、AIに任せる仕事と効果の数字を決める
補助金を探す前に、何のためにAIを入れるのか、どの仕事に使うのか、効果をどの数字で確かめるのかを決めておきます。これが決まっていないと、どの制度が合うかを判断できません。計画を書く段階でも、具体的な数字を入れられなくなります。
当社では、いちばん時間がかかっている仕事を1つ選び、月に何時間かかっているかを測るところから始めます。当社のセミナー「Claude Codeで組織はどう変わる?AI時代の組織設計」でも、業務ごとに月何時間かかるかを数字で確かめてから始める進め方をお伝えしました。
測った時間をもとに、1件あたりに短くなる時間に月の件数を掛けて、ひと月に何時間空くかを出します。削減できた時間を数字で確かめてから、次の仕事に広げます。
| 決めておくこと | 内容 | 例(店舗の数字を集める仕事の場合) |
|---|---|---|
| 目的 | AIで何を変え、空いた時間を何に使うか | 数字を集める時間を減らし、店舗ごとの改善の相談に使う |
| 対象の仕事 | いちばん時間がかかっている仕事を1つ | 店舗ごとの売上や客数を集めて、一覧にまとめる仕事 |
| いまの時間 | 1件あたりの時間と、月の件数 | 1店舗あたりの集計時間、店舗の数、月に集計する回数 |
| 効果の確かめ方 | 何を、いつ、誰が数えるか | 導入の前と後で、集計にかかった時間を担当者が記録する |
特定のお客さまの計画や、補助金の申請書の書き方ではありません。
表の目的の行にある空いた時間の使い道は、決めておかないと効果が数字になりません。そのため当社では、支援を始める前に、空いた時間を何に使うか、成果をどの数字(KPI)で確かめるかまで、お客さまと一緒に決めます。
当社が構築したフランチャイズ本部の例では、店舗の数字を人が手で集める作業を、店舗別の分析画面に置き換えました。数字を集める時間は、月150時間から月15時間に減る見込みです。どの仕事の時間がどれだけ変わるかを先に書き出しておくと、制度が求める計画にも数字を入れやすくなります。
あわせて読みたいコラムAI導入の費用対効果の考え方|時間・品質・機会の3つで測るAI導入の費用対効果は、空いた時間だけでなく、品質と、増やせる仕事(機会)の3つで測ります。効果の測り方、試算を見込みと…デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、労働生産性を次の式で計算します。「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の総労働時間」です。作業時間を測っておくと、こうした計画の数字を考えるときにも役立ちます。
補助金の締切に合わせて対象の仕事を急いで決めると、効果の出ない仕事にお金を使うおそれがあります。対象の仕事と効果の数字を先に決めてから、それに合う制度と公募回を探す順番がおすすめです。
あわせて読みたいコラム経営者がAI導入で決めるべき5つのこと|目的・範囲・責任者・数字・止め方AI導入を現場任せにしないために経営者が決める5つのこと(空いた時間の使い道、AIに任せる範囲、社内の責任者、効果を確か…マスターブレインを活用したAI導入の準備
マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。
マスターブレインの導入は、御社でいちばん重い仕事を1つ伺い、最初に取り組む業務と空く時間を試算するところから始まります。ここで整理した対象の仕事といまの作業時間は、補助金を検討するときの計画づくりにも使えます。仕組みの全体像はマスターブレインの仕組みで、進め方はマスターブレインの導入支援で紹介しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
補助金を探す前に、AIに任せる仕事を決めませんか?
マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。
- 仕組みと、5つの層の役割
- 業務別の活用例と構築実績
- 導入の進め方と、費用の決まり方
- 説明より先に、動くデモをお見せします
- データが整理されていなくても大丈夫です
- 2営業日以内に担当者からご連絡します
これまでの構築実績から
- 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
- 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
- 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル
この記事の監修者

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。
- AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
- 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化
主な登壇
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