AIの仕組みを社内で作るか(内製)、外部の会社に頼むか(外注)。AIへの投資を考え始めると、多くの経営者の方がここで迷います。
社内で作ろうにも、作れる人がいない。外部に頼むと、作った後に自社で手を入れられなくなりそうで心配だ。ご相談の中でも、こうした声をよく伺います。
このAIの答え、どこを直せばいいんですか?
作った会社に頼まないと、誰も分からないんだよ
この記事では、AI活用を内製にするか外注にするかを決める基準、依頼する前に社内で整理しておくこと、外注しても社内に残すべきものを説明します。AI開発を外注するときの進め方もまとめました。
この記事のポイント
- 内製か外注かは、どちらか一方に決めなくてよい。仕組みを作る作業は外部の力を借り、業務の知識と判断のルールは社内に残す組み合わせで進められる
- 依頼する前に、対象業務・使うデータ・確認する人・使い始めた後の運用の4つを社内で決めておく
- AI開発を外注するときは、小さく試してから広げ、社内に引き継ぐ条件と、作ったものが自社に残るかを最初に確かめる
内製か外注かは、社内に残すものと外部に任せるものに分けて決める
AI活用を内製にするか外注にするかは、どちらか一方に決める必要はありません。社内に作れる人がいない会社でも、仕組みを作る作業は外部に頼み、業務の知識と判断のルールは社内に残す、という組み合わせで進められます。
外部に頼んでよいのは、仕組みの設計や構築、新しいAIへの対応のような、技術が必要な作業です。どの業務を何のために変えるか、AIの答えを誰が確かめるか、判断のルールをどう決めるかは、会社の仕事として社内に残します。業務の知識と判断のルールが社内に残っていれば、外注先が替わっても、同じやり方で仕事を続けられます。
内製と外注を決める5つの基準
内製と外注のどちらが合うかは、会社の体制と、AIを使う業務の中身で変わります。次の5つの基準で、自社の状況を確かめてみてください。
| 基準 | 内製が向いている | 外注が向いている |
|---|---|---|
| 社内の作り手 | AIやシステムを作れる人が社内にいて、そのための時間を割ける | 作れる人がいない、または本業で手一杯 |
| 作るものの大きさ | 文章づくりや要約など、既製のAIツールを社員が使えば足りる | 自社のデータや業務システムとつなぐ仕組み、業務ごとの専用画面が必要 |
| 急ぐかどうか | 時間をかけて、社内で試しながら進められる | 人手不足などで、早く効果を確かめたい |
| 情報の守り方 | 情報の置き場所や、誰が何を見られるかを設計できる人が社内にいる | 社外に出せない情報を扱うが、その守り方に詳しい人がいない |
| 作った後の手入れ | データの更新、答えの訂正、新しいAIへの対応を社内で受け持てる | 手入れを受け持つ人がいない。新しいAIが出るたびに見直す余裕がない |
内製を選ぶときは、社内の人が使う時間も費用として考えます。作る人が本業から離れる時間や、新しいAIが出るたびに調べ直す時間は、見積書には出てきません。社内で作るほうが安く見えても、こうした時間を足すと差が小さくなることがあります。
外注が向いている側に当てはまるものが多くても、すべてを外に任せる必要はありません。技術が必要な作業は外部に頼み、業務を知る人とAIの答えを確かめる人は社内で決める、という分け方ができます。
社内に開発チームがある会社では、外部で仕組みを作り、社内のチームが保守と拡張を受け持てる形で引き渡す方法もあります。当社でも、社内に担い手がいる部分はお客さまと一緒に作り、担い手がいない部分は当社が作る、と分けてご提案することがあります。既製のツールで足りるか、自社専用に作るかの選び方は、次の記事で説明しています。
あわせて読みたいコラム社内AIの作り方|自社のデータと判断ルールを業務に組み込む手順社内AIは、自社のデータや過去の記録、判断のルールを使って答える仕組みです。作り方の選び方、集める情報、構築の手順、使い…外注しても社内に残すもの
外注するときにいちばん気をつけたいのは、業務の知識と判断のルールが、外注先の中にしか残らない状態です。そうなると、ルールを1つ変えるだけでも外注先に頼むことになります。外注先が替わったときには、聞き取りから全部やり直すことになりかねません。
外部に任せられることと、社内に残すこと
- 仕組みの設計と構築
- 業務ごとの専用画面づくり
- 情報の置き場所と、見られる範囲の設定作業
- 新しいAIへの対応と保守
- どの業務を、何のために変えるか
- 判断の条件・理由・例外をまとめたルール帳
- AIに読ませてよいデータの範囲
- AIの答えを確かめて承認する人
- 成果を確かめる数字と、空いた時間の使い道
判断のルールは、人がAIの答えを直すたびに追加していく形にすると、社内に残り続けます。当社では、人が直したことを「ルール帳」に1行ずつ残し、同じことを二度言わなくてよい形にしています。ルール帳は会社の記録として、社内の人がいつでも見られる場所に置きます。
契約の前には、作った仕組み・データ・設計の内容・使い方の手順が、支援が終わった後も自社に残るかを確かめます。当社がお渡ししているのは、業務と判断の設計、検証の記録、使い方と更新の手順、管理と引き継ぎの4つです。作ったマスターブレインとたまったデータも、お客さまの資産として残ります。
ベテランから判断の理由を聞き取り、ルールとして書き残す手順は、次の記事で詳しく説明しています。
詳しく解説した記事コラム属人化をAIで解消するには?ベテランの判断を会社に残す手順「あの人に聞かないと分からない」仕事をAIで減らすには、ベテランが判断した理由を記録して、AIが使えるようにすることが必…依頼する前に社内で整理する4つのこと
外注するときも内製するときも、作り始める前に社内で決めておくことがあります。この4つが決まらないまま依頼すると、どの会社でも使える一般的な仕組みになり、自社の仕事に合わないことがあります。
依頼の前に決める4つのこと
- 対象業務いちばん時間がかかっている業務を1つ選び、1件にかかる時間と月の件数を書き出す
- 使うデータその業務で見ている書類・メール・業務システムの情報。AIに読ませないものも決める
- 確認する人AIの答えを確かめて承認する人と、判断のルールを確認する人
- 使い始めた後の運用データの更新、答えの訂正、例外の受け付けを、社内の誰が受け持つか
4つのうち、見落とされやすいのが使い始めた後の運用です。AIの仕組みは、作った後も手入れが要ります。規程や価格、取引の条件が変わるたびにAIに読ませるデータも直すので、その担当者を依頼の前に決めておきます。
当社のセミナー「製造業の『見えない製造ライン』をカイゼンする」でも、参照するデータを更新する担当と手順を決めておくことをお伝えしました。当社の導入支援では、社内でお願いする3つの役割を、最初にお客さまと一緒に決めています。業務を知る担当者、ルールを確認する方、使い続ける担当者です(導入支援の進め方)。
対象業務が決まっていない段階で相談しても、問題ありません。困っている場面を伺いながら、4つを一緒に整理することもできます。費用の決まり方と見積もりの前の準備は、次の記事で説明しています。
あわせて読みたいコラムAI導入の費用は何で決まる?見積もりの内訳と、費用が変わる3つの要素AI導入の費用は、対象にする仕事の範囲、今のシステムとのつなぎ方、確認と運用の進め方の3つで大きく変わります。費用の内訳…AI開発を外注するときの進め方
AI開発を外注するときは、最初から大きく作らず、小さく試してから広げます。次の流れで進めると、途中で合わないと分かったときに、止めたり直したりしやすくなります。
AI開発を外注するときの進め方
- 依頼の前4つのことを社内で決める対象業務・使うデータ・確認する人・運用を整理する。次に進む目安は、減らしたい業務と、その業務にかかっている時間が分かっていること
- 試す実際のデータで小さく試す正しい答えが分かっている過去の案件で、AIの出来を確かめる。結果を見て、進める・直して進める・止めるを自社で決める
- 作る1つの業務で現場が使う専用画面を作り、現場で使いながら直す。人が直した内容はルール帳に残す。次に進む目安は、削減できた時間が数字で分かること
- 引き継ぎ社内で回せる状態にするデータの更新と答えの訂正を、社内の担当者ができるようにする。使い方の手順書と設計の内容を受け取る
社内に引き継ぐ条件は、最後に決めるより、依頼の最初に決めておくほうが確実です。通販の会社へのご提案では、どの状態になったら社内に引き継ぐかを、最初に要件を決める段階で決めておく形にしました。引き継ぎの条件が先に決まっていれば、外注先に頼り続けずに、社内で回せる状態まで進められます。
外注先を比べるときは、説明だけで決めず、自社のデータで動く試作を見てから決めると、頼んだ後に「思っていたものと違う」となるのを防げます。当社でも、動くものを先にお見せしてから、進めるかどうかを決めていただいています。

マスターブレインを活用した、社内に残るAIの仕組みづくり
マスターブレインは、会社にあるさまざまな情報・業務知識・判断基準を整理し、必要な場面で活用できるように設計する、会社専用のAI基盤です。
仕組みの設計と構築、業務ごとの専用画面づくり、新しいAIへの対応は当社が受け持ちます。業務の知識・判断の基準・人が直した内容は、マスターブレインのルール帳と記録として、お客さまの社内に残ります。外注先や社内の担当者が替わっても会社のやり方を続けられる仕組みの全体像は、マスターブレインの仕組みで紹介しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
外に頼んでも、業務の知識は会社に残せます。
マスターブレインは、会社のデータ・記録・担当者の判断基準を整理し、業務ごとの専用画面から使える会社専用のAI基盤です。まずはサービス概要資料で全体像をつかむか、御社の業務で相談するかをお選びください。
- 仕組みと、5つの層の役割
- 業務別の活用例と構築実績
- 導入の進め方と、費用の決まり方
- 説明より先に、動くデモをお見せします
- データが整理されていなくても大丈夫です
- 2営業日以内に担当者からご連絡します
これまでの構築実績から
- 100%検証208問の正答率地域医師会のチャットボット
- 約1/10書類作成時間訪問介護・障害福祉の事業者
- 35分→3分図面から見積まで建設資材のレンタル
この記事の監修者

AIを活用したシステム開発・業務自動化の専門家。システム開発に10年携わり、GPT-3.5の頃から生成AIを実際の業務に取り入れてきた。基幹システムの刷新から業界に特化したAIサービスまで、本番で動くシステムを設計・構築している。
- AIで業務を効率化し、社員20人で10個以上のサービスを運営
- 教育の流れをAIで自動化し、未経験の5人を3か月で開発者として戦力化
主な登壇
- “一部の社員だけ”のAI活用を、会社の仕組みに変える2026年11月
- 製造業のAI、「使ってみた」で止まっていませんか?2026年11月
- 製造業の「見えない製造ライン」をカイゼンする2026年9月
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