【EC事業者必見】売上が伸びないECサイトによくある3つの特徴と、成果を出し続けるEC運営の全体戦略
経済産業省の調査によると、2024年の日本国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比+5.1%増)に達しており、EC市場は年々拡大を続けています。しかし市場が成長する一方で、参入事業者も増え続け競争は激化しており、明確な戦略を持てないまま運営を続け、思うように売上が伸びないECサイトも後を絶ちません。 
出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html
本記事では、EC運営が伸び悩む根本的な原因を明らかにし、売上を再現性高く伸ばし続けるための全体戦略を徹底解説します。まずはあなたのEC運営に潜む問題点を一緒に振り返ってみましょう。
売上が伸びないECサイトによくある3つの特徴

次の3つのうち、あなたのEC運営に当てはまるものはありますか?
弊社ではEC支援業を提供しており毎月多くのお問い合わせを頂きますが、EC運営で伸び悩む企業の多くは、以下のいずれかの問題を抱えていることがほとんどです。
- ①ショップ設計をせずになんとなく運営をスタートしてしまった
- ②確固たるKPI(指標)もなく、担当者が感覚で運営している
- ③EC運営に十分な人員と時間が、社内で確保できていない
もしひとつでも当てはまるなら、あなたのECサイトはいつまでも売上が上がらないままでしょう。以下でその理由を詳しく解説します。
①ショップ設計をせずになんとなく運営をスタートしてしまった
どんなターゲットに向けて、どのような商品・コンテンツを提供するのかを明確に設定せずに運営を開始すると、プロモーションやサイト全体に一貫性がなくなります。誰のための店なのかが曖昧なまま商品を並べても、訪問者の心をつかむことはできず、購入には至りません。ECサイトを成功させるには、具体的な戦略が不可欠です。戦略を持たずに事業を進めると、目標達成に時間がかかるだけでなく、人員や予算などのリソースを効果的に活用できなくなります。
②確固たるKPIもなく、担当者が感覚で運営している
EC運営において、売上の方程式を理解することは不可欠です。ECサイトの売上は「アクセス数 × CVR(購入率) × 平均顧客単価」で決まります。この3つの変数のどこに課題があるのかを数値で把握し、KPIを設定して改善を続けなければ、効果的な施策を打つことはできません。「なんとなくセールをやってみる」「なんとなくSNSに投稿する」という感覚的な運営では、たとえ一時的に売上が上がっても、再現性のある成長にはつながりません。方程式を理解し、どの施策が、どの数値に影響を及ぼすのかの把握が必要です。
③EC運営に十分な人員と時間が、社内で確保できていない
EC運営はコンテンツマーケティング・広告運用・在庫管理・受注処理・顧客対応など、多岐にわたる業務を同時並行で推進する必要があります。これは決して、社内の誰か一人が日々の業務の片手間にこなせる作業ではありません。人手不足のEC現場では、確認漏れや入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすくなり、顧客満足度の低下にもつながります。
これらの問題を解決し、売上がどんどん伸びていくサイクルへと持っていくために必要なのは、以下の3つです。
- 緻密なショップ・戦略設計
- 売上構造(アクセス×CVR×単価)の徹底理解
- 専門性の高い継続的な運営と改善
EC運営を成功に導く2つのオリジナリティ
成果を出し続けるEC運営には、次の2つの柱があります。
- オリジナリティ①:3つのセオリーを元にした再現性の高い運営
- オリジナリティ②:ECを成功に導く全体戦略フロー
この2つを体系的に実践できているかどうかが、売上が伸びるECと伸び悩むECを分ける最大のポイントです。次の章でひとつずつ詳しく解説します。
オリジナリティ①:3つのセオリーを元にした再現性の高い運営
成果を出し続けているEC運営には、業種・規模を問わず共通する3つのセオリーがあります。
- 売上構造の徹底理解と適応
- ユーザーインサイトの把握
- PDCAの最速推進
⑴ 売上構造を徹底理解しているからこそ、戦略が明確になる

ECにおける”ゲームルール”とは、売上を構成する変数の理解です。ECサイトの売上は次の式で表されます。
売上 = アクセス数 × CVR(購入率) × 平均顧客単価
この3変数を軸に、どこにボトルネックがあるのかを特定し、優先順位をつけて改善していくことが、EC運営の本質的な戦略です。多くのEC事業者は「商品画像を綺麗にする」「とりあえず広告を出す」といった表面的な施策に目が向きがちですが、まずは数値を分解してどの変数が最も改善余地があるかを見極めることが重要です。
たとえば、CVRが低い場合はサイトの導線やページの信頼性に問題がある可能性が高く、アクセス数が少ない場合はSEOや広告の強化が優先課題となります。売上構造を数値で把握し、そこから逆算して施策を立案・実行することで、初めて再現性のある成長が生まれます。
⑵ ユーザーインサイトを把握することで、競合ECと圧倒的に差別化できる

ECサイトを設計する際、最も大切なのはユーザーの表層ニーズではなく、その奥深くにあるユーザー自身も気づいていない心理=インサイトを把握することです。表層的なニーズだけでは、競合と似たような商品ラインナップ・似たようなページになってしまい、差別化が難しくなります。
例えば「スキンケアに悩んでいる」という表層ニーズがあるとしましょう。「肌荒れを治したい」に応えるために「保湿クリームのECサイト」を作るのは一般的なアプローチです。しかしその奥にある「成分にこだわりたいが何を選べば良いかわからない」というインサイトを発見できれば、「成分解説コンテンツと一緒に購入できる処方箋型EC」というまったく新しい体験を提供できます。
このようにインサイトを突いたサイト設計・コンテンツ設計ができているECは、ユーザーから「自分のために作られた店だ」と感じてもらえ、リピーターの獲得にもつながります。
インサイトの発見方法には弊社では主に4つの方法を取ります。 
1. SNS(X)を活用したインサイト分析
様々なSNSがありますが弊社ではインサイト発見にXを最も優先して活用します。InstagramやTikTokなどと異なり、Xは匿名性が高くテキストメインの媒体で投稿のハードルが低く、ふとしたその時の感情などをユーザーが投稿するため、もっともリアルな意見を発見することができます。方法としては、知りたいユーザーが投稿していそうなキーワードを整理し、Xの検索欄でサーチをかけていきます。スキンケア商品を売る場合なら「肌荒れ」などのキーワードで検索し、表示された投稿からインサイトを読み解いていきます。
2. 競合商品の口コミ分析
ECモールの口コミやSNSなどで競合商品を調べ、「どのような期待を持って買ったのか」「何に課題を感じて買っていたのか」等を分析します。競合商品がどのようにユーザーとコミュニケーションを取って購入を促進しているのかが理解できる上に、自社の強み・弱み(勝てそうなポイント・負けそうなポイント)も明確になります。
3. アンケートサイトを活用したアンケート&インタビュー
様々なアンケートサイト・サービスを活用して、自社商品のターゲットになりそな課題を持つユーザーに絞ってアンケートを実施します。例えばスキンケア商品の分析では、「肌荒れの原因として何を感じているか」「肌荒れへの対処法と費用感」「情報収集の方法や信頼しているメディア」などを収集します。興味深いユーザーには追加打診を行い、謝礼を支払いオンラインインタビューを実施して、より深いインサイトを探ります。コスパの良いサービスとしてはクラウドワークスやランサーズの活用がおすすめです。
4. 自社顧客に対するインサイト調査
少数でも構わないので、自社の顧客にアンケートを実施し、興味深い顧客にはインタビューを打診します。自社商品を購入しているユーザーへの調査のため、「購入前にどこの商品を使っていたか」「なぜスイッチしたか」「どこで自社商品を知ったか」「継続意向や満足度」なども聞き出すことが可能です。
このようにインサイト分析をすることで、ユーザーの情報取得経路が明確になるため広告面の選定が憶測ではなく明確に定まり、購入導線の最適化やプロダクトの磨き込みが可能になり、EC運営が一気に加速します。
⑶ PDCAを最短で回し、打ち手の実行スピードで勝ち切る

どんなに精緻な計画を立てても、それが必ず当たる保証はありません。当たらなかった場合には即座に修正が必要です。このサイクルが「PDCA」です。
- P=Plan(目標設定・戦略立案)
- D=Do(施策の実行)
- C=Check(数値分析・課題特定)
- A=Action(改善策の実施)
ここで大切なのは、闇雲に修正するのではなく、売上構造の数値から課題を特定し、それを基準に改善していくことです。分析対象をアクセス数・CVR・平均単価・リピート率などの主要変数に絞ることで、課題が明確になり、最適な施策を迅速に打てるようになります。この改善サイクルを高速で回し続けることが、EC運営における最大の競争優位性です。
最短でPDCAを回すためには打ち手の数が必要です。そのためには情報が必須となるため、様々な施策会社とのミーティングによる情報収集や日々のインサイト分析は欠かすことができません。
オリジナリティ②:ECを成功に導く全体戦略フロー
成果を出し続けるEC運営には、体系化された戦略フローが存在します。このフローは大きく「戦略設計フェーズ」と「進行(実行)フェーズ」の2つに分かれます。 
2つのフェーズで専門家がチームを組んでECを作り上げる
EC運営を成功に導くには、「戦略立案」と「実行・運用」を切り離して考えることが非常に重要です。戦略設計に必要な知識(マーケティング・競合分析・ターゲット設計など)と、実際の運用に必要な知識(広告運用・SEO・CVR改善・在庫管理など)は本来別物です。建築でいえば、設計士が図面を描き、施工チームが実際に建てるように、それぞれの専門家が専門性を発揮できる体制を整えることが、EC運営を成功へ導く大きなポイントです。自社にどういったリソースが揃っているかを棚卸しし、足りない部分は外部リソースを活用することも一つの有効な選択肢です。
EC運営は初期の戦略/コンセプト設計が9割(戦略設計フェーズ)
EC立ち上げや本格的な改善に着手する際、最初に行うべきは「プロジェクトシート(戦略設計書)」の作成です。このシートには、ターゲット設定・競合分析・提供価値・マーケティング戦略・KPI・全体スケジュールなどを網羅します。この初期設計を作り込むことこそが、その後の実行フェーズでの爆発的な売上成長につながります。
戦略設計において最も重要な3つのプロセスは以下の通りです。
① 3C分析に基づくマーケットの調査と整理

3C分析とは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から市場を分析するフレームワークです。EC運営においては、自社商材にとってオンライン上のどの市場が最適かを把握することが出発点となります。市場が飽和している場合は新たな切り口を探り、ニッチな商材の場合はより多くのユーザーに届くポジショニングを模索します。最終的に、自社の商品の提供価値とユーザーが求めているニーズを最もシームレスに結ぶポジションを見つけ出すことが3C分析の目的です。
② N=1の深掘りによるインサイト(深層心理)の特定
N=1とは、ターゲットの中の特定の一人のこと。この一人を徹底的に分析することで、多くの人の心に刺さるアイデアが得られます。N1分析の目的は、表面的なニーズではなく、ユーザーの奥深くにある心理=インサイトを見つけることです。実践例としては、実際に自社商品を購入して使ってみる、ターゲット顧客にデプスインタビューを行う、競合ECの口コミ・レビューを徹底的にリストアップするといったリアルな一次情報を取りに行くアプローチが最も有効です。
N1分析において参考になる推奨書籍はこちらです。
③ EC専用のカスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーがどのような心理・行動を経て購入に至るかを時系列で視覚化したものです。ECにおけるカスタマージャーニーは「認知→興味→比較検討→購入→リピート・ファン化」という流れで設計されます。このマップを作成することで、各タッチポイントでどのような体験を提供すべきかが明確になり、集客から購入、そしてリピートまでの導線を一貫して設計できます。
カスタマージャーニーマップ作成において特に重要な項目は「WHO(誰に)」と「WHAT(何を提供するか)」の2つです。 
- Strategy Target(ST)= メインターゲット:どんな層に商品を届けたいか
- Prime Prospect(PP)= コアターゲット:その中でも特に射止めたい最優良顧客像
この2種のターゲットを設定した上で、以下のWHATを定義します。
- Benefit:ECサイトとして提供する価値(例:専門知識に基づく商品選定サポート)
- Reason To Believe:顧客がそのサイトで買いたいと思う理由(例:豊富なレビュー・返品保証など)
WHOとWHATを明確にすることで、ページ設計・商品構成・コンテンツ戦略・メールマーケティングなど、すべての施策が一本の軸でつながります。実際のカスタマージャーニーマップは顧客によって異なるため、まずは仮説で王道パターンを設計し、インサイト分析を行いながら様々なパターンを言語化していくことを推奨します。
EC進行(実行)フェーズ:売上を上げるための6つの主要施策

戦略設計が完了したら、実行フェーズへと移行します。EC運営において売上を伸ばすために重要な施策は以下の6つです。それぞれを単独で行うのではなく、戦略設計で定めたターゲット・KPIに基づいて優先順位をつけながら統合的に実施することが鍵となります。
広告施策
リスティング広告・ショッピング広告・SNS広告を活用して新規顧客を獲得します。ターゲットに最も刺さる広告フォーマットとクリエイティブを、データを見ながらPDCAで磨き込んでいくことが重要です。
SEO対策
顧客が検索しそうなキーワードを選定し、そのキーワードに対応した有益なコンテンツを制作・公開することで、オーガニック流入を継続的に増やしていきます。広告と異なり、資産として積み上がる施策です。またAIO対策(AIのアウトプットの参照元とされるための対策)もどんどん普及してきており、今後の重要施策として注目されています。
SNS施策
近年は検索エンジンではなくSNSで商品をリサーチするユーザーが増加しており、Instagram・X・TikTokなどを活用したブランド認知の向上が不可欠です。SEOコンテンツをSNS向けにアレンジして発信するのも有効な手法です。
CVR改善施策
サイト設計・商品ページの改善・決済手段の充実・カゴ落ち対策など、訪問したユーザーを購入まで導くための施策です。CVRの改善は売上に直結するため、最優先で取り組むべき領域の一つです。
リピーター獲得施策(CRM)
既存顧客へのステップメール・パーソナライズされたメルマガ・ポイントプログラムなど、CRM(顧客関係管理)を活用してリピート購入を促進します。新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5〜7倍とも言われており、LTV(顧客生涯価値)向上の観点からも非常に重要な施策です。
顧客単価向上施策
アップセル・クロスセル・まとめ買い割引・定期購入プランの導入など、1回の購買単価を高める施策です。レコメンド機能などを活用することで自然な形で購買単価の向上が期待できます。
EC運営の難しさと自社運営の意外なリスク
ここまで読んでいただければ、EC運営がいかに多岐にわたる専門性を要する仕事であるかがご理解いただけたかと思います。マーケティング戦略・広告運用・SEO・SNS・CRM・CVR改善・在庫管理・カスタマーサポートと、必要なスキルセットは非常に幅広く、これらすべてを一人もしくは少人数の兼任チームで担うには限界があります。
戦略と実行の両輪が噛み合ってはじめて、EC運営は成果を出せます。「とりあえずやってみる」という自社運営は、時間とコストの浪費につながるリスクをはらんでいます。EC運営を成功させるためには、「緻密な戦略設計」「データドリブンな改善」「専門性の高い継続的な実行」の3つが不可欠です。自社内でそれを担えるリソースと専門性があるかを改めて見直し、必要であれば外部の専門チームへの委託や体制強化を検討することも重要な戦略的判断のひとつです。
まとめ:EC運営を成功に導く全体戦略

成果を出し続けるEC運営に共通するのは、「感覚」ではなく「構造」で考えるアプローチです。売上構造(アクセス×CVR×単価)を正確に把握し、ユーザーインサイトを深く掘り下げ、PDCAを最速で回す。そしてその土台となる緻密な戦略設計と、専門性の高い実行体制があって初めて、再現性のある成長が実現します。
市場が拡大し続けるEC領域において、今こそ「なんとなくの運営」から脱却し、戦略的なEC運営へと舵を切るタイミングです。