Qoo10の母体はeBay Japan合同会社であり、アメリカに本社を置くECサービスを指します。
ほかのECモールと比較すると、貿易に関連する「越境EC」を実施しやすい特徴を持っています。
一方、ユーザーのなかには「海外のサービスだからセキュリティが不安」と思う人がいると思います。
また、Qoo10に出店しているオーナーのなかにも、セキュリティに懸念がある人がいるのではないでしょうか?
そこでこちらの記事では、Qoo10出店者様向けに、安全運営のためのセキュリティ対策について解説します。
Qoo10出店者が知るべきセキュリティの基本
Qoo10を運営する上で、さまざまなセキュリティリスクが存在します。
これらのリスクに適切に対処しないと、売上の損失やアカウントの停止、さらには顧客からの信頼を失う可能性があります。
特に注意すべき主なリスクは以下の通りです。
不正アクセス
ハッカーによる不正アクセスは、出店者にとって最も深刻な脅威のひとつです。
強力なパスワードを設定していない場合や、多要素認証を導入していない場合、攻撃者は容易にアカウントを乗っ取ることができます。
アカウントを乗っ取られると売上金の不正送金や商品情報の改ざん、偽の注文を発生させるなどの被害が発生する可能性があります。
フィッシング詐欺
近年、Qoo10の公式ページを装った偽のログインページを使い、出店者の情報を盗み取るフィッシング詐欺が増加しています。
攻撃者は本物そっくりのメールやSMSを送り、出店者を騙して偽サイトに誘導します。
IDやパスワードを入力してしまうと、その情報を盗まれ、アカウントが悪用される可能性があります。
個人情報の漏えい
出店者が管理する顧客の個人情報(氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報など)が流出すると、深刻な影響をおよぼします。
個人情報の流出により顧客からの信頼が失われるだけでなく、法律違反となるケースもあります。
たとえば、個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)に違反した場合が挙げられます。
不正決済
盗難されたクレジットカード情報が不正に使用されると、購入者がクレジットカード会社に返金請求を行う可能性があります。
出店者はすでに商品を発送しているにもかかわらず、売上が取り消されるリスクが発生するのです。
さらに、不正決済の割合が増えると、Qoo10の運営側からアカウントの制限や取引停止措置を受ける可能性もあります。
マルウェア攻撃
店舗のパソコンがウイルスやマルウェアに感染すると、ユーザーの情報が盗まれたり、操作が乗っ取られたりするリスクがあります。
先述した通り、個人情報のなかにはさまざまな要素が含まれており、悪用されると手に負えなくなってしまうこともあるのです。
特に、キーロガー型のマルウェアは、出店者が入力したIDやパスワードを記録し、攻撃者に送信するため非常に危険です。
偽レビューやなりすまし出品
競合業者や悪意のあるユーザーが、出店者の商品ページに対して悪意のあるレビューを投稿することがあります。
なりすましが発生すると商品の評価が下がり、売上に影響を与える可能性が発生します。
また、他の出店者が自社の人気商品を模倣し、偽の商品ページを作成する「なりすまし出品」のリスクもあります。
セキュリティトラブル事例
Qoo10も他のECプラットフォームと同様に、不正アクセスや決済詐欺をはじめとした、セキュリティリスクに直面しています。
これらのリスクは、金銭的損失、評判の損傷、法的影響を引き起こす可能性があります。
下記にて、Qoo10のセキュリティに関するトラブルを、事例を用いてご紹介します。
フィッシング詐欺
最も頻繁に発生するセキュリティ問題のひとつは、Qoo10からのように見える不正なメールが送信されフィッシング攻撃です。
この攻撃ではユーザーにアカウント情報の更新を要求したり、悪意のあるリンクをクリックするように促したりします。
このようなメールは、ユーザーに急いで行動を起こさせるために「緊急」などのメッセージを含むことがよくあります。
売り手と買い手は常に送信者のメールアドレスを確認し、疑わしいリンクをクリックしないようにしましょう。
Qoo10からの正式な連絡は公式で確認されたチャンネルから来るはずです。
不正アクセス
店舗側にとってアカウントへの不正アクセスは経営に甚大な被害を及ぼす可能性がある問題です。
ハッカーは弱いパスワードを解読したり、ユーザーを騙してログイン情報を提供させたりしてアカウントを侵害します。
これを防ぐために、売り手はQoo10アカウント用に破られにくいパスワードを使用し、二段階認証を使う必要があります。
ログイン時に第二の確認方法を要求することにより、セキュリティ層を追加します。
また、設定したパスワードは定期的に変更することで、不正アクセスのリスクを軽減することができます。
個人情報を利用した詐欺
Qoo10ではまた、特に盗まれたクレジットカード情報を使用した詐欺取引が問題となっています。
これらの取引はチャージバックを引き起こす可能性があり、製品が発送された後に支払いが逆転されます。
この場合、売り手は製品と支払いの両方を失うことになり、ビジネスに大きな影響を与えることがあります。
売り手は、異なる配送先住所や異常な場所からの注文など、疑わしい注文に注意を払わなければなりません。
疑わしい取引については、処理する前に確認を取ることが重要です。
マルウェアによる攻撃
関連する問題として、マルウェア攻撃の可能性もあります。
売り手が使用している古いソフトウェアやセキュリティが不十分なデバイスは、マルウェアに感染するリスクが高いです。
これがアカウントセキュリティに影響を与える可能性があります。
売り手は定期的にデバイスを更新し、信頼できるアンチウイルスソフトウェアを使用してこれらの攻撃を防ぐべきです。
また、公共のネットワークやセキュリティの不十分なネットワークからQoo10にアクセスする際には注意が必要です。
これらのリスクを最小限に抑えるために、売り手は顧客データを強固なセキュリティで守らなければなりません。
クレジットカード情報や住所などの個人情報が漏洩すると、法的・評判的な影響が生じる可能性があります。
売り手は、必要がない限り機密データを保存しないようにし、保存するデータがある場合は必ず暗号化することを確認しましょう。
売り手が警戒を怠らず、強力なセキュリティ対策を採用することで、これらの脅威に対するリスクを大幅に減らすことができます。
Qoo10のセキュリティガイドラインを守り、ビジネスと顧客の両方を守るために積極的に行動することが大切です。
参考ページ:Qoo10公式「個人情報保護のためのシステムセキュリティ」
不正アクセス・詐欺からアカウントを守る方法
アカウントを守るためには、パスワードの管理が非常に重要です。
簡単なパスワードや使い回しは、ハッカーにとって絶好のターゲットになります。
以下のポイントを守ることで、アカウントの安全性を高めることができます。
強力なパスワード設定
「password123」「qoo10seller」など、推測されやすい単語は解読される可能性が高いです。
最低でも 12文字以上 の英数字・記号を組み合わせるなど、長く複雑なパスワードを使いましょう。
また、設定したパスワードは3ヶ月を目処に変更し、過去に使ったものは再利用しないことも重要です。
他のサイトと同じパスワードを使うと、1つの情報が他のアカウントにも影響を与える可能性が発生します。
とはいえ、さまざまなアカウントのパスワードを手動で管理するのは大変なため、パスワード管理ツールの活用がおすすめです。
「1Password」や「LastPass」などのツールを使うと、安全にパスワードを管理できるツールがあります。
2段階認証の設定
Qoo10は暗号化された通信、二段階認証、アカウント活動を監視するツールなどのセキュリティ機能を提供しています。
2段階認証は通常のパスワード認証に加えて、追加の認証コードを入力する仕組みです。
売り手は、一般的な詐欺やサイバー犯罪の被害を避けるためにスタッフに教育を行い、最良のセキュリティ対策を講じるべきです。
また、定期的に取引履歴を確認し、詐欺の兆候を探すことが早期に問題を発見するために重要です。
下記は2段階認証(MFA)の設定方法です。
- Qoo10のセキュリティ設定から2段階認証を有効化する
- 認証アプリ(Google Authenticator、Microsoft Authenticator など)をスマホにインストール
- アプリ内で発行されるワンタイムパスワードをログイン時に入力する
不審なメール・フィッシング詐欺の見分け方
フィッシング詐欺とは、偽のQoo10ログインページや公式メールを装って、出店者のID・パスワードを盗む手口です。
最近では、より巧妙な手法が使われており、公式メールと見分けがつきにくくなっています。
公式のQoo10のドメイン(例:@qoo10.jp)以外からのメールは要注意
「@qoo10-security.com」など、似たような偽のドメインが使われることもある
以下の点に注意し、フィッシング詐欺に引っかからないようにしましょう。
本文のリンクをクリックする前に確認する
メールに記載されたURLをマウスオーバーして、公式のURL(qoo10.jp)かどうかをチェックしましょう。
短縮URL(bit.ly、tinyurl.comなど)が使われている場合は特に注意が必要です。
基本、Qoo10では短縮URLは使用せず、URLを見れば大体どのようなページに遷移するのかが分かりやすい傾向にあります。
「緊急」「今すぐ対応が必要」などの文言に警戒する
また、タイトルに「緊急」「今すぐ対応が必要」などの文言が記載されている場合も警戒しなければなりません。
「アカウントが凍結されます」「至急パスワードを変更してください」などの表現で不安を煽る手口が多い傾向にあります。
これらの情報が届いた場合、Qoo10の管理画面に同様のお知らせが来ているのかを確認しましょう。
添付ファイルを開かない
PDFやZIPファイルにマルウェア(ウイルス)が仕込まれている可能性があるため、開かないようにしましょう。
一般企業においても、差出人不明のファイルを開いた結果、社内情報が漏洩してしまった事例があります。
現状、Qoo10から添付ファイルが送られてくることはほぼ考えられないため、開かないほうが無難でしょう。
Qoo10の公式サポートページでは、最新のフィッシング詐欺情報を確認することができます。
怪しいメールを受け取ったら、Qoo10の公式サポートに問い合わせることをおすすめします。
また、過去に事例がないのかを確認するため、公式サイトに直接アクセスし、メールの指示が本当かどうかも聞いてみましょう。
SSL/TLS証明書の導入
個人情報や決済情報などを守るためには、SSL/TLS証明書を導入することが重要です。
SSLは「Secure Socket Layer」の略称で、インターネット上で行うデータのやり取りを暗号化するためのプロトコルを指します。
TLS(Transport Layer Security)は2006年にリリースされた、SSLの強化版といえるものです。
これにより、個人情報や決済情報が通信時に暗号化され、第三者に情報が盗まれるリスクを減少させられます。
Qoo10では基本的に出店者ページがSSL証明書で保護されています。
しかし、外部リンクや決済の際に他のウェブサイトに遷移する場合も、暗号化通信が行われているかを確認しておくことが重要です。
PCI DSS準拠
PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)とは、クレジットカード情報を扱う企業が遵守しなければならないセキュリティ基準です。
Qoo10では専門の決済代行サービスに委託されており、顧客のクレジットカード情報を取りえないようになっています。
顧客の決済情報を管理する場合には、PCI DSS準拠のシステムを利用することが必須です。
定期的なセキュリティパッチの適用
出店者が運営しているサイトや使用するソフトウェアにセキュリティの脆弱性があると、顧客の情報が漏洩するリスクが高まります。
ソフトウェアやシステムの定期的なアップデートを実施し、セキュリティパッチを適用することは、セキュリティ対策の基本です。
ECサイトで使用しているCMSやプラグインにセキュリティ更新が出た場合は、速やかに適用しましょう。
顧客情報の最小限の保存
保存している顧客情報が必要なくなった場合は、速やかに削除し、データベースに保存する情報を限定します。
また、顧客情報はできる限り暗号化してからの保存がおすすめです。
顧客情報を最小限にとどめることで、万が一の情報漏洩に備えることができます。
顧客に対するセキュリティ教育
顧客に対してもセキュリティの重要性を教育することが大切です。パスワード管理やフィッシング詐欺に対する警戒心などを呼びかけることで、顧客の情報も守ることができます。たとえば、Qoo10内でパスワード変更の重要性を促すメッセージを送ることや、メールでセキュリティ意識を高めるコンテンツを提供することが有効です。
ログイン履歴の確認機能
Qoo10にはログイン履歴を確認する機能があるため、不正アクセスに気付きやすくなっています。
この機能を使用すると、どのIPアドレスやどのデバイスから自分のアカウントにアクセスされたかをチェックすることができます。
身に覚えがないアクセスを発見した場合、即座にパスワードを変更したり、2段階認証を再設定可能です。
定期的にログイン履歴を確認し、不正アクセスの兆候があれば、すぐに対策を講じましょう。
IPアドレスや端末名から、普段使用していない場所からのアクセスを発見した場合、直ちにセキュリティ設定を強化します。
取引履歴と疑わしい取引の管理
Qoo10では出店者がどのような注文を受けているのか、支払い状況や発送状況を確認することができます。
不正な注文やチャージバックが発生した場合、迅速に対応できるようにするために、取引履歴は常にチェックしておきましょう。
注文履歴を定期的に確認し、異常な注文(大量注文、迅速な発送要求、配送先が異常など)がないかをチェックします。
決済情報や配送先住所の不一致などに注意を払い、不審な取引に関しては迅速にQoo10のサポートに問い合わせます。
不正アクセス対策のログイン制限
Qoo10では、出店者が自分のアカウントにアクセスできる場所を制限する機能も提供しています。
たとえば、特定のIPアドレスや地域からのアクセスを禁止することができます。
これにより、予期しない場所や不正なIPアドレスからのアクセスを事前に防ぐことが可能になります。
定期的に自分のPCやオフィスのIPアドレスを登録し、これ以外の場所からのアクセスを制限します。
自分のアカウントにアクセスする権限を持っていないユーザーやIPアドレスからのアクセスを遮断することができます。
顧客情報の取り扱いに関するガイドライン
Qoo10は、顧客の個人情報を安全に取り扱うためのガイドラインを提供しています。
出店者は、これらのガイドラインに従い、顧客データを適切に管理する必要があります。
これにより、顧客のクレジットカード情報や個人情報が不正に漏洩することを防ぎます。
顧客の個人情報や決済情報を一切保存しないようにし、Qoo10の決済システムに任せることが重要です。
顧客の個人情報を保存する場合は、暗号化技術を使って保護します。
これらの対策を講じておくことで、店舗およびユーザーは安心してQoo10を利用することができます。
Eコマースの台頭により便利にショッピングができるようになりましたが、同時にさまざまなリスクを背負うことになりました。
個人情報や決済情報を守り、抜き取られないようにすることで、自店舗の信頼向上によるリピーター獲得ができる可能性が向上するでしょう。
まとめ|安全は信頼に直結する
こちらの記事では、Qoo10のセキュリティ対策について解説しました。
Qoo10を運営する際、下記のようにさまざまなセキュリティリスクを考慮しなければなりません。
- 不正アクセス
- フィッシング詐欺
- 個人情報の漏えい
- 不正決済
- マルウェア攻撃
- 偽レビューやなりすまし出品
Qoo10に限らず、Webサービスは常にフィッシング詐欺や不正アクセス、個人情報を利用した詐欺、マルウェアによる攻撃のリスクが付きまといます。
これらのリスクを軽減するために、強力なパスワード設定や2段階認証の設定、不審なメール・フィッシング詐欺の見分ける必要があります。
ユーザーに安心してショッピングを楽しんでもらえるように、店舗側は万全のセキュリティ体制を整えておきましょう。