GMV Max活用で伸ばすTikTok Shop運営戦略を解説

TikTok Shop をビジネスで活用する目的は、ファンの獲得や売上の創出などさまざまですが、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は売上の向上だと思います。

そのためにはライブ配信や継続投稿などを実施する必要があり、ときにはプロモーションを実施することもあるでしょう。

しかし、広告運用は奥が深く、知識やノウハウを構築するのに多くの時間を要します。

そこで、TikTok では広告配信を自動で最適化してくれる「GMV Max」というメニューがあります。

こちらの記事では、GMV Max活用で伸ばすTikTok Shop運営戦略について解説します。

 

TikTok Shop のGMV Max とは?

TikTok Shop のGMV(Gross Merchandise Value:流通取引総額) Maxとは、AI による自動広告・広告最適化のメニューです。

類似するサービスとして、Google のP-MAX、Meta 広告のAdvanced Shopping Campaign があります。

日本では2025年7月に導入されたサービスであり、このサービス導入以降ライブ販売・動画広告など販売誘導型広告の主な手法は、このGMV Maxに統合されるようになっています。

 

TikTok Shop × GMV Max が注目される理由

GMV Max 自体はTikTok のさまざまなサービスと連携できますが、とりわけTikTok Shop との親和性が高いです。

GMV Max は自然検索と広告の両トラフィックを横断して最適化されます。

そのため、広告の作成から配信、予算管理までをシステムが自動で行い、費用対効果の最大化に貢献します。

ほかにもTikTok Shop × GMV Max には下記のようなメリットがあります。

  • 広告運用者の負担を軽減できる
  • 売上を上げながらROI(投資対効果)調整できる
  • ふたつのキャンペーン(詳細は後述)を使い分けることで、最適な形で配信できる
  • AI による学習期間が短くなる傾向にある
  • 企業・店舗の規模に限らずに利用できる
  • より多くのユーザーに表示されるため、ディスカバリーEコマースとの親和性が非常に高い

 

このような特徴を持つことから、GMV Max は多くの企業・店舗に導入され始めています。

 

GMV Max の種類

GMV Max は、大きく分けると「Product GMV Max」「LIVE GMV Max」になります。

以下にて、それぞれの特徴をご紹介します。

 

Product GMV Max

Product GMV Max とは、ショート動画や動画ショーケース、ショップタブなど、動画経由の購買を最大化することを目的とした広告最適化メニューです。

動画の視聴データとTikTok Shop の販売データをAI が統合し、購買意欲が高いユーザーへ配信します。

本来、データの分析は目視・手作業で行っていましたが、多くの時間と労力を要する点が課題でした。

Product GMV Max を使用することで分析及び統合にかかる時間を削減できるだけではなく、高精度での運用を実現できます。

下記はProduct GMV Max の特徴です。

  • 利用者自身の投稿動画、アフィリエイター動画、オーガニック動画も学習に利用される
  • 24時間自動で広告配信を調整
  • 商品単位で最適化されるため、商品ごとの売れ筋を効率的に伸ばせる
  • LIVEなしでも運用できるため、動画中心のショップに向いている

 

上記のような性質から、ショート動画で勝負したいブランドや、アパレルや化粧品など投稿が多いジャンル、ライブ配信を強化できていないShop におすすめの広告といえます。

 

LIVE GMV Max

LIVE GMV Max は、ライブ配信による商品の売買(ライブコマース)の売上の最大化を目的とした広告メニューです。

ライブ配信への流入・滞在・購入をAI が一括で管理・最適化してくれます。

ライブ配信での視聴人数やコメントなどをリアルタイムで学習し、購買意欲が高いユーザーを集客します。

人力では難しかった、リアルタイムでの最適化を実現できるメニューといえます。

下記はLIVE GMV Max の特徴です。

  • ライブコマースがメインのビジネスモデルを展開しているShop に対しては、大きな成果が期待できる
  • 配信者・ライバーの力を最大限に活かすことができる
  • まとめ売りや高単価商材など、通常では売りにくい商品の購入ハードルを下げられる

 

このような性質から、LIVE GMV Max で勝負したいブランドや、置いているだけではなかなか売れにくい商品に向いているといえます。

 

GMV Maxを活用した運用戦略

GMV Max の特徴を理解したあとは、いよいよGMV Max を活用した運用戦略を練ります。

こちらでは、GMV Max を活用した運用戦略をご紹介します。

 

広告クリエイティブ設計の考え方

GMV Max はAI によってターゲティングや運用を最適化できるサービスです。

利用することで費用対効果・投資対効果の最大化が期待できます。

しかし、ショート動画やライブ配信といったクリエイティブの質が低いと、期待しているような効果を得られなくなります。

クリエイティブの質を向上させるためには、下記を実施してみましょう。

  • 購入する前と購入後の変化が明確に伝わるストーリーを設計する
  • 実際の使用シーンを動画内に盛り込んでみる
  • 1~3秒以内で興味を引く

 

高品質なクリエイティブとGMV Max を併用することで、ユーザーの興味を引いて購入につなげられるでしょう。

また、AI を利用する以上、学習する機会が多くなるほど精度が向上します。

そのため、同じ商品でも切り口を変えた動画を複数用意したり、通常の動画も積極的に投稿したりしましょう。

ユーザーの傾向より、TikTok 利用者は衝動に駆られて購入に至ることが多い傾向にあります。

ユーザーの購買衝動を駆り立てるために、リアルな使用感や数値的な検証結果、スマホでの撮影によりリアル感を出すなどの工夫を凝らしてみましょう。

 

ライブ配信との併用運用

ライブ配信については、先述の通りLIVE GMV Max を使用します。

高精度なターゲティングと広告による流入により、これまで以上の売上が期待できるでしょう。

ライブ配信と併用する際、下記のポイントを押さえておきましょう。

  • ライブで販売する商品の紹介動画
  • ライブ日時や特典などの予告

 

これらを実施しておくことで、ライブ開始時の視聴者が増え、初期段階から購入数・購入率の向上が期待できます。

また、LIVE GMV Max については下記のタイミングで最適化されます。

  • まとめ売り開始
  • タイムセール
  • 品切り替え
  • ギフト企画や抽選タイム

 

これらを1回のライブ配信中に盛り込むことで、それだけAI が最適化してくれるため、結果として購入数・率の向上が期待できます。

また、ライブ配信の直後にハイライト動画を流したり、売れ筋商品のショーケース動画を流したりすることで、終了後でも売上を伸ばせます。

 

オーガニック流入を取り入れた導線設計

GMV Max の成果を最大化するには、広告だけで完結させず、オーガニックの流入もセットで設計することも重要です。

とはいえ、広告とも連携することで投稿を伸ばすことができるため、広告連携を前提としてのクリエイティブ作成が重要です。

AI が広告で学習することで投稿が伸び、投稿が伸びることで広告の学習速度が加速します。

これらが延々と繰り返される好循環が生まれる点が、GMV Max の特徴といえるでしょう。

また、プロフィールのリンクを統一したり、人気商品や新商品をトップに置いたりといった、迷わないショップタブ導線を設計することも重要です。

 

GMV Max 運用時の注意点とリスク管理

このように、GMV Max は自動でターゲットの選定・最適化を実施してくれるため、運用者にとっては心強いサービスとなるでしょう。

しかし、GMV Max にも、下記のようにいくつかの注意点があります。

 

広告自動化に頼りすぎない設計

GMV Max はAIによる自動最適化が強く、放置でもある程度成果が出る一方、「全自動に任せきり」は大きなリスクになります。

特に、素材の質が低い場合や商品特徴が動画で伝わりづらい場合、AIが誤った方向に学習し、購入単価が急騰するケースが考えられます。

そのため、まずは人力で広告を運用し、そのうえで下記を実施してみましょう。

  • 複数のクリエイティブを用意し、学習の幅を広げる
  • SKU別に訴求軸を変え、AIが学習しやすい環境をつくる
  • 広告レポートを見て、素材の勝ち筋を人間が発見する

 

AI といっても完ぺきではないため、人の介入が求められる場合があります。

依存するのではなく、あくまでいちパートナーとして付き合っていく心掛けが重要です。

 

薬機法・誇大表現などのコンプライアンス注意

GMV Max は短時間で大量に配信するため、問題がある1本の動画が一気に拡散される可能性があります。

ここでいう問題がある動画とは、TikTok の規約に違反するような動画を指します。

薬機法抵触や誇大広告などは規約に違反するものであることから、TikTok 側では禁止しています。

これらに対応をしなかった場合、シャドウバンやアカウントの凍結に至ってしまう可能性があります。

下記は、薬機法や誇大表現などのコンプライアンスに抵触する表現です。

  • 「絶対に痩せる」「シミが必ず薄くなる」などの効果保証
  • 医薬品レベルの表現(治療・改善・治る など)
  • Before/Afterの誤解を生む構成
  • 医師・専門家監修の虚偽

 

これらの対策として、複数人でのチェックやエビデンスの有無を確認しましょう。

 

関連ページ:当社コラムぺージ「TikTok Shop のアカウント停止|原因と対策について解説 」

 

予算管理とパフォーマンス検証

GMV Max はAI に学習させて精度を向上させるサービスである以上、初期では成果が安定しにくいことがあります。

場合によっては予算を一気に消化してしまうことが考えられるため、運用初期は下記に注意しましょう。

  • 初期は少額でテストし、学習が安定してから予算を増やす
  • 1日あたりの予算の上限を必ず設定
  • 素材・配信面ごとに成果を分解して分析する
  • CVR・CPR・リターゲティング効果などを複合的に判断

 

また、GMV Max を実施すると100% 売れるというわけではなく、商材によっては売れるまでに時間がかかるものがあったり、そもそもTikTok との親和性が低かったりするものがあります。

売れる商材が見つかるまでは徒労に終わると感じることがあるかもしれませんが、継続して運用することが重要です。

売れた・売れなかったを判断するのはAI と人であり、完全にAI に任せっきりにするとムダな予算を使用してしまうことになります。

 

まとめ

こちらの記事では、TikTok Shop のGMV Max について解説しました。

TikTok Shop の売上最大化には、AI 広告最適化メニュー「GMV Max」の活用が有効です。

GMV Max は自然流入と広告を横断して最適化し、動画・ライブ配信両方の購買を自動で伸ばせる点が特徴です。

Product GMV Max はショート動画経由の販売を強化し、LIVE GMV Max はライブコマースの売上を最大化します。

運用では、質の高いクリエイティブ制作、ライブ配信との併用、オーガニック導線設計が重要です。

また、広告自動化への過信、薬機法や誇大表現の違反、予算消化リスクなどの注意点もあります。

AI と人による適切な運用設計が、TikTok Shop 経由での売上向上につながるでしょう。

 

平野涼介

この記事の著者

平野涼介

この記事の著者

平野涼介
ECコンサルタント:マネージャー

インフルエンサーマーケティング事業の責任者としてPRやマーケティングに従事。その後、自社商品の1からの販促を担当しインフルエンサーPRを通して大ヒット。

自社商品をECモール出店に切り出し各モールで数々の賞を獲得。

自社商品の運営で得た実績とノウハウを生かしEC SUPPORTERZを立ち上げ、主にECモールのコンサルティングを通してECの企業様をサポート中。

全体戦略設計力と売りに繋がる施策実行力が強み。