TikTok Shop で守るべき知的財産権の基本

TikTok Shop ではショート動画やライブ配信を通して、自社が取り扱っている商品を販売することができます。

拡散性が高いTikTok を利用して販売をすることから、ブランディングやマーケティングも同時にできる点が最大の強みと言えるでしょう。

しかし、TikTok というプラットフォームを使用する以上TikTok のルールだけではなく、法律にも従わなければなりません。

動画・音楽・画像などを使用することから、特に知的財産権には注意が必要です。

こちらの記事では、TikTok Shop で守るべき知的財産権について解説します。

 

TikTok Shop 運営と知的財産権の基本

TikTok Shop を運営するうえで、動画・音楽・画像などさまざまなコンテンツを使用します。

そのため、これらの権利を保護する知的財産権とは切っては切り離せない関係性にあります。

せっかく作った創作物が、何の努力もしていない第三者にコピー・盗用されてしまうと、創作者のモチベーションが低下してしまい、新たなサービスの創出を阻害する要因となります。

まずは、知的財産権そのものについて理解を深めましょう。

 

知的財産権とは?

日本における知的財産権は知的財産基本法によって定められており、具体的には大きく分けると「知的財産」と「知的財産権」になります。

知的財産は発明、考案、意匠、著作物、商標、商号、営業秘密など、人間の創造活動によって生み出される無形の情報を指します。

一方、知的財産権はこれらの創造物を保護するため、法律によって保証される権利の総称です。

具体的には特許庁が管轄する特許法、実用新案法、意匠法、商標法といった産業財産法を含みます。

特許庁によると、知的財産制度は創造活動の成果を「創作者の財産」として、一定期間独占的に保護するものになります。

たとえば、数十年かけて創意工夫をこらした創作物が、第三者に盗用されると、創作者の意欲が無くなり、結果として世間全体で創作意欲の喪失が危惧されます。

TikTok においては制作した動画や音楽などが知的財産の対象となります。

バズっている動画を参考にすることはあると思いますが、動画そのものを丸々盗用しているアカウントを見受けることがあります。

投稿者本人の許可がない限りこの行為は違反であり、TikTok および法律両方に背いていることになります。

このような盗用があり、創作者の権利を守るために、知的財産権および知的財産基本法が存在しています。

また、知的財産基本法は日本における「知的財産立国」の実現を目指す国家戦略の根幹をなしています。

法律は国や地方公共団体、教育機関、事業者、個人などすべての団体や人々に適用されるルールで、知的の創造や保護、活用に関する施策を推進する仕組みを定めています。

 

参考ページ:特許庁ホームページ「知的財産権について 」「スッキリわかる知的財産権 

参考ページ:e-GOV ホームページ「知的財産基本法 

 

知的財産権の保護の重要性

知的財産権の保護は、ブランドの信頼性の確保や売上の安定につながります。

盗用された動画や商品を許容してしまうと、本来享受するべき創作者に利益が行き届かず分散されてしまうため、結果として収支がマイナスに陥ってしまう可能性があります。

利益が確保できなければ新たなクリエイティブは生まれず、先述した「知的財産立国」の確立ができません。

このような事態を避けるために知的財産基本法が設けられており、適切な権利管理は、長期的なEC運営の成功に不可欠といえます。

 

弁理士や専門家の活用方法

とはいえ、知的財産権および知的財産基本法に抵触しているかどうかを個人で判断するのは難しいことがあります。

「これくらい良いだろう」と思っていても、実は知的財産権を侵害していることも珍しくありません。

また、知的財産権を侵害してしまっている場合もあることでしょう。

このような場合、弁護士や知的財産の専門家に相談することで、プロの意見を聞くことができます。

専門家は特許や商標の登録状況を調査し、侵害リスクを回避する方法を提案します。

TikTok Shop の出品前に専門家と確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

 

TikTok Shop での知的財産活用と注意点

TikTok Shop での運用においては知的財産権の理解は不可欠ではありますが、実際の販売やコンテンツ作成などに活用することが重要です。

権利を無視した運営はアカウント停止や損害賠償の対象になるだけではなく、深刻なユーザー離れを引き起こす要因となります。

こちらでは、TikTok Shop での知的財産活用と注意点をご紹介します。

 

ブランドコンテンツと権利

TikTok Shop におけるブランドコンテンツとは、自社が販売している商品だけではなく、自社で製作した画像や動画、音楽なども含まれます。

これらは自社で作成したものであることから、基本的に自店舗に権利が帰属します。

しかし、外部から取得した素材や音楽を使用する際は、著作元の許可・確認が必要です。

特に、レーベルに所属したりオリコンランキングに入っていたりする音楽は、レコード会社などが権利を保有していることが多いため、無断使用は権利の侵害となり、コンテンツ削除やペナルティの対象となる懸念があります。

そのため、利用許諾を確認し、必要であればライセンス契約の締結を視野に入れなければなりません。

とはいえ、音楽についてはTikTok 内に使用できる楽曲が用意されているため、そちらについてはTikTok 内での使用であれば問題ありません。

ブランドコンテンツが持つ権利の所在を明確にし、管理体制を整えることで、ブランド価値を守りつつ安心してコンテンツを投稿できます。

 

禁止・注意製品とガイドライン

TikTok Shop では、知的財産権を侵害する製品やコピー商品の販売を禁止されているため、出品前に商品のパッケージや名称、デザインが他者権利を侵害していないかの確認が必須です。

公式ガイドラインで明記されており、違反が発覚した場合は該当商品の削除だけではなくアカウント停止、最悪の場合損害賠償の請求リスクがあります。

特に、海外製品やOEM の商品を取り扱う場合、権利侵害リスクが高くなるため注意が必要です。

もしも意図せずコピー品や模倣品を販売してしまった場合、すぐに商品を取り下げましょう。

コピー品・模造品の判断がむずかしい場合は、出品前に専門家に確認してもらうことで、未然にトラブルを防げます。

 

透明性と関係開示

TikTok Shopでは、インフルエンサーや広告投稿に関しても、権利や関係性の透明性が求められます。

たとえば、著作権や商標権を有する素材を使用する場合、権利者の許可を得た旨を明示する必要があります。

また、ライセンス契約を締結していたり、提携関係を結んでいたりする場合、その旨も明記しておくようにしましょう。

この明記についてはユーザーおよびTikTok に対して信頼性向上につなげられ、結果としてブランドやアカウントに対して透明性を示すことができます。

消費者が安心して購入できる環境を整えることが、長期的なリピーター獲得につながります。

 

知的財産リスクを未然に回避する

多くのフォロワーを抱え、Shop で多くの売上を残しているアカウントは、いずれも権利保護を意識した商品企画とコンテンツ作成しているものです。

たとえば、オリジナルロゴやキャッチコピーを作成し、商標登録を実施して模倣リスクを軽減しています。

先述の通り、商標登録については商標法、および知的財産基本法に含まれるものであることから、法的に守られる権利を有しています。

出品する商品については事前に権利を侵害していないかを確認することで、知的財産リスクを未然に回避できます。

また、使用する画像や音楽、デザインの権利を確認し、コンテンツ作成時は著作権フリー素材やライセンス取得済み素材の活用がおすすめです。

このような取り組みによって、権利侵害による販売停止やアカウント削除のリスクを減らし、安全性が向上します。

長く活動しているブランドやアカウントほどこれらを遵守しており、多くのファンを獲得しています。

 

知的財産を活かしたTikTok Shop 戦略

先述の通り、TikTok Shopでの成功には知的財産の戦略的な活用が不可欠です。

権利保護された独自商品やコンテンツは、ブランド価値を高め、消費者からの信頼を得られます。

また、適切な権利管理は、模倣品リスクや法的トラブルの回避につながります。

こちらでは、知的財産を活かした戦略的運営のポイントと実践方法を整理します。

 

ブランド価値向上のポイント

アカウントやクリエイターが創意工夫を凝らして制作した商品やコンテンツは、TikTok の規定および知的財産基本法によって守られます。

商品や楽曲などを商品登録や意匠登録することで、自社が作成した創作物を法的に守ることができます。

これは法人だけではなく個人事業主なども対象であり、自分の創作物を守るためにぜひ実施しておきたい対策です。

権利によって保護されている創作物は信頼性が高いブランドとして評価され、ユーザーの購買意欲を高める要因にもなります。

また、権利を明確にしておくことでコピー・模造品の排除が容易になり、長期にわたってブランド価値の向上に寄与します。

TikTok Shopでは、動画やライブ配信を通じてブランドストーリーを発信する際も、権利保護されたコンテンツを使用することで、より安心してファンに届けられるでしょう。

 

権利を意識したコンテンツ作り

TikTok Shop における動画や画像の投稿において、著作権や商標権への配慮が重要です。

自社で作成した素材やライセンス取得済みの素材を使用することで、権利侵害のリスクを避けられます。

一方、外部のコンテンツを利用する場合、必ず著作元の許可を得て、権利表示を適切にしなければなりません。

こちらの対象になるものの一例として、音楽や効果音、イラストなどが挙げられます。

TikTok ではさまざまなフリー素材が用意されているため、これらを使用することで未然に著作権侵害のリスクを防げます。

権利侵害を意識したコンテンツ作りは、違反リスクの回避だけではなく、ブランドの信頼性向上やファンの獲得にもつながります。

 

成功ブランドの知的財産活用法

TikTok、およびTikTok Shop に出店している店舗・ブランドは、商標登録済みのロゴや独自のデザインを全面的に出しているものです。

ロゴは一目でブランドを認識するために用いられるイラストであり、ブランドのアイデンティティともいえます。

テレビCM や街中のポスターなどでさまざまな企業ロゴを目にすることがあると思いますが、いずれも商標登録を済ませていると考えられます。

また、ずばりそのロゴだけではなく、反転したものや英語・カタカナ・ひらがな表記したものも登録しておくことで、悪用の可能性を減らせます。

これらの対策を実施することで違反リスクを低減させられ、違反リスクの低さはユーザーとの信頼関係を構築しやすくなるメリットがあります。

知的財産を戦略的に活用することで、単なる法令遵守ではなく、販売促進やブランド認知拡大にも役立てられるでしょう。

 

違反時の対応とペナルティ

どれだけ注意していても、気付かずに知的財産権を侵害してしまっていることがあります。

そのような場合、迅速かつ適切な対応が求められます。

まずは侵害商品の販売停止や該当コンテンツの削除を行い、関係者への連絡も徹底します。

自己申告が最も重要であり、非を素直に認めて相手方に謝罪を伝えることで、情状酌量が認められることがあります。

TikTok Shopのポリシー違反は、アカウント停止や損害賠償請求につながるリスクがあります。

また、権利侵害が発覚した場合、法律やTikTok Shop のガイドラインに基づき、速やかに対応することで、信頼の低下や売上減少を最小限に抑えることができます。

とはいえ、権利を意識した運営をひとりで実施してもヌケモレは発生してしまうリスクが残るので、複数名でのチェックや専門家への確認依頼も視野に入れましょう。

 

おわりに

こちらの記事では、TikTok Shop で守るべき知的財産権の基本について解説しました。

TikTok Shopでは、動画や画像、音楽などのコンテンツを活用して商品を販売する際、知的財産権の理解と遵守が不可欠です。

権利保護された素材や独自デザインを活用することで、ブランド価値を高め、模倣リスクや法的トラブルを回避できます。

外部素材利用時は許諾を確認し、コンテンツ作成時には著作権フリー素材やライセンス取得済み素材の活用が推奨されます。

さらに、違反発覚時には迅速な対応と専門家への相談が重要で、安全性と信頼性を確保することが、長期的なTikTok Shop運営成功につながります。

 

平野涼介

この記事の著者

平野涼介

この記事の著者

平野涼介
ECコンサルタント:マネージャー

インフルエンサーマーケティング事業の責任者としてPRやマーケティングに従事。その後、自社商品の1からの販促を担当しインフルエンサーPRを通して大ヒット。

自社商品をECモール出店に切り出し各モールで数々の賞を獲得。

自社商品の運営で得た実績とノウハウを生かしEC SUPPORTERZを立ち上げ、主にECモールのコンサルティングを通してECの企業様をサポート中。

全体戦略設計力と売りに繋がる施策実行力が強み。