「公式」という言葉を聞くと、多くの人が安心感や信頼感を寄せるのではないでしょうか。
実際に、「公式」という文言はユーザーに対してこれらの感情を与えるために、大手企業をはじめとしたさまざまなビジネスで採用されています。
TikTok Shop でも同様であり、「公式」という文言を入れただけで成果改善ができた事例もあります。
こちらの記事では、TikTok Shop 公式アカウントの始め方と成功のコツをご紹介します。
TikTok Shop の公式アカウントとは?

TikTok Shop の公式アカウントとは、正規の販売者としての身元を証明するアカウントを指します。
ショップと販売元を紐付けるための証明をTikTok に提出することで、公式アカウントと名乗ることができます。
一般的なTikTok アカウントとは異なり、商品販売や運営管理、プロモーションと連動した機能を利用できるようになります。
公式化によって利用できる主な機能
下記は、TikTok Shop を公式化することによって利用できる主な機能です。
プロフィールに商品タブが追加される
TikTok アプリ上で商品カタログを表示でき、ユーザーが離脱することなく商品閲覧〜購入まで進める。
動画・ライブ配信で商品タグ付けが可能になる
動画内で商品を紹介し、そのまま購入ページへ誘導できるため、視聴者の衝動買いを最大化できる。
TikTok Shop の各種プロモーションに参加できる
特集企画、クーポン施策、共同プロモーションなどの販促機能が解放され、売上拡大の機会が増える。
アカウントの信頼性が向上する
公式マークによる権威性、詐欺アカウントとの差別化により、コンバージョン率・フォロー率が改善する。
運営データ・分析機能が強化される
商品ごとのクリック率、CVR、視聴行動データなどの詳細な指標を確認でき、改善施策が立てやすくなる。
公式アカウントの取得方法

TikTok Shop の公式アカウントを取得するためには、まずは通常のTikTok アカウントを開設します。
その際にショップ名・ロゴ・説明文・リンク設定などを統一し、プロフィール情報を整えます。
これらの情報を整えることによって、前述したようにアカウントの信頼性が向上します。
下記は、アカウントの信頼性を高めるために押さえておくべきポイントです。
- プロフィールと事業内容の整合性を取る
- 個人的・不自然な、ビジネス以外の投稿を避ける
- ブランドイメージに沿った投稿を継続する
- ほかにSNS を運用している場合、それらの情報との整合性を保つ
その後、ビジネス利用を前提とした「ビジネスアカウント」に切り替えましょう。
ビジネスアカウントでは分析機能や外部リンク設置などが解放されます。
具体的な連携手順については後述しますが、販売者用アカウントを登録し、会社名などの証明書を提出して、合意を得ることで公式アカウントを取得できます。
せっかく公式アカウントを取得しても、掲載情報に誤りがあれば信頼性は向上せず、結果商品の購入に至らなくなる可能性が高いため、事前にアカウント情報をまとめておきましょう。
公式化のメリット

TikTok Shop の公式アカウントを取得することによって、店舗はさまざまなメリットを得られます。
こちらでは、TikTok Shop 公式化のメリットをご紹介します。
顧客信頼の向上と購買意欲の促進
公式アカウントを取得することによって、アカウントのプロフィールページに「ストアページ」が表示されます。
言い換えると、公式アカウント以外にはストアページが表示されないため、その時点でユーザーに対して信頼性を与えることができます。
信頼性・安心感を得たユーザーは購入に対するハードルが低くなるため、購買意欲促進に役立てることができます。
また、TikTok Shop は商品情報を自動的に同期するため、商品情報の正確性や更新スピードも向上します。
店舗ファンの増加とリピート率向上
公式化によって、ショップとユーザーの間に信頼性・安心感を通した関係を構築することができます。
多くのユーザーが「この商品は買いたいけど、果たして本物のショップなのだろうか?」と感じます。
かつてはこの心理が影響して購入できないことが多く、高いハードルとして店舗を悩ませてきました。
公式化することで正規品を販売するアカウントであることを伝えられる点は、公式化による大きなメリットといえるでしょう。
TikTok 内での店舗露出拡大と集客促進
TikTok 自体、拡散性が非常に高いサービスであることから、企業や店舗のブランディングにも有効に作用します。
マーケティングツールとして用いられる一方、TikTok Shop を運用することで、集客から購入までワンストップで完結する動線を構築できます。
また、認知向上によって、オンライン上だけではなくオフラインでの集客も期待できる点も大きな魅力です。
新規顧客の開拓およびリピーターの囲い込みも可能であることから、公式化は積極的に行うべきといえるでしょう。
ユーザー管理と所有権の保護
通常アカウントは原則として単独運用ですが、公式アカウントについては複数のユーザーでアカウントを運用・管理できるようになります。
組織である以上、担当者が交代したり退職したりすることがあるため、この機能を利用することで滞りなく別の担当者が運営できます。
一方、複数の担当者がアカウント情報を保持することになるため、セキュリティ面については注意が必要です。
ブランド認知の強化
先述の通り、公式アカウントにすることでユーザーに対して信頼性・安心感を与えることができます。
一方、企業情報やほかのSNS との情報が異なっていると「書いている情報が違う」と思われ、結果としてマイナスブランディングとなってしまう可能性があります。
そのため、公式アカウントを作成する場合、各種情報との整合性を取るようにしましょう。
公式化の注意点

このように、公式アカウントに変更することでさまざまなメリットを享受することができます。
一方、下記のように注意点も存在します。
アカウント情報の不一致による承認拒否リスク
公式化の際は、事業者情報や法人名など、アカウントおよびメールアドレスなどを参照します。
これらの情報が不一致だった場合、そもそも公式化できない可能性があります。
特に、法人アカウントの場合は登記情報と完全に一致しているかを事前に確認しておきましょう。
アカウント情報の漏洩
公式アカウントは複数のスタッフで管理ができるほか、どこまでの操作ができるのかの権限設定ができます。
多くのスタッフに広い権限を渡すと意図しない投稿や設定変更、最悪の場合アカウント情報の漏洩につながります。
そのため、むやみにアカウントを共有するのではなく、誰に・どこまでの権限を付与するのかを考えておきましょう。
ブランドガイドラインの遵守
TikTok およびTikTok Shop では、アカウントページや動画内容について、ブランドガイドラインの遵守を求めています。
通常アカウントよりも各種審査が厳しくなる可能性があるほか、誇大広告や禁止カテゴリーの取り扱いをしてしまうと警告やアカウント制限につながる可能性があります。
ハイブランドだけではなく、自社で販売している商品すべてがブランドとなるため、公式アカウントはガイドラインを遵守しましょう。
TikTok 公式アカウントとTikTok Shop 連携の手順

TikTok 公式アカウントにするためには、下記の手順で進行します。
これまで以上にできることが増えるため、企業や店舗をお持ちの方はぜひ公式アカウントに変更してみましょう。
連携前に準備すべきこと
まず、公式アカウントにする前に下記を実施しておきましょう。
- アカウント情報の整合性の確認
- 運営ポリシーと禁止カテゴリの確認
- 編集権限の検討
特に、最後の「編集権限の検討」については、通常アカウントとは異なり複数名での運用となるため、誰に・どのレベルの権限を付与するべきなのかを考えましょう。
情報漏洩、および予期せぬ投稿を防ぐため、この段階でルールを作っておくことをおすすめします。
なお、このルールは一度作って終わりではなく、運用後ブラッシュアップしていくことも重要です。
セラーセンターでの連携手順
TikTok Shop と公式アカウントの接続は、下記の手順で進行します。
- PC版セラーセンターにサインイン
- ダッシュボードの右上にあるプロフィールアイコンをクリック
- 「マイアカウント」をクリック
- [リンクされたアカウント]をクリック
- [公式アカウント]タブをクリック
- 公式アカウントのリンクをクリック
- 既存のアカウントをリンクするに移動し、リンクをクリック
- リンクするアカウントを選択し、「続行」をクリック
- 「公式アカウントをリンク」をクリック
- 表示されているQR コードからモバイル端末でTikTokアプリを開く
- 連携したいTikTokアカウントにログインしていることを確認
- TikTok アプリで、「プロフィール」をタップ
- 画面の右上にあるメニューをタップ
- 「マイQRコード」をタップし、「スキャン」アイコンをタップ
- 「承認」をタップ
- セラーセンターで、利用規約を確認して同意し、[このアカウントをリンク] をクリック
参考ページ:TikTok ビジネスヘルプセンター「セラーセンターで公式アカウントをTikTokショップにリンクする方法 」
連携後に必ず行うべき初期設定
公式アカウントとの連携後、下記を実施しておくことで信頼性や収益性の向上が期待できます。
- 商品カタログの整理、およびタグ付け設定
- コメント管理、メッセージ対応の仕組みづくり
- ライブ販売の準備
- アカウントのセキュリティ強化
特に、ライブ配信はTikTok ならではともいえる機能です。
リアルタイムで購入してもらえる可能性が高くなるため、積極的に行えるように運用体制を見直しておきましょう。
TikTok Shop を公式アカウントで運用するコツ

TikTok Shop と公式アカウントの連携はそれで完結ではなく、運用後にいかに多くの利益を生むのかが重要です。
こちらでは、TikTok Shop を公式アカウントで運用するコツをご紹介します。
売れる動画づくりの基本
TikTok はショート動画を配信するだけではなく、ライブ配信もできます。
また、ライブ配信ではその場で商品を販売できる、いわゆる「ライブコマース」が可能です。
ライブコマースを始め、TikTok 経由で多くの商品を販売するためには、下記を意識しましょう。
- 開始1~3秒で視聴者の興味を引く
- 購入導線を構築する
- 商品を自然に登場させる
興味を引いて、自然と商品を購入してもらえるような流れにすることで、販売数増加が期待できます。
ライブ配信を活用した販売
結論として、TikTok およびTikTok Shop で販売しやすい・しにくい商品があります。
ターゲットが10代~30代であることから、ファッションや化粧品、健康食品などが販売しやすい傾向にあります。
しかし、ライブ配信中にうまく説明できなければ、いくら良い商品でも期待しているほど売り上げが伸びないことがあります。
そのため、ライブ配信をする前に、台本を制作したり練習をしたりといった、入念な準備が必要です。
コメントへの対応
また、ライブ配信中は通常投稿よりもコメント量が増えます。
配信者と視聴者双方のコミュニケーションを図ることで、購入に至る可能性が大きく異なります。
とはいえ、ライブ配信中にすべてのコメントに対して返信するのは難しいことでしょう。
そこで、事前によくある質問やサイズ比較、在庫状況など、よく聞かれそうな質問に対する回答を用意しておきましょう。
効果的な運用を継続するコツ
ライブ配信や投稿は単発ではなく、継続した運用が重要です。
しかし、成果が出ない施策を継続しても、大した売り上げは期待できません。
そこで、データ分析の習慣化や顧客対応の品質向上、不要な投稿を避けてアカウントの世界観を統一しましょう。
また、運用体制については「○○さんは撮影」「○○さんは在庫管理」といった役割を分担しておくことで、無理なく成果を積み上げられるでしょう。
参考ページ:「ライブコマース(TikTokライブ)とは?注目の理由・仕組み・メリットと成功事例、導入ステップまで解説」
まとめ

こちらでは、TikTok Shop と公式アカウントとの連携について解説しました。
TikTok Shop の公式アカウント化は、信頼性・権威性を高めながら、動画・ライブ配信・商品タグ付けなどの販売導線を最大化できる施策です。
公式化によって認知向上から購入、ファン化まで一気通貫で実現しやすくなり、商品カタログの管理や分析機能も強化されます。
一方で、情報不一致による承認拒否やガイドライン違反のリスクもあるため、事前準備や運営ルールの整備が欠かせません。
公式アカウントとTikTok Shop を連携した後は、売れる動画構成、ライブ配信の活用、コメント対応、データ分析などを習慣化し、継続的に改善することで大きな成果につなげましょう。