ライブコマースのやり方|必要なものや仕組みもあわせて解説

私たちの生活はものや商品を購入することで成り立っており、企業は顧客が満足できる商品を作り続け、売上を得ます。

消費者の購入方法は店頭だけではなく、インターネットが普及したことによりEコマースでショッピングを楽しむ人が増えました。

また、近年「ライブコマース」という新たな販売方法を採用する企業や店舗が増えています。

では、ライブコマースはどのように始めるのでしょうか?

こちらの記事では、ライブコマースのやり方について、必要なものや仕組みとあわせて解説します。

 

ライブコマースとは?

ライブコマースとは、ライブ配信を通じて消費者とコミュニケーションを取りながら商品を販売する方法です。

よく知られているのはTikTok を使用したライブコマースであり、TikTok Shop を開設することでライブ配信中にリアルタイムで商品を販売できます。

これまでのEコマースは商品を並べて、画像や動画、説明文を記載して、ユーザーに判断してもらって購入してもらう仕組みでした。

ライブコマースは「コミュニケーション」が行われることから、消費者は納得度や信頼性が高い状態で購入できるようになります。

 

通販番組との違い

ライブコマースのように、スタッフや関係者が商品を紹介して販売を促すビジネスモデルとして、通販番組が挙げられます。

双方は似て非なるものであり、ライブコマースはコミュニケーションを図れる点で通販番組と異なります。

消費者がコメント欄に記載した質問に対して、配信者が返答していく流れです。

「商品の全体を見たい」「注意事項を教えてほしい」など、購入にあたって解決したい疑問をその場で投げかけ、返答を得ることができます。

そのため、ライブコマースのほうが購買意欲を喚起させやすいといえます。

 

参考ページ:当社コラムページ「ライブコマース(TikTokライブ)とは?注目の理由・仕組み・メリットと成功事例、導入ステップまで解説 」

 

ライブコマースのやり方

 

「ライブ配信に興味はあるけど、何からすれば良いかが分からない」「ライブコマースに必要なものって何?」といった疑問を持たれている人は多いのではないでしょうか。

こちらでは、ライブコマースに必要なものや、始め方についてご説明します。

 

商品を決める

ライブコマースを実施する際、まずはどの商品を販売するのかを決めましょう。

対象となる商品はよく売れているものや新商品、単価が高い商品のほか、ECサイトに掲載はしているものの説明をした方がいいものなど多岐にわたります。

一般的には、ライブコマースとの親和性が高い、若年層をターゲットにした商品を選ぶ企業や店舗が多いようです。

とはいえ、「これが正解」というものはないため、繰り返しライブコマースを実施して実績を確認し、売れるものと売りにくいものなどを判断していきましょう。

 

配信プラットフォームを決める

ライブコマースで紹介する商品を決めたあとは、配信するプラットフォームを決めます。

ターゲットや商品により最適なプラットフォームを選ぶことで、最適なユーザーに配信されるため購入数増加が期待できます。

下記は主なライブコマースのプラットフォームのユーザー層、および特徴です。

プラットフォーム 主なユーザー層 プラットフォームの特徴
TikTok Shop 10〜30代、特にZ世代 バズりやすく購入導線が強い。ライブでの衝動買いが起きやすい。インフルエンサーとの相性が抜群。
Instagram(Shopping/ライブ) 20〜40代女性が中心 ブランドの世界観を作りやすい。フィードやリールと連携した販売導線が豊富。
YouTube Live Shopping 幅広い年齢層(20〜50代) 長尺配信と高い信頼性が強み。商品レビュー・比較系と相性良い。
楽天市場(Rakuten DRAGON) 30〜50代の購買層 既存の購買データが強力。楽天ポイントが購買意欲を後押し。
Amazon Live 20〜50代のオンライン購入者全般 圧倒的商品数&信頼性。検索からの導線が強く、購入率が高い。
Shopify(ライブコマース連携アプリ) 中小ブランド、D2Cユーザー 自社サイトでライブ販売を完結できる。ファン化・CRMに強い。
BASE(TikTok と連携) 個人クリエイター、スモールブランド 小規模スタートに最適。ブランドの世界観を保ちやすい。
17LIVE(イチナナ) 20〜40代 ライブに慣れたユーザーが多く、投げ銭文化が強い。物販導入もしやすい。
Qoo10 Live(LIVE10) 20〜40代女性(韓国系コスメ・ファッション好き) コスメやファッションが強い。リアルタイム割引や限定価格が売れやすい。
Popshop Live 海外(主に北米中心)、10〜30代のトレンド好き/ニッチ商品好き ライブ配信+即時購入が可能な「ソーシャル × コマース」型。比較的少数のセラーや小規模ショップでも参入しやすい。

 

配信する内容を決める

配信する内容の大枠は商品紹介ではありますが、ライブ配信である以上エンタメ要素を盛り込んだほうが視聴者が興味を持ってくれます。

堅苦しい言い回しよりも、企業や店舗、取扱商品によっては少し崩した、カジュアルな言い方のほうが親近感がわきやすくなります。

また、視聴者が気になるであろう点や質問をもらいそうな点については、事前にまとめておくことで質疑応答がスムーズに行えます。

配信する商品に関する理解を深め、カジュアルに説明できるようにしておくことが重要です。

 

配信する場所や機材を検討する

ライブコマースの配信場所はオフィスや会議室を利用したり、レンタルスタジオで行ったりします。

紹介する商品の雰囲気に合った場所を選ぶことで、視聴者に世界観を伝えやすくなります。

また、背景に何もない、シンプルな場所もおすすめです。

機材についてはスマホなど簡易的な機材でも実施できますが、商品の見栄えや画質などにこだわる場合は撮影機材やカメラマンを準備しましょう。

とはいえ、ライブコマースを始めるときは収支が見えにくいことが多いため、まずはスマホから始めてみましょう。

 

配信者を準備する

配信者については自社スタッフが担当することが多いですが、場合によってはインフルエンサーなど、社外の人材に依頼することもあります。

自社社員の場合は取扱商品の知識が備わっていることから説明が十分にできるほか、予算があまりかからない点もメリットです。

一方、名前を知られていない人の場合、集客や視聴継続率に懸念があります。

多くの人に知られているインフルエンサーに依頼すると多くの集客が期待できますが、取扱商品について十分な説明が必要なほか、予算がかかってしまいます。

ライブコマースをはじめて実施する際は、予算を抑えやすい自社社員を起用すると良いでしょう。

 

事前告知を行う

ライブコマースは唐突に始めても視聴者を集めにくく、期待しているような効果を発揮できません。

そのため、ライブコマースを実施する際は事前告知が重要になります。

告知についてはTikTok やInstagram といったSNS のほか、自社サイトやメールマガジンなどで行いましょう。

また、配信者にインフルエンサーを起用する際は、告知の協力をしてもらうことで多くの集客が期待できます。

 

ライブ配信の練習をする

ライブ配信は練習次第で完成度を向上させることができ、完成度の高さは購入数・購入率に直接影響をおよぼします。

台本を読むだけではなく、自分がリハーサルしている様子を動画で撮影してみると良いでしょう。

新たな気付きや問題点などが、意外と出てくるのではないでしょうか。

また、リハーサルについては配信者の立ち位置やカメラの配置なども問題が無いかを確認しておきましょう。

リハーサルを終えたあとは、複数人でチェックすることで考えの偏りがなくなり、第三者の客観的な意見を取り込むことができます。

 

ライブ配信の本番に臨む

何度もリハーサルを重ね、問題点をすべて解消してから、いよいよライブ配信の本番に臨みます。

当然ながら、ライブ配信中は多くの視聴者が動画を見ているので、緊張するかもしれません。

また、突然チャットで質問を投げられて、ついつい焦ってしまうこともあるでしょう。

しかし、落ち着いて考えて行動すればいずれもクリアできることがほとんどです。

なお、ライブ配信中に通信が途切れないように、事前に通信環境を整えたり、予備の通信回線やサポートスタッフを準備しておくことをおすすめします。

 

ライブ配信の結果を確認する

ライブ配信後は意外と疲労がたまっているものなので、少し休憩してから集まった視聴者の数やコメント、購入数などを確認しましょう。

どのタイミングで購入されたのか、視聴数の山場はどこなのか、より多く寄せられた質問は何なのかなど、見えてくることは多いと思います。

これらの情報を収集し、次回より多く購入してもらうには何をすれば良いのかを考えてみましょう。

また、プラットフォームによってはアーカイブ配信が可能なものがあります。

アーカイブ配信はライブ配信の再放送のような機能で、ライブ配信後の購入につなげることができます。

保存した配信動画は自社・自店舗の財産となるため、積極的に活用しましょう。

 

この流れを継続的に繰り返すことで配信の質が向上し、結果として購入数の増加が期待できます。

とはいえ、自社だけで比較をしても改善点が見つかりにくいことがあります。

そのような場合、ほかの企業や店舗が実施しているライブコマースを視聴してみると良いでしょう。

自社と比べて何が優れているのか、何が足りないのかなど、参考になる箇所は多いと思いますので、試しに視聴してみることをおすすめします。

 

ライブコマースを成功させるために押さえるべきポイント

はじめてだからあまり売れないかも… と心のなかで考えるかもしれません。

しかし、ビジネスの観点では、初回からでも積極的に購入してもらいたいものです。

初回で多くの人が購入してもらえると配信者のモチベーションも上がり、これからも頑張ってみよう!と思えるでしょう。

以下にて、ライブコマースを成功させるために押さえるべきポイントをご紹介します。

 

集客

より多くの商品購入につなげるためには、視聴者数の母数を増やす必要があります。

先述した通り、告知についてはTikTok やInstagram といったSNS のほか、自社サイトやメールマガジンなどがおすすめです。

また、告知については単発ではなく、複数回行うことで、より多くの視聴者が集まってくれる可能性が高くなります。

また、商品によっては告知に向いていたり、向いていなかったりするサービスがあるため、データを収集しておいて今後の告知に活かすことが重要です。

 

販促企画

ライブコマースでは定番や常に在庫している商品、新商品など、さまざまな商品をプロモーションすることができます。

しかし、同じ時間で配信した際、費用対効果の観点から、できるだけ客単価を上げる必要があります。

客単価を上げる方法として、高単価商品の紹介が挙げられますが、高単価である以上なかなか購入されない可能性が考えられます。

そこで、人気商品や定番商品をまとめたセット販売や、ライブコマースでしか買えない限定商品、有名人やほかの企業とのコラボ商品など、魅力ある商品をプロモーションしてみましょう。

「希少性の原理」や「損失回避の法則」といった心理により、限定に弱い人がいます。

ライブコマース限定の商品を用意しておくことで、このような心理に作用して購入数を促進できるかもしれません。

 

配信者

さまざまなライブコマースを見てみると、ひとりで配信していたり複数人でチームを組んで出演していたり、さまざまな形式があります。

ひとりで配信していると画面越しの映像がシンプルになるため、紹介している商品が映えやすくなります。

一方、複数人の場合は合いの手や会話形式で紹介されるため、飽きがきにくい傾向にあります。

また、自社スタッフがやるのか、インフルエンサーに依頼するのかも考えどころです。

通常回は自社スタッフが対応し、限定品や高単価商品を紹介する際はインフルエンサーを起用するなど、どちらか一方に固執せずに使い分けても良いでしょう。

とはいえ、始めた段階では収益が見えにくいのと、要領がつかめていないため、まずは自社スタッフで実施してみましょう。

 

分析と改善

ライブ配信はやって終わりではなく、結果を分析して課題・改善点を抽出することが重要です。

やりっぱなしの場合、学びがないため次回配信しても購入数に影響がない可能性があります。

むしろ、かわりばえのないライブ配信に視聴者が飽きてしまい、購入数が下がってしまう可能性も考えられます。

視聴者の人数やコメント、購入数といったポジティブな観点だけではなく、離脱ポイントやかご落ち率といったネガティブなポイントも確認してみましょう。

なぜこのタイミングで離脱したのか、なぜ途中でかご落ちしたのかといった課題を抽出することで、解決方法の仮説を立てられます。

仮説を立てたら解決のためのアクションに落とし込み、解決しなかった場合は次のアクションに移しましょう。

 

アフターフォロー

ライブコマースはEコマースよりもコミュニケーションを図りやすい機能であるため、双方の信頼関係を構築しやすい傾向にあります。

信頼関係は新規購入やリピートに直結する要素であることから、どの配信者も最優先で関係構築に取り組んでいます。

より強固な信頼関係を構築したい場合、アフターフォローのメッセージを送付しましょう。

たとえば、新規顧客の場合は2回目の購入時に使えるクーポンを用意したり、イベントやキャンペーンの告知をしたりすることが挙げられます。

使い方の動画やアーカイブ配信を送付するのも良いでしょう。

視聴者の顔は見えませんが、視聴者は配信者の顔を見ているので、どのような人なのかを知っている状態です。

アフターフォローのメッセージを送付することで、動画越しの配信者の心象が良く見えて、ファンになってくれる可能性があります。

ライブコマースの目標について

ただ単純に「商品を販売する」といっても、期待しているような成果を得られないでしょう。

そのため、ライブコマースにおいても何を目的としているのかをはっきりとさせておきましょう。

場合によってはブランディングや新商品の紹介など、認知拡大を目的とすることがあります。

こちらも、「より多くの人に見てもらう」といったざっくりとした目標ではなく、「目標視聴者〇〇人」「購入数〇〇件」といった、数値に落とし込むことが重要です。

視聴人数が〇〇人だから、事前告知は〇〇人必要だ、といったように、具体的な行動目標に落とし込むことができます。

下記は、ライブコマースで設定される目標です。

 

売上を上げる

ライブ配信中にどれだけ購入が発生したか、どれだけ視聴者が購買行動に移ったかが指標になります。

特に限定価格・ライブ限定特典・まとめ買いキャンペーンなどを設計することで、即時的な売上向上を狙いやすくなります。

こちらは毎回の目標予算を達成する、短期的な目標といえます。

 

ファンの育成

長期的な視点では、ファンの育成はライブコマースに限らず、企業の成長には不可欠な要素です。

ライブコマースは双方でのコミュニケーションが可能な販売方法であることから、ほかのSNS やEコマースと比較するとファンを育成しやすい傾向にあります。

育成したファンはリピーターとなってくれる可能性が生まれ、長期的にリピート購入をしてくれて売上の柱となってくれるでしょう。

単なる物販以上の価値があるファンの育成ですが、配信者の発言や企業のトラブルなどによって離れてしまう可能性がある点には注意が必要です。

 

ブランディング

TikTok をはじめとしたプラットフォームは拡散性が高いものが多いため、ブランドの認知向上、およびブランディングに貢献してくれます。

注意したいのが、ライブ配信以外の通常投稿(通常動画)の一貫性です。

ブランドやアイテム紹介の動画のなかに、スタッフの日常のような動画があるとブランドの価値が下がってしまう可能性があります。

ファンはブランドの世界観に共鳴して購入に至ることから、ライブ配信前に投稿した動画の整理や、ほかのSNS との情報を統一しておきましょう。

 

顧客データ・視聴行動データの蓄積

ライブ配信を実施することで複数の視聴者が集まることから、顧客データを集められます。

たとえば、いつ、どのタイミングで商品を購入したのか・離脱したのか、コメントの反応が良かったなどが挙げられます。

これらはマーケティングや次回のライブで考慮するべき要素であると同時に、自社に蓄積される財産となります。

また、CRM と連携して特定のターゲットに対してメールを送付することもできます。

広告よりもリアルな情報を拾えることから、さまざまなマーケティング施策に活かせるでしょう。

 

まとめ

こちらの記事では、ライブコマースのやり方について、必要なものや仕組みとあわせて解説しました。

ライブコマースはライブ配信を通じて視聴者と双方向にコミュニケーションしながら商品を販売する手法です。

従来のECよりも信頼性・納得度の高い購買体験を提供できるほか、通販番組とは異なり視聴者の質問にリアルタイムで答えられることが特徴です。

始める際は、販売する商品や配信プラットフォーム、配信内容、場所・機材、配信者を決め、事前告知やリハーサルを行うことが重要です。

配信後は視聴数・購入数・離脱ポイントなどを分析し、改善を重ねることで質が向上します。

成功のポイントは、十分な集客、魅力的な販促企画、適切な配信者選定、継続的な改善、そしてアフターフォローです。

目標は売上向上だけでなく、ファン育成、ブランディング、データ蓄積など多面的に設定することで、長期的な成果につながります。

平野涼介

この記事の著者

平野涼介

この記事の著者

平野涼介
ECコンサルタント:マネージャー

インフルエンサーマーケティング事業の責任者としてPRやマーケティングに従事。その後、自社商品の1からの販促を担当しインフルエンサーPRを通して大ヒット。

自社商品をECモール出店に切り出し各モールで数々の賞を獲得。

自社商品の運営で得た実績とノウハウを生かしEC SUPPORTERZを立ち上げ、主にECモールのコンサルティングを通してECの企業様をサポート中。

全体戦略設計力と売りに繋がる施策実行力が強み。