楽天市場の二重価格とは?種類や注意点および景品表示法との関係性

楽天市場ではモールそのものや、出店しているショップの企業努力により、日々アイテムの価格が変動しています。

なかなか手が届かなかった商品をある日調べてみると、お手頃な価格になっていることがあります。

楽天市場のページを回遊していると、価格の欄に黒字と赤字のものが表示されていることがあると思います。

これらは何を意味していて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

こちらの記事では、楽天市場の二重価格とはどのようなものなのかについて、種類や注意点などとの関係性をご紹介します。

 

楽天市場における二重価格とは?

楽天市場における二重価格とは、元の価格と割引後の価格を二重で表示できるようにする設定を指します。

一見すると「割引後の価格だけ表示すれば良くない?」と考える人もいることでしょう。

しかし、二重で価格を表示することによって、ユーザーは「どれだけお得に購入できるのか」をアピールできるのです。

この「お得感」というものはユーザーの購買意欲を高めるための強力な施策になることから、楽天では価格を二重に表記しています。

では、楽天市場にはどのような二重表記の種類が存在するのでしょうか?

 

二重価格の種類

こちらでは、楽天市場で表示されている二重価格の種類をご紹介します。

 

当店通常価格

当店通常価格とは、店舗で直近2週間にわたって販売している商品価格を指します。

表条件は下記であり、販売期間によって定義が異なる点が特徴です。

  • 販売期間が8週間以上:合計4週間その価格での販売実績がある
  • 販売期間が8週間以上:販売期間の過半かつ2週間以上その価格での販売実績がある

 

メーカーの小売価格よりも安かった場合、ユーザーはお得感を得られるため、購買率向上につながります。

 

設定方法

当店通常価格を設定する際は、下記の手順で行います。

  1. RMSの「商品一覧・登録ページ」に進む
  2. ページ内から、二重価格を設定したい商品の編集ページにアクセスする
  3. 表示価格の欄で「当店通常価格」を選択する
  4. 価格欄に割引前の価格(元値)を入力

 

大幅な値下げをしなくても二重で価格が表示されるため、ユーザーへのアピールと利益の両方を獲得できます。

一方、当店通常価格は反映に時間がかかることと、元値の設定が不正確な場合は非表示になります。

また、販売実績についてはユーザーが購入できる状態を指すため、欠品の場合はカウントされません。

 

メーカー希望小売価格

メーカー希望小売価格とは、製造・販売メーカーが設定した販売価格であり、いわゆる参考価格になります。

カタログやパンフレット、メーカーのホームページなどに記載されている価格であり、「上代」ともいわれます。

メーカー希望小売価格には法的な拘束力はありませんが、メーカーから「これくらいで売ってほしい」という目安になります。

もしもメーカー希望小売価格が設定されていなかった場合、価格競争が激化して値下がりが止まらなくなることが考えられます。

ショップや販売店にも一定の利益を確保してもらうことを目的として、メーカー希望小売価格が設定されることが多いです。

 

設定方法

メーカー希望小売価格を設定する際には、確固たる証拠となる資料が必要になります。

下記の手順で、証拠とあわせてメーカー希望小売価格を設定します。

  1. RMSの「商品一覧・登録ページ」に進む
  2. ページ内から、二重価格を設定したい商品の編集ページにアクセスする
  3. 表示価格の欄で「メーカー希望小売価格」を選択する
  4. 価格欄に割引前の価格(元値)を入力
  5. 「PC用商品説明文」のなかに、証拠の種類によって下記のテキストを入力
  • メーカー希望小売価格はメーカーサイトに基づいて掲載しています
  • メーカー希望小売価格はメーカーカタログに基づいて掲載しています
  • メーカー希望小売価格はメーカー広告に基づいて掲載しています
  • メーカー希望小売価格はメーカー商品タグに基づいて掲載しています
  1. 画像やPDFなどを用いて、ファイルに「evidence」という文字を含めたうえで提出する

 

証拠にできるものは、カタログやパンフレット、Webサイトのキャプチャなど、多くの人が目にできるものが対象です。

そのため、事業者向けなど一般消費者に好評されていないものについては、エビデンスとはなりません。

 

商品価格ナビのデータ参照

商品価格ナビのデータ参照とは、楽天が保有している価格データを比較対象として表示しているものを指します。

こちらはエビデンス不要で、二重価格の文言を設定できるコードになります。

参照するデータはJANコードやISBNコードのほか、楽天オリジナルコードが挙げられます。

 

設定方法

商品価格ナビのデータ参照を設定する際は、下記の手順で進行します。

  1. RMSの「商品一覧・登録ページ」に進む
  2. ページ内から、二重価格を設定したい商品の編集ページにアクセスする
  3. 表示価格の欄で「商品価格ナビのデータ参照」を選択する
  4. 価格欄に割引前の価格(元値)を入力
  5. カタログIDの欄に、下記いずれかのコードを入力
  • JANコード
  • EANコード
  • UPCコード
  • ISBNコード
  • 楽天オリジナルコード

 

新商品など、商品価格ナビにデータが存在していなければ利用できない点には注意が必要です。

しかし、証拠が不要であることから、登録作業自体は比較的容易に行える点はメリットといえます。

 

景品表示法について

楽天市場の二重価格を利用する際に押さえておきたいものが、「景品表示法」です。

景品表示法はユーザーに対して適正な価格や成分表示などを指示する法律であり、だますことを防ぐために設けられています。

そのなかには二重価格に関す内容も含まれており、下記の場合は景品表示法に抵触する可能性があります。

  • 同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
  • 比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合

 

景品表示法に抵触し、消費者庁や都道府県からの措置命令に従わなかった場合、下記いずれか、もしくはその両方が科せられます。

  • 2年以下の懲役
  • 300万円以下の罰金

 

一般的に、ECのプラットフォームでは景品表示法に抵触しないよなテンプレートが採用されています。

しかし、楽天市場には意図して二重表記ができるシステムが用意されていますが、こちらは大丈夫なのでしょうか?

 

参考ページ:消費者庁ホームページ「二重価格表示」

 

結局、二重価格に問題はある?

結論として、楽天市場は景品表示法に則って運営を行っていることから、問題はありません。

楽天市場ではユーザーに安心・安全なお買い物の場を提供するために、法に則った各種規約・ガイドラインを設けています。

たとえば、当店通常価格として表示されている価格については、消費者庁が示すガイドラインに則っているのです。

また、メーカー希望小売価格については確固たる証拠が存在したうえで表示をしています。

このように、楽天市場ではユーザーを混乱させないために、さまざまな工夫を凝らしているのです。

そのため、店舗運営者は安心して二重価格サービスを利用できます。

 

まとめ|価格だけでもお得感を演出できる

こちらの記事では、楽天市場の二重価格とはどのようなものなのかについて、種類や注意点などとの関係性をご紹介しました。

楽天市場における二重価格とは、元の価格と割引後の価格を二重で表示できるようにする設定を指します。

当店通常価格やメーカー希望小売価格、商品価格ナビのデータ参照といったものが含まれており、いずれもRMSで設定できます。

楽天市場における二重価格は景品表示法を順守しているため、安心して利用しましょう。

価格設定を見直すことによって、これまでよりもお得感を演出できます。

平野涼介

この記事の著者

平野涼介

この記事の著者

平野涼介
ECコンサルタント:マネージャー

インフルエンサーマーケティング事業の責任者としてPRやマーケティングに従事。その後、自社商品の1からの販促を担当しインフルエンサーPRを通して大ヒット。

自社商品をECモール出店に切り出し各モールで数々の賞を獲得。

自社商品の運営で得た実績とノウハウを生かしEC SUPPORTERZを立ち上げ、主にECモールのコンサルティングを通してECの企業様をサポート中。

全体戦略設計力と売りに繋がる施策実行力が強み。