楽天市場を見てみると、さまざまな魅力的な商品写真が使われているのを目にすることでしょう。
商品写真(以下サムネイル)はタイトルや金額、評価などとあわせて、検索ページで真っ先に目にする要素です。
ページ内で最も大きく表示される要素であることから、同じ商品でもサムネイルが異なると転換率に大きな差が現れます。
こちらの記事では、楽天市場におけるサムネイルの重要性と、掲載後の検証方法などについて解説します。
サムネイルの重要性
楽天市場においては、サムネイルを改善しただけでアクセス数が2倍近く改善した事例があるほど重要な要素です。
一般的に検索結果では多くのサムネイルと商品が並ぶため、一目で商品の魅力を伝える必要があります。
特に、メーカー名 + 商品名など、指名検索をしたときには同じ商品がズラリと並びます。
ユーザーはできるだけ安く販売しているショップで購入する傾向にありますが、サムネイルも購買意欲や転換率に大きな影響をおよぼします。
場合によっては少し価格が高くても、良質なサムネイルと配送サービスであれば購入に至ることも考えられます。
このように、楽天市場におけるサムネイルは転換率、ひいては店舗の売上に大きな影響をおよぼす重要な要素といえます。
楽天市場における商品画像ガイドライン
楽天市場ではどのようなサムネイルでも良いというわけではなく、楽天が用意しているガイドラインに則る必要があります。
下記は楽天市場が定めている、商品画像ガイドラインになります。
商品画像内のテキスト要素の占有率は20%以下にする
楽天市場のサムネイルを見てみると、商品画像だけではなくさまざまな文章情報が記載されているものを見かけることがあります。
これらはやみくもに書いているわけではなく、ガイドラインに則り商品画像内のテキスト要素の占有率を20%以下にしています。
ガイドラインでいうところのテキスト要素は、一般的に下記の要素が挙げられます。
- 商品ロゴ
- ブランドロゴ
- 企業ロゴ
- 商品名
- 商品のスペック
- 商品の特徴
- 送料無料や〇〇%OFFなどの販売促進文
- キャッチコピー など
要素の換算方法としては、正方形のサムネイルを縦 × 横を100 × 100に分けて、20マス以内に収まっているかになります。
合計マス数が20マス以内であれば掲載できますが、それ以上になると掲載ができない可能性があるのです。
ユーザー目線で考えると、文字が多すぎると商品の詳細が分からなくなるため、視認性が下がってしまい、購買意欲がなくなります。
そもそも具体的な商品説明についてはページ内に記載すれば良いわけで、サムネイルはクリックを促す要素です。
商品の魅力を簡潔に伝えるため、高画質の画像に最低限の文字情報を入力しましょう。
特に、ブランドアイテムの場合はブランドロゴや企業ロゴ、商品名などを記載するとクリック率が改善されるかもしれません。
画像に枠線をつけない
楽天市場のサムネイルには、下記のようにサムネイルの枠線を設けてはいけないルールが存在します。
- 四方を囲ったもの
- L字で覆われたもの
- 棒状の枠
一般的に枠線と聞いてイメージするのが「四方を囲ったもの」ですが、ほかの枠線にも注意が必要です。
特に、最後にご説明した「棒状の枠」については、先述したテキスト占有率が20%以下でも枠線と考えられてしまいます。
ほかの検索エンジンなどの場合、「こちらをクリック」のように、クリックを促す形で棒状の枠を設けているものがあります。
これらは明確にクリックができることを示している要素ですが、楽天市場ではガイドラインにより枠線が禁止されています。
また、合成した際にできる余白部分なども、審査の際に枠線とみなされてしまう可能性があります。
そのため、楽天市場用のサムネイルを作る際は、後述する「単色白基調」か「写真背景」で背景を作成しましょう。
ユーザーの観点からすると、枠線があることによって商品画像が圧迫されるため、魅力が伝わりきらないのです。
枠線のほうが目立ってしまって商品が目立たなくなることがあり、意図せずユーザーをだましてしまう可能性があります。
背景は「単色白基調」か「写真背景」のみ
サムネイルの目的は商品の魅力を視覚的にアピールすることであり、店舗はクリックしてもらうことが第一ステップになります。
そのためには商品を目立たせるために白背景か、使用シーンが分かる写真背景の仕様がガイドラインで決められています。
単色白背景の定義はカラーコード#FFFFFF(R255, G255, B255)になります。
アメリカのECモールであるAmazonでも、上記カラーコードによる白背景が採用されています。
一見白背景だとほかの店舗と差別化を図りにくいと考えられがちですが、ユーザー目線からするとシンプルで見やすいものです。
写真背景を使用する場合、具体的にどのようなシーンでどのように使うのかを表すことで、使用イメージが湧きます。
なお、写真背景ではイメージモデルを使うことができるため、よりイメージさせやすいサムネイルを作成できるでしょう。
ただし、商品とは関係性がないものを合成する場合、テキスト要素としてカウントされてしまうため注意が必要です。
清潔感とあわせて商品を目立たせたい場合は白背景、使用イメージを持ってほしい場合は写真背景を使いましょう。
GIFアニメーションは使用不可
楽天市場では、サムネイル画像にアニメーションGIFの使用をガイドラインによって禁止しています。
アニメーションGIFとは、複数の画像を連続して表示することによって、動いているように見せる画像形式です。
上記より、楽天市場では写真同士の合成も禁止されており、審査を通過しないので注意しましょう。
ただし、カラーバリエーションの表現や付属品を表示する程度であれば規定内であり、加工をしても問題ありません。
サムネイルはあくまで販売している商品をシンプルに伝える要素であることから、その他の要素は排除すべきです。
複数の写真を合成するとユーザーはどれが商品なのか、何が付属しているのかなどが分からなくなり、混乱を招いてしまいます。
また、サムネイルの段階でカラーバリエーションが分かっていると、ページに入ってから色を選んで購入できます。
商品詳細を伝えるだけではなく、商品のバリエーションを伝えることもサムネイルの役割といえます。
ガイドラインに違反することによるペナルティ
サムネイルのガイドラインに違反すると、下記のようなペナルティが課せられます。
- ランキング掲載制限
- 検索表示順位ダウン
- 一部媒体掲載制限
これらはユーザーへの表示が減少したり、そもそも表示されなくなったりすることで流入数が減少してしまいます。
流入数・クリック数が減少すると購入する可能性があるユーザーの分母が減ってしまうため、結果として売上が下がります。
このようなペナルティを回避するため、サムネイルを作成する際は必ずガイドラインの内容を確認しておきましょう。
売れるサムネイルの作成方法
こちらでは、売れるサムネイルの方法をご紹介します。
1. ディテール写真を撮影する
ディテール写真とは、商品の色や形、質感などを伝える写真であり、全体写真や中身の写真もディテール写真に含まれます。
さまざまな箇所の詳細を伝えるために、ディテール写真は遠くや近くなど、さまざまな場所から撮影します。
ディテール写真を撮影する際には現物と写真の色合いが異ならないように、照明には注意しましょう。
強い光の下で撮影すると色が変わってしまうほか、商品に反射している箇所が表れてしまいます。
そのため、ほとんどの場合は光源がやわらかくなるように調整して、できるだけ自然光に近い状態で撮影します。
2. イメージ写真を撮影する
イメージ写真とは、実際の利用シーンやブランドイメージを撮影したものであり、写真背景と一緒に使われることが多いです。
楽天市場のサムネイルでは人を起用しても問題ないため、タレントを使用したサムネイルもしばしば見受けられます。
イメージ写真を撮影することで、実際のサイズ感や使用シーンなどが分かるため、クリック率の向上が期待できます。
イメージ写真が採用されている事例としては、各種ブランドや食品など、基本的には有形のものが挙げられます。
先述したディテール写真とあわせて、メイン画像・サブ画像にそれぞれのサムネイルを使っている店舗が多いです。
3. キャッチコピーを入れる
キャッチコピーとは、商品の情報を簡潔に表したものであり、ユーザーが知りたい情報をまとめる傾向にあります。
「軽量」や「○○配合」といった特徴的な情報が使われることが多く、記載の有無によってクリック率が改善されます。
また、キャッチコピーだけではなくブランド名やサイズ、色などもサムネイルに記載している店舗が多いです。
キャッチコピーの配置も重要であり、左上に主要な特徴を、右下にお得情報を配置すると、人の視線にあわせた導線を設計できます。
キャッチコピーを含め、サムネイルのレイアウトはゴチャゴチャした印象を避けて、シンプルで見やすい構成を心がけましょう。
4. 受賞歴や公式表記を挿入する
サムネイルや自店舗の独自性を出し、競合店舗との差別化を図るためには、受賞歴や公式表記の挿入がおすすめです。
楽天市場に長く出店しているとランキングに掲載されたり、何らかの賞を受賞したりすることがあります。
これらは偽りない事実であることから、サムネイルに掲載することで高い集客効果が期待できます。
ユーザーはEコマースで購入する際に多少の不安を抱えており、実績がある店舗で購入したいと考えています。
そのため、受賞歴や公式表記はユーザーに安心感を与える要素としても使えるため、実績があれば掲載しておきましょう。
5. 最適なサイズに調整する
楽天市場では、サムネイルのサイズは最大で縦3,840ピクセル ×横3,840ピクセルと定められています。
しかし、上記サイズは非常に重く、最大データ容量である2,000KB(2MB)を超えてしまうことがあります。
これらを守るあまりに小さいサイズにしてしまうと、パソコンで表示したときに不自然な印象に見える可能性があるのです。
そのため、サムネイルサイズは700ピクセル × 700ピクセル程度に抑えておくことをおすすめします。
なお、ファイル形式についてはGIFとJPEGですが、先述の通りGIFアニメーションは使うことができません。
売れるサムネイルを作成するコツ
売れるサムネイルを作成する際は、下記のコツを押さえておきましょう。
ターゲットを明確にする
すべての商品にはターゲットが設けられており、サムネイルにも同ターゲットユーザーが興味を引く工夫が必要です。
たとえば、冷たい印象にしたい場合は青、あたたかいイメージを持ってもらいたい場合は赤を使うなどが挙げられます。
検討する要素は性別や年齢、趣味、使用シーンなど多岐にわたり、同じ商品でもターゲットによって伝え方が異なります。
10代や20代はトレンド性を意識した文言、40代はナチュラルや自然などを意識した文言が使われることがあるものです。
このように、ターゲットにあわせて最適なキャッチコピーやメッセージを記載することで、売れるサムネイルが仕上がります。
商品の強みや魅力を引き出す
サムネイルで商品の魅力を端的に伝えるためには、商品そのものが持つ魅力を最大限に引き出す必要があります。
機能性や性能の高さ、デザイン性、希少性、価格の安さ、使用シーンなどが商品の魅力といえます。
ユーザーに視覚的なインパクトを与えるためには、数値で伝えることがおすすめです。
「体感温度-5度」や「20% OFF!」といった数値的訴求は、多くのユーザーが一目でメリットを理解できます。
定量的に情報を伝えることで、簡潔に商品の強みや魅力を伝えることができるのです。
商品の特性に合った写真選び
たとえば、バッグを買うときに実店舗では大きさやデザインだけではなく、中身も確認する人が多いのではないでしょうか?
実際に使ってみるとどうなのかを具体的にイメージするために、実店舗では隅々までバッグを調べると考えられます。
楽天市場でも同様であり、さまざまな角度から撮影した写真を使用することで、ユーザーは購入後をイメージしやすくなります。
また、ぱっと見では何に使えるのかが分からない商品の場合、写真背景とあわせて使用シーンをサムネイルに使うのも良いでしょう。
「購入すると、あなたはこんな感じで使うことができます」と視覚的に伝えられる点が、サムネイルのメリットといえます。
訴求ポイントを決める
これまで商品の魅力を伝えるためのさまざまな情報をお伝えしましたが、すべてを伝えることはできません。
さまざまな情報を記載するとガイドラインにある「商品画像内のテキスト要素の占有率は20%以下にする」に抵触してしまいます。
そのため、サムネイルを作る際には訴求ポイントを決めて、端的な文章にまとめることが重要です。
デザイナーとコラボしている場合はデザイン、販売数が多い場合は販売件数など、商品ごとに特徴が異なります。
訴求ポイントを決める際は、ユーザーが何を知りたいのか、何を求めているのかを考えましょう。
見た目をシンプルにする
「シンプルイズベスト」という言葉があるように、サムネイルはできるだけ要素を排除してシンプルにしましょう。
複数の要素が記載されていると詳細だと思われる一方、視認性が下がってゴチャゴチャしている印象を持つ人が多いです。
また、同じ要素を記載しても、文字やデザインを詰めすぎて視認性が下がらないように、配置にも注意しなければなりません。
ガイドラインを守りつつ、文字やバランスの調整をしていくことで、高い視認性のサムネイルを作成できるでしょう。
分かりやすく視認性が高いサムネイルは、競合店舗との差別化が実現でき、クリック率・転換率の向上につながります。
ガイドラインや規約を遵守する
サムネイルを作成する際の前提として、ペナルティを避けるために必ず楽天市場が設けているガイドラインを遵守しましょう。
先述したように、下記のガイドラインを守らなければ検索結果に表示されにくくなったり、表示されなくなったりします。
- 商品画像内のテキスト要素の占有率は20%以下にする
- 画像に枠線をつけない
- 背景は「単色白基調」か「写真背景」のみ
- GIFアニメーションは使用不可
表示回数は流入数・クリック数・転換率に大きな影響をおよぼすため、ペナルティで表示されなくなると売上が下がります。
事前にガイドラインをよく読み、ルールに則って作成することで、少なくともペナルティのリスクを避けられます。
定期的に分析する
サムネイル画像を替えることで、同じ商品でも商品の売上や購買層などが変化することがあります。
データ分析についてはRMSで確認することができるため、サムネイルを変える前後の期間で比較すると、成果を確認できます。
成果を得られた場合はほかの商品にも応用し、成果を得られなかった場合は原因を究明したうえで改善案を検討します。
継続したPDCAサイクルを繰り返すことで、楽天市場で表示される回数が増えるだけではなく、転換率向上も期待できます。
場合によっては成果が下がってしまうことがありますが、それでも継続して施策を行わなければ順位改善は見込めません。
サムネイルの検証・分析方法
サムネイルの改善による数値の変化を確認する際は、A/Bテストでの効果測定がおすすめです。
A/Bテストはひとつの条件以外すべて同じにし、同条件による数値の変化をテストするものです。
たとえば、ディテール画像を掲載したものとイメージ画像を掲載したページを、同時期に配信します。
2ヶ月後、前者のほうが転換率が高く、後者のほうが低かった場合、前者のほうが有効といえます。
下記はA/Bテストにおける事例であり、継続したPDCAを行った結果になります。
- レイアウトの構図やテキスト、配置の大きさなどを変えてみた
- ユーザーが着用しているサムネイルに変えてみた
- 白背景を写真背景に変えてみた
- 文言を増やしてみた・減らしてみた
これらはあくまで一例であり、ほかにも改善案は多岐にわたります。
自店舗や商品に合ったサムネイルを探すため、継続したPDCAを実践しましょう。
まとめ|サムネイルは商品を表す顔である
こちらの記事では、楽天市場におけるサムネイルの重要性と、掲載後の検証方法などについて解説しました。
楽天市場においては、サムネイルを改善しただけでアクセス数が2倍近く改善した事例があるほど重要な要素です。
どのような画像でも良いというわけではなく、楽天市場における商品画像ガイドラインによって下記を遵守しなければなりません。
- 商品画像内のテキスト要素の占有率は20%以下にする
- 画像に枠線をつけない
- 背景は「単色白基調」か「写真背景」のみ
- GIFアニメーションは使用不可
売れるサムネイルは、ディテール写真やイメージ写真を撮影する、キャッチコピーを入れる、受賞歴や公式表記を挿入する、最適なサイズに調整することで作成できます。
作成時にはターゲットを明確にする、商品の強みや魅力を引き出す、商品の特性に合った写真選びなどが重要になります。
商品に動きがないときは、サムネイルを変えてからA/Bテストなどで成果を検証しましょう。