楽天市場で売上を上げるためには、多くの商品を掲載したり、客単価を上げたり、リピート率を上げたりすることが重要です。
競合他店舗を見てみると、主力商品やその他の商品など、力の入れ具合が異なっていることがあります。
売れる商品に注力し、回転率が低い商品は施策を後回しにするなど、さまざまな工夫を凝らして売上アップに取り組んでいます。
上記以外にも、楽天市場で売上を上げるための方法として「予約販売」というシステムを利用した方法が挙げられます。
こちらの記事では、楽天市場における予約販売の設定方法をご紹介します。
楽天市場の予約販売とは?
楽天市場における予約販売とは、事前に予約申し込みを受け付けることで、商品の発売日よりも前に注文を確定する方法です。
在庫がある商品を販売する際、セールなどの要因により特需が発生し、商品が追い付かないことがあります。
発送できる注文と発送できない注文に分かれてしまうと顧客満足度が低下してしまい、低評価が付いてしまうのです。
多くのユーザーは店舗や商品の評価を見てから購入に至るため、低評価は機会損失の大きな要因となってしまいます。
予約販売システムを利用することで、事前に在庫を確保できるため、ほぼ必ず商品を発送することができます。
また、一時的に在庫切れとなっている商品の注文を受け付ける、といった方法も存在します。
予約販売のメリット
楽天市場で予約販売をすることで、下記のようなメリットを得ることができます。
機会損失の防止
先述の通り、楽天市場の予約販売は在庫分だけ事前に受注予約を集める方法のため、機会損失を防ぐことができます。
在庫切れ商品を予約販売にしたとき、ユーザーの購買意欲低下や他店舗に流れるといったリスクを抑えられます。
特に、楽天市場のように簡単にほかの店舗を訪問できる業務形態の場合、他店舗に流れてしまう可能性が高いのです。
また、発売前の商品を予約販売することで、ユーザーは必ずその商品を手に入れることができます。
特に、クリスマスや子どもの日など、品切れが許されない状況において、予約販売は高い顧客満足度を実現できると考えられます。
在庫管理の簡素化
予約販売システムを利用することで、事前にどれくらいの商品を仕入れるべきなのかを把握することができます。
通常、楽天市場で商品を販売する際は、実績などから需要と供給を考慮した在庫量を確保しなければなりません。
期待通りに売れれば良いですが、売れ行きが悪かった場合不良在庫となるため、売上や在庫スペースを圧迫してしまいます。
仕入れの際には高額なコストが発生するほか、貸倉庫を利用している場合は保管費・手数料が発生します。
予約販売システムを利用することで注文数に合わせた商品数を仕入れれば良いため、在庫管理が簡素化するのです。
繁忙期の作業負担を軽減できる
父の日や母の日といった年間でも多くの受注が期待できる時期は、通常よりも多くの作業が発生する繁忙期に該当します。
繁忙期では次から次へと受注処理から発送処理までを行わなければならないため、スタッフの負担が大きくなります。
負担が大きくなると発送ミスや処理ミスといったヒューマンエラーが発生しやすくなるため、注意しなければなりません。
一方、予約販売を採用することで受け付けから発送までの期間を設けられるため、作業負担を分散することができます。
その間に通常の受注・発送作業が入ってきても、それぞれの作業を別々に行えるため、ミス防止にもつながります。
楽天のランキングに掲載される可能性がある
楽天市場では売れている商品が、トップページやカテゴリページなどにランキング形式で掲載されます。
これらはページの上部に表示されることから視認性が高いため、より多くの受注数および売上アップが期待できます。
ランキングに掲載されるにはさまざまな要因が関わってきますが、実は予約販売システムを使っても掲載される可能性があるのです。
ランキングのなかにはリアルタイムランキングやデイリーランキングなど、複数の種類があります。
そのため、どのランキングを狙うのかなどを考慮し、下記のような施策を実行することで、ランキング掲載が狙えます。
リアルタイムランキングの掲載を狙う
リアルタイムランキングを狙うときは、深夜や夕方など楽天市場が売れていないタイミングを狙って注文を確定します。
その際、確定するタイミングは1時間の間に販売件数が増えるようにすることが重要です。
デイリーランキングの掲載を狙う
デイリーランキングの掲載を狙う場合、1日で売り上げられる個数が重要になるため、受注が来たタイミングで確定しましょう。
1日まんべんなく受注するように確定すれば掲載される、という意見がありますが、楽天公式から明確な発表はありません。
予約販売を利用したランキング掲載を狙う場合、注文を手動で落とすため自由が利かない点には注意しましょう。
基本的に手動で注文を確定する場合、お届け準備期間は通常+1日ほど余裕を持つことを推奨します。
顧客の囲い込み
アウターやシーツなど季節ものの商品については在庫リスクを軽減するため、供給できるぎりぎりの数量を確保する傾向にあります。
年中を通して売れる商品については極論、過剰に在庫をしてもいつかはなくなりますが、シーズンものの場合はそうはいきません。
シーズンに入る2~3か月前程度から予約販売を行うことで、顧客を確保し、安定した売上につなげることができます。
競合他店舗がオンシーズンに通常販売を始める前に、自店舗は受注を確保しつつ顧客離れを防ぐことができるのです。
これらは衣食住さまざまなジャンルに該当する要素であるため、多くの店舗が実践しています。
予約販売の設定方法
楽天市場で予約販売を行う際には、下記のように「予約商品の登録」と「準備期間の設定」に分けて各種設定を行います。
予約商品の登録
楽天市場で予約商品を登録する際は、楽天RMSにて各種情報を入力します。
- 下記の手順通りに登録することで、予約商品を登録することができます。
- 「通常商品の登録」をクリック
- 「注文ボタン」欄の「予約ボタンを付ける」を選択し、予約開始日を設定する
- 下に進み、「販売期間限定」にて販売開始日時と販売終了日時を設定する
- 「お届け準備期間」を1日から希望日を設定する
準備期間の設定
お届け準備期間を「1日」で設定すると、梱包や発送にかかる時間が1日しかない、ということになります。
一方、10日と設定するとその分猶予がありますが、ユーザーは発送まで長い期間を待たなければなりません。
そのため、お届け準備期間は長すぎず短すぎず、最適な日数を設定しなければならないのです。
なお、既存品でランキング入賞を狙う場合、オペレーションに大きな変化はないため期間を1日に設定しましょう。
予約販売の活用ポイント
こちらでは、楽天市場の予約販売システムを最大限に活用するためのポイントをご紹介します。
事前予約のメリットを明確にする
多くのユーザーは、少ないクリック数で・最短納期で・最安値で商品を購入したいと考えています。
しかし、予約販売の場合は少なくとも納期が通常の売買よりもかかるため、懸念を持つユーザーが少なからず存在します。
このようなユーザーにはポイントやクーポン、同梱物といった予約特典を提供することで、顧客満足度を高められます。
これらを併せて提供することで、事前予約を獲得できるだけではなくリピーター化・顧客の獲得が実現できます。
一方、ポイント付与は注文確定日の翌日に発生し、ラ・クーポンは通常商品のみが対象になる点には注意しましょう。
詳細に案内する
予約販売は店舗側には在庫リスクの削減や確実な受注といったメリットがありますが、ユーザー側と認識がズレることがあります。
お届け日や対応などが店舗とユーザー間で認識のずれが生じてしまった場合、クレームや低評価の要因となるのです。
これらのトラブルを避けるために、予約販売ページについては事前に細やかな案内を行い、認識をすり合わせることが重要です。
ユーザー側からするとキャンセル時の対応や発売延期の対応などが気になるため、あらかじめ決めておきましょう。
責任の所在を明確化したり、予約商品の注意事項をしっかりとユーザーに共有したりすることで、最小限に抑えられます。
売上を集中させる
予約販売を活用し、受注確定日時を調整することで、楽天のさまざまなランキングを獲得できるようになります。
デイリーランキングやリアルタイムランキングはほかのランキングと比較しても狙いやすく、売上を集中させやすいでしょう。
たとえば、10月20日のデイリーランキングに乗せたい場合、お届け準備期間を5日に設定することで、10月15日に注文を集中させられます。
また、予約販売は自動・手動で注文できるため、手動で確定日を調整することもできるのです。
一方、準備期間が短すぎると遅延のリスクがあり、長すぎると顧客満足度の低下につながってしまいます。
楽天市場で掲載を狙うべきランキング一覧
下記は楽天市場で掲載を狙うべきランキング一覧、およびそれらのメリット・デメリットになります。
ランキングの種類 | 概要 | メリット | デメリット |
ジャンル別ランキング | 商品所属ジャンルごとに、売上データを基に形成されるランキング | 購買意欲が高い商品が掲載されるため、売上に転換する可能性が高い | 人気ジャンルの場合、競合が多いためランキング掲載が難しい |
性別ランキング | 男性・女性に分かれて、それぞれの性別で売れている商品で形成されるランキング | 同性が興味を持っている、よく購入されている商品が掲載されているため、転換率が高い | ターゲットに合わない商品が掲載される可能性がある |
年齢別ランキング | それぞれの年齢で売れている商品で形成されるランキング | 同年代が興味を持っている、よく購入されている商品が掲載されているため、転換率が高い | 商品が多岐にわたるため、ターゲットに合わない商品が掲載される可能性がある |
リアルタイムランキング | 20分ごとに更新されるランキング | 所得難易度が低い | 次の更新でランキングから外れる可能性が高い |
デイリーランキング | 毎日午前10時に更新され、24時間掲載が約束されているランキング | 競合他店舗のランキング掲載商品をリサーチできる | ランキングに掲載されたとき、競合店舗にリサーチされて対策を打たれる可能性がある |
週間ランキング | 毎週水曜に集計され、前週のデータを基に形成されるランキング | 掲載期間が長いため売上や認知向上の可能性が高い | 期間が長いため、デイリーランキングよりも高順位を獲得するのが難しい |
月間ランキング | 月初めの水曜に集計され、前月のデータを基に形成されるランキング | 掲載期間が長いため、継続した受注・売上が期待できる | ある程度売れるように商品が育たなければ、ランキング掲載自体が難しい |
年間ランキング | 過去1年分のデータを基に形成されるランキング | 1年間掲載が約束されるため、継続した流入・受注・売上が期待できる | 難易度が相当高く、競合他店舗のリサーチ対象となる可能性が高い |
予約販売のデメリット
キャンセルのリスク
楽天市場の予約販売には、予約受け付けから商品発送までの期間が空くため、その間にユーザーがキャンセルするリスクがあります。
購買意欲がなくなった、金銭的に余裕がなくなった、ほかの店舗に注文したなど、キャンセル理由はさまざまです。
これらを防ぐためには、注文確定時や発送前にメールで知らせる、またはキャンセルに関する規定を設けるなどの対策が求められます。
ユーザーの観点からすると、ほかの店舗で普通に販売されているのに予約販売で購入するメリットは存在しないのです。
このような観点から、楽天市場の予約販売システムを利用する際は、明確にメリットを示す必要があります。
通常商品よりも転換率が低い
残念ながら、通常商品と比較すると予約販売を適用した商品は、転換率が下落する傾向にあります。
転換率が下がるということは売上が上がらないということに直結するため、むやみに使うべきではないと考えられます。
しかし、品薄商品や新商品などは流通量が少なかったり、市場に出回っていなかったりするため転換率が高くなります。
また、先述したユーザーへのメリットを明確化することで予約販売商品の転換率の改善が期待できます。
予約商品が高い転換率を獲得した場合、ランキングを受賞できる可能性も高くなるため、売上向上が臨めるでしょう。
スーパーセールや買い回りの対象にならない
予約販売は確実にユーザーへ商品を届けられる手段ですが、スーパーセールや買い回りの対象にならない点には注意しましょう。
スーパーセールや買い回りはまとめ買いをするユーザーが多く、客単価を向上させるチャンスでもあります。
しかし、これらの対象にならないということは割引対象やポイント増加の対象にならないため、メリットを得られないのです。
このように、楽天が開催しているイベントは基本的に通常商品であるため、予約商品を売り込むことはできなくなっています。
セールはセール、通常時は予約販売で売上を上げるなど、状況に応じた戦略を立案することが重要です。
発売延期や中止のリスク
予約販売は店舗側の都合により、発売延期や発売中止といったリスクが付きまといます。
卸売りの場合はメーカーの問題になりますが、ユーザーからすると〇日なら販売できると記載している店舗に問題があると考えます。
特に、メーカーの都合によって入荷制限が課される場合など、実数を確保できない、確保に数日かかるケースがあります。
予約販売自体ユーザーにメリットが少ない販売形態であり、販売が遅れると一気に顧客満足度が低下します。
そのため、予約販売を行う際には確実に納品してくれるような商品を選定することが重要です。
まとめ|予約販売の使い方を理解し、有効活用しよう
こちらの記事では、楽天市場における予約販売について解説しました。
楽天市場における予約販売とは、事前に予約申し込みを受け付けることで、商品の発売日よりも前に注文を確定する方法です。
予約販売をすることで、機会損失の防止や在庫管理の簡素化、繁忙期の作業負担を軽減できる、楽天のランキングに掲載される可能性がある、顧客の囲い込みといったメリットを得られます。
一方、キャンセルのリスクや通常商品よりも転換率が低い、スーパーセールや買い回りの対象にならない、発売延期や中止のリスクといった点には注意が必要です。
予約販売は、事前予約のメリットを明確にする、詳細に案内する、売上を集中させることで売上増加が期待できます。
楽天市場には通常の販売方法だけではなく、さまざまな方法があることを理解しておきましょう。