ライブコマース市場の現状と今後の可能性を考察

阿部 里菜

この記事の著者

阿部 里菜

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阿部 里菜
事業統括責任者

TikTok運用代行事業においてコンサルタントとして数多くの事業者を支援し、ブランド構築から売上創出までを一貫してプロデュース。
その後、メーカー事業における広告・マーケティング領域を統括し、事業成長を牽引する実務責任者として従事。

さらに経営企画部門にて新規事業の立ち上げおよび事業設計を経験し、戦略策定から実行フェーズまでを横断的に担う。

現在は、Japan Live Entertainment 事業統括責任者として、ライブコマースを軸とした新たな販売・マーケティングモデルの構築と、事業者支援を推進している。

ライブコマースは、EC市場のなかでも成長性が高い分野として注目されています。 国内外で導入が進み、配信を通じた購買体験が一般化しつつあります。 一方で、市場規模や今後の成長性が分からず、判断に迷う担当者も少なくありません。 こちらの記事では、ライブコマース市場の現状と今後の可能性について解説します。  

ライブコマース市場の概要

ライブコマース市場は、EC市場の進化形として位置づけられています。 まずは、ライブコマースの市場が注目されている背景やEC市場との関係性、国内外の動向を見ていきましょう。  

市場として注目される背景

ライブコマースが注目される背景には、「消費行動の変化」「購買体験の価値」「ECにおける課題の解決」が挙げられます。  

消費行動の変化

ライブコマースが注目される背景として、まずは消費者の情報収集行動の変化があります。 近年、商品を購入する前に動画で詳細を確認したいという人が増加傾向にあり、テキストや画像だけでは判断しにくい情報を補完する手段として動画が活用されています。 特に、使用感やサイズ感、操作方法などは静止情報では伝えづらく、動画による説明が購買判断を後押ししています。 これはショート動画を配信するプラットフォームである「TikTok」の影響が少なからず存在していると考えられます。 TikTokでは自分に関連がある動画が次々と流れてくるため、趣味嗜好や興味に合った動画を見たときに「もう少し詳しく調べてみよう」といった行動を取る人が多くなりました。  

購買体験の価値

ライブコマースの特徴は、リアルタイムでの双方向コミュニケーションにあります。 視聴者は配信中に質問を投げかけ、その場で回答を得ることができます。 現状抱えている不安をその場で解消できる構成になっていることから、購買への心理的ハードルを下げています。 一方的な情報提供ではなく対話を通じた体験価値が評価されている点が、市場拡大の大きな要因です。  

ECにおける課題の解決

従来のECでは、情報不足による購入迷いや離脱が課題とされてきました。 一方、情報の充実化を図った結果、文字ばかりになってしまい、結果視聴者の理解を妨げることもあります。 人は文章よりも画像、動画のほうが理解しやすい傾向にあり、ライブコマースでは動画にプラスして先述したコメント機能が搭載されています。 そのため、ライブコマースは現状のECが抱えている課題を解決する手段としても注目されています。 配信を通じて商品の魅力を深く伝えることで、理解度や納得感を高めることができ、EC全体の成果改善につながる点が市場から評価されています。  

EC市場との関係性

ライブコマースは、既存EC市場を置き換えるものではなく、あくまでECに含まれる要素として共存できる存在です。 以下にて、ECとの関係性について解説します。  

ECを置き換える存在ではない理由

ライブコマースは既存のEC市場を代替するものではなく、利便性や即時購入という点では、従来のECが引き続き強みを持っています。 そのため、ライブコマース単体で完結させるのではなく、ECと併用・補完するという考え方が主流です。  

ECを補完・強化する役割

ライブコマースは通常のECでは伝えきれない商品背景や使い方を配信で説明することで、理解促進が可能であることから、ECの運用を補完し、強化する役割を担います。 ライブコマースを実施することで、ECページへの送客や購買率向上につながります。  

共存による市場拡大の構造

ECとライブコマースを組み合わせることで、購買機会は広がります。 利便性と体験価値を両立させる運用が、市場全体の成長を支えています。 そのため、両者は競合関係ではなく、共存関係にあるといえます。  

市場拡大が進む理由

ライブコマース市場が拡大している背景には、複数の要因が重なっています。 こちらでは、視聴者行動の変化、技術進化、成功事例の増加という3つの視点から整理します。  

視聴者行動の変化

消費者の情報収集行動は、商品を購入する前に動画で詳細を確認する行動が一般化したことで、大きく変化しました。 少しでもリスクを避けるために、レビューや使用感を重視する傾向が強まっています。 ライブコマースにおける配信では質問に即時で回答が得られる点も評価されているように、実演や比較をリアルタイムで確認できます。 受動的な閲覧から参加型の購買体験へ移行しているといえ、この行動変化が市場拡大を後押ししています。  

配信技術と環境の進化

インターネット環境や機材のスペック向上といった配信技術の進化も、市場成長を支えています。 通信環境の安定化によりスマートフォンひとつで配信できるほど、現在では高品質な配信ができるようになっています。 また、オンライン決済やリアルタイムでの在庫連携もスムーズに行えるようになっています。 本来、これらの技術はオーダーメイドで一から組む必要があり、その際に多くの費用を要していましたが、現在は技術的なハードルが下がったことで、参入しやすくなりました。  

市場から見る導入メリット

ライブコマース市場の拡大は、企業にとって多くの導入メリットをもたらします。 以下にて、市場視点から見た企業側のメリットや、EC運用との相性、ブランド形成への影響を整理します。  

企業側のメリット

ライブコマースを導入することで視聴者と直接コミュニケーションが取れることから、企業は新たな接点を獲得できます。 企業は視聴者に対して商品理解を深めてもらいながら紹介できるため、購買判断を後押しします。 視聴者は納得度が高いうえで購入するため、クレームのリスクを必然的に下げることができます。 これらは一方的な広告と比べ、信頼関係を築きやすい傾向があります。 また、2025年度のライブコマースを含むECは約15兆円(BtoC)であり、ライブコマースはそれ以下の数値であることから、これからも成長すると期待されています。 ジャンルや業界によっては参入企業が少ないため、今のうちに新規参入しておけば先行有利を築ける可能性がある点も見逃せません。  

EC運用との相性

ライブコマースは商品ページや在庫管理、決済機能と連携しやすいといった、既存EC運用と高い親和性があります。 ほかにも、使用方法や質感を配信で説明できるなど、通常のECでは伝えきれない情報を補完できます。 このように、ECとライブコマースを組み合わせる運用が、市場で主流になりつつあります。 どちらか一方を伸ばすのではなく、両方を実施・成長させるという考えが、ECとライブコマースの両方を成長させる考えです。  

ブランド形成への影響

ライブコマースは配信を通じて企業の姿勢や価値観を伝えられるため、ブランド形成にも影響を与えます。 定期的・継続的な配信はファン形成につなげられるほか、ライブコマースならではの機能である「視聴者との対話」が、ブランドへの親近感を高めます。 これまで接点がなかった企業と視聴者をつなぐライブコマースは、市場全体でブランド体験が重視される傾向が強まっています。 今ではハイブランドが参入していることから、ライブコマースは単なる販売手法ではなく、ブランド戦略の一部として活用できます。  

市場参入時の注意点

ライブコマース市場は成長が続いていますが、参入時には注意すべき点も存在します。 こちらでは、競争環境の変化、運用負荷、失敗しやすいパターンを整理します。  

競争環境の変化

市場拡大に伴い参入企業は増加しており、同業他社が同時期に配信を行うケースも見られます。 視聴者の獲得競争が激しくなっていますが、ビジネスでは常に競争が発生しているものです。 競争に勝つためには、ただ配信を行うだけではなく、これまで以上に市場の理解と戦略設計が重要な要素となります。 競争環境を把握せずに参入すると成果が出にくくなるため、事前の市場分析が欠かせません。 可能であれば、競合他社がどのような配信をしているのかを見ておくことで、自社と他社の強みを明確にできるでしょう。  

運用負荷と課題

ライブコマースは中~長期的な施策であることから、継続的な運用が前提となります。 配信準備、進行、配信後の振り返りには工数が必要となるため、担当者の負担が増えるケースも少なくありません。 これらを手作業で実施すると多くの時間を要し、ミスが発生しやすくなり、継続性を損ないます。 そのため、ライブコマースを実施する際は役割を分担したり、社内リソースが足りない場合は外注を視野に入れたりしましょう。  

失敗しやすいパターン

市場参入時の失敗例には、下記のような共通点があります。
  • 市場動向を理解せず、他社の模倣だけで始めてしまう
  • 売上増加や認知拡大といった目的が曖昧なまま配信を行う
  • 短期間で結果を求めすぎる
  これらに不足しているのは市場動向や自社の課題、ライブコマースの性質に関する理解の不足です。 ライブコマースに限らず、新たなビジネスに参画する場合は必ず下調べを入念に行うと思います。 ライブコマースも同様で、自社・他社・市場をはじめとした(3C分析の)情報を収集・分析することで、初めから高いレベルの配信ができるでしょう。  

まとめ

こちらの記事では、ライブコマース市場の現状と今後の可能性について解説しました。 市場は成長段階にあり、導入メリットと注意点の両面を理解することが重要です。 市場動向を踏まえた設計と、継続的な改善が成果につながります。 参入タイミングや運用に迷う場合は、専門的な支援も選択肢となります。 市場理解を深め、戦略的な活用を進めていきましょう。

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